A24が送る一風変わったヒューマンドラマ『終わりの鳥』(4月4日公開)。本作より、死を告げる鳥“デス”をモチーフにした日本限定のアザービジュアル5種が解禁となった。
【写真を見る】“終わり”を告げる鳥デスと、その鳥と寄り添う病を抱える少女チューズデー
地球を周回して生きものの“終わり”を告げる鳥デスと、その鳥と寄り添う病を抱える少女。かたや一心不乱に鳥と闘う少女の母親。世にも奇妙なデスとの対峙によって、母娘2人は間もなく訪れるであろう別れを次第に受け止めてゆく。そのプロセスを風変わりな表現、アイス・キューブの名曲「It Was a Good Day」も使用しながら驚きとユーモア、涙で満たされた物語として作り上げた。

次世代を牽引する新たな才能を発掘してきたA24のもと、長編監督デビューを飾ったのはクロアチア出身のダイナ・O・プスィッチ。タバコをくゆらせ、ラップのリズムを刻むチャーミングなキャラクターを造形する一方で、死という観念を奇想天外に視覚化し、その苦悩にも触れるなど奥行きのあるストーリーに仕立てた。繊細でウィットに富んだチューズデー役には『恋人はアンバー』(20)のローラ・ペティクルー。シリアスとコミカルを横断する絶妙なバランスで母親ゾラを演じたのは、エミー賞常連の人気TVシリーズ「VEEP/ヴィープ」で知られる、コメディエンヌのジュリア・ルイス=ドレイファスだ。

このたび、新たに公開されたのは日本限定のアザービジュアル。コンゴウインコをメインに据えて、複合的に創出された死を象徴する鳥デスがてっぺんから逆さまにデザインされた印象的な日本版ポスターに続き、新たな場面写真や様々なデスを捉えたカラフルな仕上がりとなっている。

チューズデーが見上げる先で赤い翼を大きく広げるデス。死にゆく者の声がいつも頭に響いていたデスを鎮めたチューズデーにその心情を吐露する様子、ロンドンの街並みの上空に現れたデスが「やらねば、やらねば、やらねば」と自分のミッションを遂行しようと目を光らせている姿。ゾラとチューズデーが微笑みながらソファで一緒に雑誌を読んでいる2ショットからは、「ママは大丈夫だって約束して」、「――約束する」といずれ訪れるであろう永遠の別れに、娘である少女の方が母親を案じているという、切実な様子も伝わってくる。

あわせて、映画評論家、ライターなど著名人16名からのコメントも到着。フリーアナウンサー、俳優の宇垣美里は、「突如現れた極彩色の羽を持つ“死”を前に母娘が見せる反応は、そのままにそれぞれの死との向き合い方、あるいは目の逸らし方を浮かび上がらせる。そうか、死と会話し、正面から対峙すると、生きること、見送ることの解像度まで上がるのか」と本作から得た気付きを言葉にしている。
タレントのでか美ちゃんもまた、「親子愛と命の儚さと尊さと、不思議な鳥。箇条書きにしてしまうとほっこり確定演出の要素しかないが、A24 が手掛けるとこうも予想不可能な展開になるのかと脱帽。強烈な愛情を強烈に描いていて、もはや笑える!と思ってたはずが…なぜか最後は涙を流してました」と驚きとユーモアが別れという悲しみを包み込み、心を温めてくれると称賛している。

