「贈与税」がかかる基準の「110万円」。贈与税の「計算対象となる期間」は?

「贈与税」がかかる基準の「110万円」。贈与税の「計算対象となる期間」は?

3月18日(火) 1:50

贈与税は、財産を受け取ったときに発生する税金だといわれています。特に、年間110万円を超える財産を受け取ったときに課税対象となるようです。この記事では、贈与税の基礎控除額や計算方法、特例などについて詳しく解説します。

贈与税の基礎控除額と課税対象期間

贈与税には基礎控除額が設けられており、贈与を受けた金額が110万円以下(年間)であれば、贈与税は発生しないといわれています。
 
基礎控除額の計算期間は、毎年1月1日から12月31日までの1年間と決められています。なお、同一期間内に受けた贈与が110万円を超えた場合、超過分に対して贈与税がかかる可能性があります。
 
例えば、以下の表1のようなケースで考えてみましょう。
 
表1

贈与者 受贈者 贈与金額 贈与税の課税有無
100万円 非課税(110万円以下)
祖父 150万円 40万円に対して課税

※筆者作成
 
このように、110万円を超えた部分について贈与税が課せられるのです。
 

贈与税の計算方法と税率

贈与税の計算手順は以下の通りです。

1・贈与財産の総額(1年間の合計額)を算出する
2・基礎控除額110万円を差し引く
3・残りの金額に税率および控除額を適用し、税額を算出する

贈与税の税率には、「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」の2種類があり、受贈者の年齢や贈与者との関係によって使い分けられるとされています。兄弟姉妹間や夫婦間などの贈与の場合には、表2の一般贈与財産用の税率と控除額が適用されます。
 
表2

課税価格(基礎控除後の金額) 税率 控除額
200万円以下 10% なし
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1000万円以下 40% 125万円
1500万円以下 45% 175万円
3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円

※国税庁「No.4408贈与税の計算と税率(暦年課税)」を基に筆者作成
 
次に、受贈者が18歳以上の子・孫で、父母・祖父母からの贈与の場合をみてみましょう。この場合、表3の特例贈与財産用の税率と控除額が適用されます。
 
表3

課税価格(基礎控除後の金額) 税率 控除額
200万円以下 10% なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1000万円以下 30% 90万円
1500万円以下 40% 190万円
3000万円以下 45% 265万円
4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円

※国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」を参考に加工し筆者作成
 

贈与税の具体的な計算例

実際に、600万円の贈与を受けたときの税額を、表4を参考に比較してみましょう。
 
表4

一般贈与の場合 特例贈与の場合
課税価格の計算 600万円−110万円=490万円 600万円−110万円=490万円
納税額 一般税率30%・控除額65万円
490万円×30%−65万円=82万円
特例税率20%・控除額30万円
490万円×20%−30万円=68万円

※筆者作成
 
このように、同じ贈与額でも適用される税率と控除額は異なる場合があります。
 

贈与税を軽減できる特例

贈与税には、一定の条件を満たすと税負担を軽減できる特例があるようです。1年間で110万円を超える贈与を受けるときは、次の特例の利用対象となるかどうかも確認するとよいでしょう。
 

贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

国税庁によると「婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の申告をすることにより基礎控除額110万円のほかに最高2,000万円まで控除」することができるようです。おしどり贈与とも呼ばれる制度で、基礎控除と合わせれば、最大2110万円まで控除の枠が広がるとされています。
 
なお、配偶者控除は婚姻関係にある夫婦を対象とした制度で、内縁の配偶者や事実婚は対象外です。そのため、法律上の婚姻関係にないカップルの場合、どれだけ長く連れ添っていてもおしどり贈与を使うことはできない点に注意してください。
 

教育資金の一括贈与

30歳未満の子や孫に対して、直系尊属(父母や祖父母など)が教育資金を一括贈与する場合、最大で1500万円が非課税となるようです。対象となる教育資金は、学校に直接支払う授業料のほか、習い事・学習塾の月謝などといった教育関連サービスに支払うものも含まれるとされています。
 

結婚・子育て資金の贈与特例

子や孫の結婚・子育てに際し行われる贈与について、最大1000万円までが非課税となるようです。令和5年の税制改正により、令和7年3月31日まで利用期限が延長されました。
 
対象となる主な費目は次の通りです。

●挙式費用・衣装代などの婚礼費用
●家賃・敷金などの新居費用、転居費用
●不妊治療・妊婦健診にかかる費用
●分娩(ぶんべん)・産後ケアにかかる費用
●子どもの医療費
●子どもの幼稚園・保育園の保育料

 

各種控除を活用して贈与税の負担を軽減しよう

贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間で計算され、110万円を超える場合に課税されるといわれています。受贈者の年齢や贈与者との関係によって適用される税率が異なり、110万円を超える場合でも特例を利用すれば負担を軽減できる可能性があります。各種制度を正しく理解した上で、賢く贈与を行いましょう。
 

出典

国税庁No.4408贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁No.4452夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
国税庁No.4510直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁No.4511直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
こどもまんなか こども家庭庁結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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