西友を買収したスーパー「トライアル」に、スーパーの専門家が行ってみて気づいたこと「西友の“弱点”を補えるかも」

2025年3月5日、トライアルホールディングス(HD)が西友の買収を発表。TRIAL(トライアル)とは一体どんなスーパーなのか?

西友を買収したスーパー「トライアル」に、スーパーの専門家が行ってみて気づいたこと「西友の“弱点”を補えるかも」

3月14日(金) 23:52

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2025年早々から世間をザワつかせた西友買収問題。ついに決着がつき、3月5日にディスカウントストア大手のトライアルホールディングス(HD)が西友の完全子会社化を発表しました。イオンやドンキが有力と報道されていたこともあり、トライアルという名前を聞いて驚いた人は少なくないはずです。

トライアルHDは、福岡県福岡市に本社を置く九州の企業。昨年3月に東証グロース市場へ新規上場したばかり。そんな新興勢力が老舗スーパーを傘下に収める時代になったことには、なかなか感慨深いものがあります。

全国各地で300店舗以上を展開するトライアル

小売店としてのトライアルは、福岡を中心に全国各地で300店舗以上を展開。4種(スーパーセンター、メガ、スマート、トライアルGO)に分かれていますが、どの業態であれ今後の戦略として共通しているのは、「食(スーパーマーケット)」の強化。

今の時代に合ったスーパーとしての力を研鑽するためにも、関東圏や駅近エリアに店舗を多く持つ西友の買収は賢明だったのかもしれません。

ただ、そのような経済視点、経営戦略の側面で解説・考察する記事はたくさん出ていますから、ここではほどほどにしたいところ。やっぱり大事なのは、“自分たちの生活にどう関係してくるか?”という点ではないでしょうか。そこでスーパーマーケット研究家の私は考えました。

もっと純粋にわかりやすく、「トライアルってどんなスーパーなの?」「何がオススメなの?」という消費者目線での情報をお伝えしたいと思ったのです。

「リテールテック」に強みを持つ企業として急成長

トライアルの沿革を見るとわかるのは、1974年に創業し、リサイクルショップからスタートしていること。そしてその後小売り向けのPOS(販売時点情報管理)システムの開発や家電量販店を運営しながら、ディスカウントストアの運営事業をスタートした後、スーパーマーケット事業にも本格参入。ITやAIに強みを持たせることで、店舗運営の省力化など小売業界に変革をもたらす「リテールテック」に強みを持つ企業として急成長を遂げています。

店舗に行ってみると印象的なのは、プリペイドカードとレジカートを組み合わせたお得な買い物方法。レジカートとは、トライアル全店舗の約8割の店舗に導入されているスキップカートのことで、買いたい商品をスキャンして、現金チャージしたプリペイドカードで支払うことで、レジに並ぶことなくお得に買い物ができるという仕組みになっているのです。ちなみにクレジットカードは使用不可です。

西友とトライアルは良いシナジーを生みだせるのか?

これだけを聞くと、今後は「無人スーパー路線?」「人のぬくもりなんて感じないのでは?」と思ってしまいそうですが、実際に店舗に行ってみると、昔ながらのPOPをたくさん発見することができ、手作り感あふれるお惣菜や寿司にほっこりさせられます。シンプルな陳列スタイルなど、店内の雰囲気が西友と似ている部分も大いにあります。

一方西友はというと、1980年に「無印良品」を作り出した生みの親。つまりPB開発の先駆者でもあり、無印の功績を持ちながら、2012年にプライベートブランド「みなさまのお墨付き」が登場しました。そして最近のPB商品を見ても、その実力は健在。品質面でお世辞抜きに素晴らしく、チルド商品、菓子類、エスニック関連商品では強い魅力を持っていることが分かります。しかし、他スーパーではなかなか真似できないようなこだわりある商品を生み出せるにもかかわらず、それを伝えるのが上手ではなかったのかもしれません。アピールが控えめであり、まだまだ知られていない隠れた名品であふれているのです。

これらのことをふまえてわかりやすく整理をすると、モノづくりが上手で関東・中部に多く展開するアピール下手の西友が、ITを駆使した“新しい売り方”に強みを持つトライアルと組むことは、成功の可能性が大いに高いということ。あくまでも予想にはなりますが、両社の強みをうまく組み合わせることができれば、両者は勝ち組として成長を続けることができるのではないでしょうか。

筆者おすすめのオリジナル商品7選

ここからは、トライアルのオリジナル商品の中で特に素晴らしいアイテムを、数重視でずらりと紹介していくことにしましょう!

①B級さつま盛り合せ:100gあたり80円

九州の強みを感じるのが、カタチの悪いが味はバツグンなさつま揚げのB級品を寄せ集めた商品。1パックあたり200~300円台という超お得感を満喫できます。これさえあればつまみはOKと思えるほどのおいしさです。

②国産豚を使ったフランクシリーズ:349円

スーパーのPB商品をいろいろ食べてきた中で、群を抜いておいしいと断言できる名品。2種類の国産豚ひき肉を100%使用した、肉の旨味が味わえるフランクで、種類は4種(プレーン、レッドチェダーチーズ、ブラックペッパー、レモン&パセリ)。肉の解体から製造までを一貫して行うことでコストダウンに成功しています。

③お肉屋さんの焼鳥シリーズ:699円

大ぶりの鶏肉を炭火で焼いた冷凍焼鳥。1本あたり約70円で、食べたいときに温められる手軽さが強みになっています。これとタレを常備しておけば、コンビニで焼き鳥を買う頻度が激減するかもしれません。

④プルコギ:100gあたり159円

牛肉と豚肉を組み合わせるという、ありそうでなかったアイデアがおいしさにつながっている商品。本当においしいプルコギを目指して開発されたという本気度の高さが実感できます。この商品専用のカット野菜も販売されていて、組み合わせて焼くだけでプロの味が完成。

スイーツのラインナップが豊富

⑤自社製おはぎ:3個300円

1個160gというボリューム感と価格の安さに圧倒されるおはぎですが、原材料にもこだわりがあります。北海道産あずきと国産もち米を使用し、甘さ控えめで作られています。これを知ってしまったら、デパ地下に行かなくなってしまうかもしれません。

⑥杏仁豆腐:299円

「最後の一口まで飽きない杏仁豆腐を作りたい」という思いで作られた杏仁豆腐。月間15万個以上売れた第1弾プリンに次ぐ、デカ盛りスイーツの第2弾として登場しています。風味や食感が上品で、個人的にはプリンより気に入っています。

⑦ぼてもっち:各99円

ここまでくるとうすうす気づくかもしれません、トライアルはスイーツのラインナップが豊富で、安くて、どれも安定したおいしさを誇ります。その中でもコスパが良く、個性を感じるのが「ぼてもっち」というもちもち食感の皮で包まれたクレープ。カスタード&ホイップ、チョコホイップ&チョコチップ、ストロベリー&ホイップ、抹茶ホイップ&粒あんなど、種類豊富でありながら価格がすべて99円という衝撃の安さ。手土産としても喜ばれます。

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いかがでしたか?トライアルの名品はまだまだたくさんありますので、またの機会にご紹介できたらうれしく思います。今回の記事が皆さんの日常生活に少しでも役立ちますように!

<TEXT/スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12。

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