都玲華のドライバースイングを石井忍が診断する(撮影:ALBA)
3月25日(火) 3:30
2025年の国内女子ツアールーキーのスイングをツアープロコーチの石井忍が解説。今回はアマチュア時代にステップ・アップ・ツアーで優勝を遂げた都玲華のスイングを深掘りしていく。
ジュニア時代に数々の大会で成績を残した都は、2024年3月に「明治安田レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」でベストアマチュアを受賞。4月にはステップ・アップ・ツアー「大王海運レディス」で史上6人目となるアマチュア優勝を達成した。7月の「ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ」では2年連続ローアマを獲得し、同年にプロテスト合格を果たしている。
22年から石井がコーチを務める都のスイング特長は「インパクトの剛性が高い」という。インパクトでヘッドがボールに衝突したとき、当たり負けなどが起こらずに「“グッ”と押し込むことができている」ことが、“インパクトの剛性”が意味するところ。逆に剛性が低いと、インパクトが緩んだりして押し込むことができず、方向性が不安定で飛距離も出ない。
都の“押し込み”。その秘訣はバックスイングから始まっている。「胸と手元の距離感が変わらない」ことから、軸ブレせずにトップの位置まで上がっていく。そして、「シットダウンという、椅子に座るような動き」で切り返し、ダウンスイングに入るのだが、その動きにより「前傾角度が維持される」。沈むことができるのは、腰の回転と下半身の踏ん張りができている証拠で、インパクトの剛性を高める要因の1つとなる。
さらに「切り返しで沈むような動きがあることでナチュラルにタメができて、ほどけにくくなる」ため、スイング軌道が安定。ボールを正確に捉えることができ、動きに派手さがなくても、遠くに飛ばすことができる。
そして、剛性を高める一番のポイントは「右ヒジが体側についたまま左サイドを回転させてインパクトを迎える」こと。右ヒジが体から離れてしまうと手元の位置がズレたり、カット軌道になりスライスしやすい。それに比べて都はインパクト後のフォローまで右ヒジが体についており、その動きが再現性の高いショットにつながっている。
■石井忍(いしい・しのぶ)1974年生まれ、千葉県出身。東京学館浦安高等学校、日本大学のゴルフ部で腕を磨き、98年プロテスト合格。2010年にツアープロコーチとして活動を始め、多くの男女ツアープロを指導。また「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアへの指導にも力を入れている。