山本昌×岩瀬仁紀レジェンド対談(後編)
中日ドラゴンズOBの山本昌と岩瀬仁紀による"レジェンド対談"。後編のテーマは2025年のセ・リーグ順位予想。ふたりのレジェンドは、セ・リーグ6球団の戦力をどのように見ているのか?
──まずはおふたりのセ・リーグ順位予想からお願いします。
山本昌の2025年セ・リーグ順位予想
①巨人
②DeNA
③阪神
④中日
⑤広島
⑥ヤクルト
岩瀬仁紀の2025年セ・リーグ順位予想
①巨人
②DeNA
③中日
④阪神
⑤広島
⑥ヤクルト
──中日と阪神の順位が入れ替わるだけで、ほとんど同じ形になりました。
山本昌
DeNAの順位が悩みました。昨年に日本一になったと言っても、レギュラーシーズンは3位。それでも打線はやはり強いし、エースの東克樹がいるなかで(トレバー・)バウアーが復帰するのは大きいなと。
岩瀬
昨年のCSから日本シリーズにかけて、勝ち方を覚えたのは大きいです。あれでチーム力が上がりましたから。特に外国人の先発投手がいいんですよ。ただし、気になるのは抑えに不安があること。
山本昌
もし星野仙一さんがDeNAの監督だったら、(アンソニー・)ケイか(アンドレ・)ジャクソンのどちらかを抑えに回すんじゃないかな。
岩瀬
2位以下を突き放すくらい圧倒的なら問題がないんですが、ペナントレースが競った展開になった時にどうなるか。
山本昌
巨人は昨年のリーグ優勝メンバーから菅野智之(オリオールズ)が抜けて、田中将大が加入した。先発陣は戸郷翔征、山﨑伊織、(フォスター・)グリフィン、井上温大と力がある投手が残っている。野手陣も岡本和真、吉川尚輝、丸佳浩、坂本勇人といるなか、捕手に甲斐拓也がソフトバンクから移籍した。守備も引き締まりそうだね。
岩瀬
僕は吉川次第だと思います。もし吉川がケガした時に、代わりになるような選手がいないから。
山本昌
昨年はよかったけど、本来はケガの心配がある選手だからね。あの瞬発力に体がついてこられないのかも。坂本だって、故障の不安があるからね。ライデル・マルティネスが入ったリリーフ陣は、盤石になりそうだけど。
中日から巨人に移籍したライデル・マルティネスphoto by Koike Yoshihiro
岩瀬
いや、僕は大勢に不安を感じています。
山本昌
そうなの?
岩瀬
一度でも自分を「抑えだ」と思っちゃうと、そこから下りられないんです。9回に投げるプレッシャーを味わってしまえば、今までと同じ感覚で投げようと思っても、どこか違うんです。
山本昌
それはマンちゃんじゃないと言えない解説だね。大相撲の横綱が、もう大関に下りられないのと同じようなものかな。
岩瀬
大勢の投げるボールが一級品なのは間違いないです。でも、いくら真剣に投げても、7回、8回になると9回で投げていた時の力は出ないんじゃないかと思います。体の芯からくるプレッシャーのかかり方じゃないから、どこかで気が抜けてしまう。
【阪神の不安の要素】
山本昌
そう考えると、上位予想チームにしていても不安要素はけっこうあるね。マンちゃんが阪神を4位予想にしたのは意外だったな。才木浩人、西勇輝をはじめ先発陣がしっかりしていると思うけど。
岩瀬
いえ、昨年から見てきたなかで、実績はあっても状態が落ちてきている投手も目立ちます。そのあたりは不安だなと。
山本昌
言われてみると、たしかに少し不安はあるね。野手陣は脂が乗っている選手が多いから、安定して戦えそう。近本光司、中野拓、森下翔太、大山悠輔、佐藤輝明と揃うなか、前川右京のように若手も育ってきている。
──下位予想の広島、ヤクルトはどうですか?
山本昌
新井貴浩監督は本当によく頑張っていると思いますよ。広島は毎年誰かが抜けても、ほかの選手が補ってきた歴史があります。今年は九里亜蓮がいなくなっても、2年目の常廣羽也斗が補うかもしれない。
岩瀬
野手は長打がないと打線に怖さが出てこないですね。ここまで評判のいい新外国人の(エレフリス・)モンテロ、(サンドロ・)ファビアンか、末包昇大が力を発揮できればいいんですけど。
山本昌
ヤクルトは奥川恭伸、塩見泰隆の体調が万全なら面白いと思います。塩見が復活すれば打線がつながるからね。長岡秀樹も育っているし、村上宗隆も日本での最後のシーズンで燃えているはず。
岩瀬
楽天から移籍してきた茂木栄五郎もいいですよ。ただ、中日を含めてですが、どうしても「●●が活躍したら......」といった条件つきになってしまいます。
山本昌
まあ、そんなことを考えるのも、シーズン前の楽しみ方だからね。今年も開幕が楽しみです!
おわり
山本昌(やまもと・まさ)
/1965年生まれ。神奈川県出身。日大藤沢高から83年ドラフト5位で中日に入団。5年目のシーズン終盤に5勝を挙げブレイク。90年には自身初の2ケタ勝利となる10勝をマーク。その後も中日のエースとして活躍し、最多勝3回(93年、94年、97年)、沢村賞1回(94年)など数々のタイトルを獲得。2006年には41歳1カ月でのノーヒット・ノーランを達成し、14年には49歳0カ月の勝利など、次々と最年長記録を打ち立てた。50歳の15年に現役を引退。現在は野球解説者として活躍中。
岩瀬仁紀(いわせ・ひとき)
/1974年11月10日、愛知県生まれ。西尾東高から愛知大、NTT東海に進み、98年のドラフトで中日を逆指名し2位で入団。入団1年目の99年シーズン途中から勝ちパターンの一角を担い、最優秀中継ぎ投手賞を受賞。その後も中継ぎで起用され、2004年からは抑えとして5年ぶりの優勝に貢献。12年にはセ・リーグ史上最多の5度目、また最年長記録となる最多セーブのタイトルを獲得。18年9月28日の阪神戦でNPB初の1000試合登板を達成し、同年現役を引退。19年からは野球解説者として活動。25年に野球殿堂入りを果たした
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