サイコ×ホラー×スリラー×サスペンスが凝縮! 『ロングレッグス』ニコラス・ケイジがキモい連続殺人鬼に──【おとなの映画ガイド】

『ロングレッグス』

サイコ×ホラー×スリラー×サスペンスが凝縮! 『ロングレッグス』ニコラス・ケイジがキモい連続殺人鬼に──【おとなの映画ガイド】

3月10日(月) 3:00

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七変化怪優、ニコラス・ケイジの出演・プロデュース作『ロングレッグス』が3月14日(金)、日本公開される。公開日ですら、実はワケあり……ってほど、いくつもの恐怖が仕掛けられているこの作品、インディペンデント映画にもかかわらず、昨年夏の全米公開では、初登場で興行ランキングの2位にランクイン。過去10年における独立系ホラーの最高興収をたたき出す大ヒットとなった。どちらかというと、“絶叫系”が好きな人より『羊たちの沈黙』や『セブン』系のマニアにジワジワくるスリラーだ。

『ロングレッグス』

舞台は、1990年代のアメリカ・オレゴン州。異能に近い直感力を持つ新人FBI捜査官のリー・ハーカー(マイカ・モンロー)が、ある未解決事件の担当に抜擢される。ごく平凡な父親が家族を惨殺したのちに自殺するという不可解な事件。過去30年間で10回も発生しており、どの現場にも共通して、謎の“暗号文”と「ロングレッグス」という署名が残されていた。ハーカーは、類まれなる能力を駆使し、暗号文を解読していく。しかしそれは、とてつもない殺人鬼と対峙する、戦いの始まりでもあった……。

監督・脚本はオズグッド・パーキンス。ファミリーネームにピンときた映画ファンはいるとおもう。元イケメン俳優、というより、あのヒッチコック『サイコ』の“サイコキラー役”でホラー映画史上燦然と輝くアイコンになったアンソニー・パーキンスのご子息なのである。父が主演した『サイコ2』で子役としてデビュー。現在は俳優でもあるが、ホラー映画の監督として着実にキャリアを重ね、本作は『グレーテル&ヘンゼル』に続く4作目。

“犯人捜し”という単純な映画ではないので、あえて言ってしまうが、「ロングレッグス」を演じているのはニコラス・ケイジだ。さまざまな役を経験している彼だが、シリアル・キラー役は初めてだという。ケイジだといわないと、絶対にわからない異形のメイクアップで登場する。

ケイジといえば、フランシス・フォード・コッポラ監督一族に連なる映画ファミリーのひとり。だが、バッドテイストの映画がスキで、自前の製作プロダクションを持っている。会社名は「サターン・フィルムズ」。そんな恐怖のタッグで本作は作られた。

パーキンス監督がこの映画のモチーフにしたのは、日本のテレビでも取り上げられることの多い「ジョンベネ事件」だそうだ。1996年にアメリカ・コロラド州で起きた6歳の美少女殺害事件。

「とにかくとんでもない話で、長らく未解決のまま次々と驚くべきことが発覚した。しかも犯人は両親に違いないと思われたり……。事件が起きたのはクリスマスの時期で、ある本によると、両親がクリスマスプレゼン トとしてジョンベネの原寸大の人形を作らせて、彼女のように衣装を着せ、段ボール箱に入れて地下室に置いていたそうだ」とインタビューで監督は語っている。

また、映画『羊たちの沈黙』にも強く影響を受け、着想を得た。正義感に燃えるFBI訓練生と猟奇的なシリアル・キラー、ハンニバルの奇妙な交流を描くサイコスリラーの古典的名作だ。

それだけではない。「この映画には、ホラーのジャンルで期待されるすべてが詰まっている。斧を使った大虐殺、連続殺人鬼、悪魔にFBI。不気味な人形があり、不気味な納屋もある。まるで全部入りのミルクセーキのようなクオリティーだ」と胸をはるパーキンス監督。

のっけから、グラムロック、T.Rexの情欲的な歌詞が何かを暗示する。さむざむとしたオレゴンの風景は、『ツイン・ピークス』と同じアメリカ北西部の、何かおこりそうな感じ。犯行現場の惨状は『セブン』、連続殺人鬼が暗号を残すといえば『ゾディアック』……そしてハーカーによるロングレッグスの取り調べは、まさに『羊たちの沈黙』だ。ホラー好きなら、他にもあれこれ、引用を楽しむことができるだろう。もちろん、ジョンベネ事件を彷彿とさせるシーンもある。

というふうに、ノリノリで作っているようにもみえるのだ。

それにしても、ニコラス・ケイジ。近作の『ドリーム・シナリオ』は、主人公に扮する彼が、何百万という人々の夢のなかに登場するというストーリーだった。画面にも、メディアの宣伝でも彼の顔がいやというほどでてきた。今回は、一転して、宣伝用の写真にも予告編にも顔をはっきりださない方針だ。実のところその顔は、面影がないほどだから、別に彼が演じなくてもいいじゃん、と思ったりするのだが、やはりにじみ出る迫力が違う。

撮影中、特殊メイクを施したケイジを初めて見て、マイカ・モンローの心拍数は150bpmまで爆上がりしたそうだ。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

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