3月27日(木) 0:50
床暖房は、床下に設置する熱源で床を温め、床から発せられるふく射熱によって室内全体も暖められる設備です。なお、床暖房には大きく分けて2種類の仕組みがあります。
電気式床暖房は、床下に設置された発熱線や面状の発熱体に電気が流れることで熱を発し、部屋を暖めます。
電気式床暖房は以下の3種類です。
■電熱線式:床下の電熱線に電気を流して暖める仕組み
■蓄熱式:夜のうちに蓄熱材に熱をため、その熱を日中に使って暖める仕組み
■PTCヒーター式:自身の温度に反応して通電量を抑制する「PTCヒーター」を用いて暖める仕組み
温水式床暖房は、床下に温水パイプがあり、そこに温水を循環させることで暖めます。
温水式床暖房は以下の3種類です。
■ガス式:ガスボイラーで温めた温水を利用する仕組み
■ヒートポンプ式:大気の熱や電力を利用してお湯を沸かす仕組み
■灯油式:専用の灯油ボイラーで沸かしたお湯を利用する仕組み
床暖房に必要な電気代は、設置する面積や使用時間のほか、電気式か温水式かによって異なります。ここでは大阪ガスマーケティングが算出した、電気代の目安を31円/kWh(税込み)として、室温20度の10畳の部屋で、約60%の床面積に床暖房を設置し、1日8時間使用した場合の1ヶ月あたりの電気代をご紹介します。
床温度約25度の場合:約3500円/月
床温度約30度の場合:約7800円/月
床温度約30度(ヒートポンプ式)の場合:約4500円/月
床温度約30度(灯油ボイラー式)の場合:約5800円/月(灯油代)
床暖房にはさまざまなメリットがあります。ここでは主なメリットをご紹介します。
暖かい空気は上に移動する性質を持つため、エアコンをつけていても部屋全体がなかなか暖まらなかったり、足元が寒かったりします。床暖房であれば、床から暖められるため、足元から部屋全体を暖かくできるでしょう。
エアコンなどの暖房器具は、気流ができるため、その風にあたると肌の水分が蒸発し、肌の乾燥が気になることもあるでしょう。乾燥は、肌への影響だけでなく、脱水症状が起こることもあります。一方で、床暖房は風が発生しない暖房器具のため、肌の乾燥対策におすすめです。
また、風が発生しないため、花粉を舞い上げることもなく、アレルギーにも効果的です。
床暖房にはメリットがある一方で、エアコンよりも電気代がかかる傾向にあります。そこで、効率よく少しでも維持費を抑えて床暖房を使用するための工夫をご紹介します。
床暖房は電熱線や循環水を温めるのに多くの電力を消費します。オンにするたびに多くの電力を使用することになるため、温度を安定させるためにも在宅時は常時オンにしておくほうが節約になります。
床暖房は暖めるのに時間がかかるため、つけ始めはエアコンも併用して部屋の温度をなるべく早めに上昇させ、室温を保つために床暖房を利用するのが効率的です。
先述のとおり、床暖房は床から発生するふく射熱を利用します。そのため、床と空気の間にものがあるとふく射熱の妨げになる恐れがあるため、床の上にカーペットはなるべく敷かないほうがよいでしょう。
床暖房は新築のとき以外にも、リフォームで導入可能です。導入費用の目安は、以下を参考にしてください。
直張りとは、既存の床の上に設置する方法です。この場合は、1畳あたり5~10万円程度で設置できるとされています。ただし、設置した箇所のみ床に高さが出てしまうため、注意が必要です。
直張りとは異なり、一度既存の床をすべて剥がして、床の下に設備を設置する方法では、1畳あたり8~12万円程度の費用がかかるとされています。
温水式の場合、お湯を沸かすための機械の設置も必要です。そのため、こちらの費用として25~100万円程度の予算が必要になることを覚えておきましょう。
床暖房は、床から熱を発して部屋を暖めるため、部屋全体が暖まる上に足元の冷えも解消します。初期費用は、床暖房の種類によって異なるため、メリット・デメリットを踏まえて検討してみてください。
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問 Q&A
大阪ガスマーケティング株式会社 床暖房の電気代はエアコンと比べて高い?つけっぱなし時の光熱費や節約術を解説
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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