インコの姿をしたデスと別れに直面した母娘の交流が、観客に様々な感情を呼び起こす『終わりの鳥』。映像に没入できる劇場でじっくりと味わいたい作品だ。
■<コメント>
●宇垣美里(フリーアナウンサー、俳優)
「突如現れた極彩色の羽を持つ“死”を前に母娘が見せる反応は、そのままにそれぞれの死との向き合い方、あるいは目の逸らし方を浮かび上がらせる。そうか、死と会話し、正面から対峙すると、生きること、見送ることの解像度まで上がるのか」
●でか美ちゃん(タレント)
「親子愛と命の儚さと尊さと、不思議な鳥。箇条書きにしてしまうとほっこり確定演出の要素しかないが、A24が手掛けるとこうも予想不可能な展開になるのかと脱帽。強烈な愛情を強烈に描いていて、もはや笑える!と思ってたはずが…なぜか最後は涙を流してました」
●豊田エリー(俳優)
「ユーモアによって芽生える、チューズデーと鳥“デス”の友情が好きだった。病に苦しむチューズデーから目を逸らし、どうしても向き合うことができなかった母親の、哀しき抵抗と心の成長譚としても胸を打つ。『苦しみのない日はいいもんだ』」
●森直人(映画評論家)
「一生モノの凄いヴィジョンを見せてもらった。現在進行形の“死”が妙に人懐っこいクリーチャーで可視化される。赤い鳥がやって来た時の心構えが結構本気で出来たかもしれない」
●伊藤さとり(映画パーソナリティ、映画評論家)
「一度観てしまったらもう頭から離れない。いつやって来る?怖いけれど親しくなりたい。奇抜な発想で繰り広げられる摩訶不思議な死生観はいつか子どもにも観て欲しいと願った。そして私は笑っていたのに気付けば泣いていた」
●ビニールタッキー(映画宣伝ウォッチャー)
「奇想天外だけど美しい。不気味だけど優しい。悲しいのに可笑しい。壮大なのにとても身近で心に刺さる。死を告げる鳥と親子の葛藤が、生死を巡る旅路へとつながる。これは全ての生き物のそばにいる“死”を考え、受け入れるまでの物語だ」
●今祥枝(ライター、編集者)
「題材は深刻なのに、いくつかの場面では笑いを誘うユニークな映像世界に驚きながら、 終盤は涙腺崩壊。それでも不思議と恐れや不安をかき立てるのではなく、死にゆく者と残される者の双方にとってある種の救いがあるように感じられて、温かいものが心に湧き上がってくる。私にとってこの春一番の癒し映画です」
●ISO(ライター)
「世の摂理であろうと死には慣れない。目を背けたくなるし、逃れたくもなるし、何度でも打ちのめされる。そんな死に対する恐怖や悲しみや怒りを、同時に浮かび上がる愛と生の喜びを、洞察に富んだユニークな視点で見つめる優しい挽歌。ICE CUBEのクラシック『It Was a Good Day』がこれほど感動的に鳴り響くとは」
●折田千鶴子(映画ライター)
「母と娘とファンキーな怪鳥。まさかの展開、その大胆な話術に目をみはり魅せられる。死にゆく者と遺される者、視点や関係性がひっくり返りながら紡がれる物語は、悲しみの果てで掌に残った“命”、その真理と力で絶望から引き上げる。呼吸を吹き返すようにほのかに差す希望、その感触、痛くも忘れ難い!」
●よしひろまさみち(映画ライター)
「プロセスは違えど、死は誰にでも平等に訪れるもの。変幻自在でほぼ概念のキャラ、インコは、手塚治虫の『火の鳥』のように、死は喪失や無ではないこと、誰もが完全ではないことを教えてくれる」
●東紗友美(映画ソムリエ)
「親子の別れ、命の最後の瞬間。これまでも数多く描かれてきたテーマを驚きにみちた表現で誰も観たことのない世界に変えてしまう。秀作を生み出すA24 が実現させてきた終わりなきチャレンジ精神はこの映画にも脈々と受け継がれていた。死を告げる不思議な鳥。創造的な生き物を目の前にしてもこの物語がリアルだったのは痛みの表現がとても切実で現実的だったから。母娘の何気ない会話がじんわりと沁みていく。娘を失いたくないあまりに奇天烈な行動をとる母親、現実とファンタジーの狭間で揺れながらも私も彼女と同じことをするだろうと心を重ねてしまう時間だった」
●杉嶋未来(ライター)
「娘を失う恐怖に取り乱し、世界が終わるかのように暴走しながらも、娘に寄り添おうとする母親の愛情と想いが痛いほど胸に迫る。ラスト、“デス”がそんな母親に向けた言葉も、喪失の先の希望を感じさせてグッとくる。“死”を通して、“生”と“愛”を浮かび上がらせる、せつなくも美しい作品だ」
●門間雄介(ライター、編集者)
「否応なしに訪れる死と、人はどう向き合えばいいのか?苦しい日々を乗り越えるために、人はどう生きていくべきなのか?一見、奇妙で型破りな作品に見えるが、ここにはその真摯な問いかけと、真摯な探求がある」
●立田敦子(映画ジャーナリスト)
「『死』に対する狼狽、葛藤、恐れといった感情を大胆でユニークに視覚化したダーク・コメディドラマ。死をネガティブなものとして捉えず、死との関係性を築くことにフォーカスする。ジャンル風の独創的な作風でありながら、心に深く突き刺さる」
●末廣末蔵(ジャンル映画大好きツイッタラー)
「人間の“死”を容赦なく描くことで、相対的に宇宙、自然、生命の神秘にコネクトしてみせる驚愕展開…と同時に小さな人間による日々の営みも同じスケールでその尊さを説く離れ業…死を中心として血と暴力と苦痛が渦巻く社会を優しく包み込む“勇気”を大いに鼓舞する超怪作!」
●SYO(物書き)
「泣かせにかかってくる難病ものが苦手だ。作り手本位な搾取のにおいが強いから。本作は違った。神話性の中に喪失と救済―相反する死の真実の姿を現出させた。母の破滅的な行動も、娘の動かぬ心情も。全てに当事者性があふれ、心の芯に響く」
文/平尾嘉浩
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