3月22日(土) 21:00
名義人以外であっても、委任状があれば預金口座からお金を引き出すことは可能です。今回の事例のように「入院中の父親に口座からお金を引き出してくるよう頼まれた」という場合でも、問題なく引き出せると考えていいでしょう。
ただし、銀行によっては委任状があっても銀行側が名義人に電話をかけて意思確認することがあるようです。もし、名義人が認知症などで意思確認が取れない場合は、第三者がお金を引き出すことができなくなってしまう可能性があります。
このような心配をなくすためにも、事前に代理人キャッシュカードを発行したり、代理人指名手続きを済ませておくといいでしょう。例えばA銀行のホームページには、代理人キャッシュカードがあればATMでの入金・出金が、代理人指定手続きをしておけば窓口での入金・出金が可能になる旨が記載されています。
また、B銀行では、名義人と生計を共にする親族一名に限り、代理人カードを申し込めるようになっているため、自身が使用する銀行が該当するのかチェックしてみましょう。
いずれも名義人本人による事前手続きが必要になるため、入院前に窓口で手続きを済ませておくことをおすすめします。
代理人になれず口座を長期間放置すると、休眠預金になってしまう可能性があります。休眠預金とは、10年以上にわたって取引が行われていない預金のことです。
預金残高が1万円以上ある場合は休眠預金になりそうな預金がある旨の通知が郵送されてきます。この通知が届けば休眠預金にはなりませんが、届かなかった場合は休眠預金となり、残高が支援活動に活用されることになってしまいます。
名義人の入院が長期にわたる場合や、認知症になり判断力が低下すると委任状を作成できなくなり、休眠預金になってしまうかもしれません。そのような心配をなくすためにも、早めに代理人の手続きをしておいた方がいいでしょう。
今回の事例のように、入院などでお金が必要になる可能性があるときは、入院前に少しでもお金の管理が楽にできるよう対策しておいてもらうといいでしょう。突然の入院の場合は難しいかもしれませんが、事前に分かっている場合は銀行口座を一つにまとめておいてもらったり、家賃や公共料金などの支払いをキャッシュレスにしていてもらったりすると安心です。
また、認知症対策として家族信託や任意後見制度などで親の財産を管理できるようにしておくことも検討しましょう。
委任状があれば名義人以外が口座からお金を引き出すことは可能です。しかし、銀行によっては本人に電話をかけるなどして意思確認される場合もあるようなので、事前に代理人指定手続きを済ませておくなどすると安心でしょう。
代理人がお金を引き出せるようにしておかないと、休眠預金となって残高が支援活動に活用されることになってしまう可能性もあります。また、長期入院を予定されている場合などは、入院前に銀行口座を一つにまとめておくなど、お金の管理がしやすいようにしておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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