3月15日(土) 19:40
日本の公的年金制度は、基礎年金である「国民年金」と、給与に応じて将来の給付額が変わる「厚生年金」の2階建ての構造です。20歳以上60歳未満の全ての国民は国民年金に加入し、さらに会社員や公務員などの給与所得者は厚生年金にも加入します。
国民年金の第1号被保険者は、自営業者や学生などで、自ら保険料を納める必要があります。一方、会社員や公務員は第2号被保険者として、給与から自動的に厚生年金保険料が天引きされ、その中に国民年金の保険料も含まれています。
厚生労働省によると、2023年度の国民年金第1号被保険者の最終納付率は83.1%と報告されています。しかし、この数字を見て「全国民の5人に1人は年金を払っていない」と考えるのは間違いです。
この数字は、第1号被保険者が対象であり、第2号被保険者である会社員や公務員の納付状況は含まれていません。実際、厚生年金の被保険者数は約4672万人であり、これは1387万人いる第1号被保険者数の約3.4倍にあたります。
また、厚生年金の保険料は給与から自動的に差し引かれるため、納付率は非常に高くなっています。
そのため、公的年金全体でみると年金の未納者は1%程度です。
以上のことから、「国民年金の納付率が80%だから、5人に1人が将来年金を受け取れない」というのは誤解であることが分かります。多くの人々は厚生年金を通じて確実に保険料を納めており、将来的に年金を受け取る資格を持っています。
ほとんどの人が年金保険料を支払っていますが、一部の人が未納であることは事実です。保険料を未納のままにしておくと、将来的に年金を受け取れないリスクが生じます。
特に第1号被保険者は、会社が給与から天引きしてくれませんので、経済的な理由や手続きの遅れなどで未納となる可能性があります。そのため、忘れずに手続きを行うことが重要です。
とはいえ、経済的な事情で支払いが困難な場合もあるかもしれません。そのような際は、保険料の免除や納付猶予の制度を活用することが重要です。これらの制度を利用することで、将来的な年金受給資格を維持することが可能です。
なお、国民年金保険料の免除や納付猶予を受けた場合、その期間は将来受け取る年金の受給資格期間へは算入されますが、受け取れる年金額は減ってしまったり、年金額には全く反映されなかったりします。
ただし、免除・猶予された期間については、10年以内であれば後からその分を納付することで、年金受給額を満額に近づけることも可能です。
国民年金の納付率が約80%であるとの報道から、「5人に1人が将来年金を全く受け取れない」と考えるのは誤解です。多くの人々は厚生年金などを通じて確実に保険料を納めており、年金を受け取る資格を持っています。
ただし、年金保険料の未納期間があると将来的な年金受給に影響を及ぼす可能性があります。経済的な事情などによって支払いが難しい場合は、免除や納付猶予の制度を活用し、適切に対応することが大切です。
厚生労働省 令和5年度の国民年金の加入・保険料納付状況を公表します
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
定年退職の時点で「貯蓄4000万」の世帯は全国にどのくらいいる?