ポイントは”リレー競争”?平塚新夢は超絶高いトップなのに、なぜカット軌道にならないのか【注目ルーキースイング診断】

平塚新夢は高いトップからハイドローを打っていく(撮影:ALBA)

ポイントは”リレー競争”?平塚新夢は超絶高いトップなのに、なぜカット軌道にならないのか【注目ルーキースイング診断】

3月15日(土) 3:30

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2025年の国内女子ツアールーキーのスイングをツアープロコーチの石井忍が解説。今回は難病を乗り越え悲願のプロテスト合格を果たした平塚新夢(ひらつか・あむ)の、身長154センチで平均240ヤード飛ばすスイングを深掘りしていく。



【連続写真】高いトップからの切り返しに注目!平塚新夢のドライバースイング


平塚は高校3年生だった2017年のステップ・アップ・ツアーで史上5人目のアマチュア優勝を果たし将来が嘱望されていたが、18年のプロテストは『群発性頭痛』で2次を前に出場を辞退。その後、国が指定する難病『成人発症スチル症』と診断され、一時はゴルフと離れることに。

20年から競技を再開し、23年からはプロテスト合格に向けてマイナビ ネクストヒロインゴルフツアーに参戦した。24年は同ツアーの第6戦、最終戦に優勝。マイナビポイントランキング4位で終えた。同年、7度目の挑戦でプロテストに合格。今季はQTランキング86位で今シーズンはステップ・アップ・ツアーが主戦場となる。

そんな平塚のスイングの最大の特徴は高いトップ。右ヒジは右肩よりも高く上がり、手元も頭よりもかなり高い。「トップが高いとクラブが外から下りてきやすいのですが、平塚さんの場合はインサイドから下りてきます」という。

なぜ高いトップからインサイドにおろせるのか?そのポイントは陸上の“リレー競争”だ。「トップから左足に重心が乗り、腰の回転が入り、お腹の捻転、胸郭となり、左腕が下りてきて、最後にクラブが下りてくる。下から順番にリレーのように動いているのです」。つまり、1走目は左足、2走目は腰…と下からつないでいき、アンカーは一番高い手元となる。

これにはトップでしっかり肩が回っていることが絶対条件。アマチュアゴルファーに多い傾向として、「浅いトップだと下から切り返せず、アウトから入りやすい」。そうするとカット軌道になり、球がつかまらずスライスが出てしまう。

平塚の場合、肩が深く回っているため、手元を置いたまま下半身から切り返せている。低い位置からクラブが下りてきた後、「高くフォロースルーを抜いてく」ことで、インサイド・アウトの軌道になり、飛距離の出るハイドローが打てるのだ。


一般的なアマチュアゴルファーに多い傾向は、捻転動作があまりできないことから高いトップスイングに上げると「切り返しでアウトから入りやすい」。そうするとカット軌道になり、球がつかまらなくなりやすい。

平塚の場合は切り返しで「左足に重心が乗り、腰の回転が入り、お腹の捻転から胸郭が動き、左腕が下りてきて、クラブが下りてくる」と高い位置からでも手で下ろさないことから「インサイドから切り返せている」とオンプレーンに乗せてインパクトを捉えることができている。


そこから「高いフォロースルーでつかまった球を打つ」とインサイドアウトの軌道になり、再現性の高いドローボールを実現している。


■石井忍(いしい・しのぶ)1974年生まれ、千葉県出身。東京学館浦安高等学校、日本大学のゴルフ部で腕を磨き、98年プロテスト合格。2010年にツアープロコーチとして活動を始め、多くの男女ツアープロを指導。また「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアへの指導にも力を入れている。


<ゴルフ情報ALBA Net>
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