2023年に逝去した音楽家の坂本龍一さんの幻のドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』(1985)が、40年の時を経て4Kレストア版として甦り、2026年に劇場公開されることが決定した。
【写真】坂本龍一さんの幻のドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版、フライヤー
現在、東京都現代美術館で開催中の大規模展覧会「坂本龍一|音を視る 時を聴く」(3月30日まで)は、平日でも長蛇の列ができるほどの人気を集めている。そんな中、1984年にフランス国立視聴覚研究所(INA)が制作したドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』の4Kレストア版が、2026年に劇場公開されることが決定した。
この作品は、坂本龍一さんが4枚目のソロアルバム『音楽図鑑』を制作し始めた時期に、東京でわずか1週間という短期間で撮影された。スタジオでのレコーディング風景やインタビューを通して、30代だった坂本さんが自身の生い立ち、価値観、音楽哲学、文化について語る姿を収めている。
そのほか、ベルナルド・ベルトルッチ監督作『ラストエンペラー』(1988)の劇伴制作の様子や、坂本さんが音楽と主演を務めた大島渚監督作『戦場のメリークリスマス』(1983)の映像、YMOの散開コンサートやプロモーションビデオの映像も含まれる。さらに、かつて新宿にあったアルタや渋谷のスクランブル交差点など、1980年代の東京の風景が生き生きと映し出され、「坂本の目と、彼のポートレートを通して見た東京の音」(エリザベス・レナード監督)を体感することができる貴重な作品となっている。
監督を務めたエリザベス・レナードは、ニューヨーク生まれのマルチメディア・アーティスト。彼女はジェリー・ルイスやシャンタル・アケルマンのポートレート撮影を手掛け、アンディ・ウォーホルやポール・シュレイダー監督作『三島由紀夫の四季』(1985)の撮影現場にも関わった。1983年、カンヌ国際映画祭で『戦場のメリークリスマス』のプレミア上映を観たことが、このドキュメンタリー制作のきっかけとなった。
本作は完成後、1985年のロッテルダム映画祭、ロカルノ映画祭、サンパウロ国際映画祭で上映され、日本では同年6月9日に第1回東京国際映画祭でのみ公開。その後、VHSとDVDが発売されたが入手困難な状況が続いていた。しかし、最近になって倉庫に眠っていた16mmフィルムが発見され、修復を経てデジタル化が実現。今年1月17日、坂本さんの誕生日に開催された「坂本龍一|Birthday Premium Night 2025」で特別上映が行われた際には、チケットがわずか2時間で完売。多くのファンの熱い要望に応え、ついに2026年、劇場での⼀般公開が決定した。
なお公開決定にあわせ、展覧会「坂本龍一|音を視る 時を聴く」では、本作の場面写真を使用した特報版フライヤーを限定配布中。
ドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版は、2026年全国公開。
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