中学校2年生から高校1年生までのはっきりした記憶がないと語ったのは、書評ライターや連句人として俳句や文芸情報をX(旧Twitter)で発信している高松霞さん(@kasumi_tkmt)。
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家族の不幸に無意識に追い詰められていた日々と、それにより発覚した躁うつ病との日々を綴り、その心情にぴったりな俳句とともにコミカライズ。

作画は、自らのことを「霊感のようなものがある人間」と紹介する漫画家・桜田洋さん@sakurada_youが担当。その柔らかで心に染み入る絵のタッチと、鮮やかな色づかいが魅力だ。

今回は「双極性障害」の躁とうつの波をテーマに描いてもらった。躁状態とうつ状態の落差、高松さん自身の俳句にも注目してほしい。














読者というより、友人知人に対して、「こういうことなんだ、すまんが理解してくれ……」という私信のような気持ちで書いたと話してくれた高松さん。

くま先生が言っている「波をなくすことはできない、だから波の幅を小さくしていきましょう」という言葉は、最初か2回目の受診時に説明されたことなのだそうだ。








1つ目の俳句は「きょお！と喚いてこの汽車はゆく新緑の夜中」。

どのような思いで選んだのか聞いてみると、まず俳句の選定方法を教えてくれた。

「俳句の選定は、俳人の松本てふこさんと西川火尖さんにご協力いただいており、原稿のどの部分にどんな句が欲しいというリクエストをするんです」

今回の場合は「イケイケのアッパーな句」というお題でお願いしたそうだ。

「イケイケのアッパーでしょう(笑)」と楽しそうに話してくれた高松さん。

ただひとつ問題があった。

「きょお！…」の俳句の詠み手である金子兜太さんは故人なのだ。そのため、掲載にあたりどうしたらいいのかわからなかった、と話してくれた。手順を聞いてみると、まず金子さんの理念を継承する俳句会「海原」に連絡をし、やり取りを経てご子息のご連絡先を伺い、という手順を踏んだとのこと。












躁うつ病の波において、俳句や創作をする上でもたらされる作用について高松さんに聞いてみた。

主治医に「ライターで、連句という創作活動もしている」と伝えると「そういう人はあんまり抑えてもいけないんですよねえ」と言われたのだそう。「躁の時にガーッと書いて、うつの時は休む、みたいにしている人もいます」

「それは私には無理(笑)」と高松さんは苦笑する。

「軽躁だからできた大きな仕事も、あるにはあるんです。でもぶり返しのうつが酷すぎて。安定した状態でも一定の仕事ができるようになろうと思っています」










2つ目の俳句は「静まればこちらの岸で蝶になる」。

「静まりたいよなあ」と高松さんは話す。「身体も、脳も、とにかく静まっていたい。でもそうはいかないんですよね。場所を変えたって、静まっていないのは自分の脳に原因があるので、完全な『対岸』にはならないんですよね」












躁うつ病のコミックエッセイや書籍のおすすめを聞いてみると「躁うつ病研究の最先端にいらっしゃる、加藤忠史さんの著書はどれもわかりやすくておすすめです」と教えてくれた。

その他にも「双極はたらくラボ」を運営する松浦秀俊さんが著者の「双極性障害と働くこと」をキーワードにした書籍「ちょっとのコツでうまくいく！躁うつの波と付き合いながら働く方法」もおすすめなのだそうだ。






第4話では、躁状態とうつ状態の波をテーマに描いてもらった。「きょお！」という擬音語が入る俳句は、個人的にとても新鮮な感覚になり、実際に「きょお！」と発音してみると、すごくアッパーな感じがする。

人とは異なる視点で眺めた世界と、じわっと心に染み入る俳句が織りなす情景を、じっくり味わってみてほしい。



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