3月15日(土) 19:30
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金は亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。子とは18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人をさします。
遺族厚生年金は以上に加えて、子のない配偶者、父母、孫、祖父母も受け取ることができます。
一般的に80代の高年齢の夫婦に要件を満たす子がいることは少なく、高年齢の夫婦の片方が亡くなった場合、遺族基礎年金は発生せず、要件を満たせば遺族厚生年金のみ発生するケースが多いです。
遺族厚生年金の金額は以下のどちらか多いほうの金額となります。
・亡くなった人の厚生年金の報酬比例部分の4分の3
・亡くなった人の厚生年金の報酬比例部分の2分の1と自身が受給する老齢厚生年金の2分の1の合計額(65歳以降の人のみ)
例えば、毎月16万円の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受け取っていた人が亡くなった場合、遺族の人が国民年金のみの場合は遺族厚生年金の金額は16万円の4分の3である12万円となります。
また遺族厚生年金を受け取る遺族の人が月10万円の老齢厚生年金を受給していた場合、亡くなった人の厚生年金の報酬比例部分の2分の1(16万円×1/2=8万円)と自身の老齢厚生年金の2分の1(10万円×1/2=5万円)の合計額である13万円のほうが12万円よりも多いので、13万円が遺族厚生年金の金額となります。
さらに要件を満たせば、中高齢の寡婦加算や経過的寡婦加算も支給されます。ただし、発生した遺族厚生年金は全額受け取れるわけではありません。
65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある人は、自分自身の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金については自身の老齢厚生年金に相当する額が支給停止となります。
そのため遺族年金を受け取る人自身の老齢厚生年金が、発生した遺族厚生年金の金額よりも多いと、遺族厚生年金は全額支給停止となってしまいます。
老齢厚生年金を毎月15万円受け取っていた夫と毎月10万円受け取っていた妻のケースでは、夫が亡くなった場合、15万円×1/2+10万円×1/2=12.5万円の遺族年金が発生し、妻の老齢厚生年金10万円を差し引いた2.5万円が遺族厚生年金として妻に支給されます。
妻が亡くなった場合、10万円×1/2+15万円×1/2=12.5万円の遺族厚生年金が発生しますが、夫自身の老齢厚生年金が15万円で、遺族厚生年金の金額を上回るため、遺族厚生年金は全額支給停止となります。
このように遺族自身の老齢厚生年金が遺族厚生年金よりも多いと、遺族厚生年金は全額支給停止となるケースがあります。
特に老齢厚生年金額が同じくらいの高年齢の夫婦の場合は遺族厚生年金の金額が少なくなりやすく、夫婦の片方が亡くなると世帯年収が半減する可能性があるので、注意が必要です。
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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