女性活躍と子育て支援について、国としてどんな政策を考え、実行しているのかを、2回にわたってお聞きしてきた内閣府副大臣の辻清人衆議院議員。4歳から17歳まで海外(カナダ、フランス)で生活し、日本で大学を卒業した後も、大学院とシンクタンク勤務で米国に滞在。人生のほとんどを海外で生活した、正真正銘の"グローバル人材"である辻副大臣の目に映る日本という国、そして日本の若者とは?
お話を聞いたのは…
辻清人内閣府・こども家庭庁 副大臣
1979年9月7日東京都出身、45歳。4歳から17歳までをカナダで、25歳から32歳までをアメリカで過ごす。京都大学経済学部卒業、米コロンビア大学公共政策大学院修了。米戦略国際問題研究所(CSIS)研究員。TOKYO自民党政経塾7期生。
※辻の表記は一点しんにょう。
>>辻清人公式HP
―海外生活の長い辻さんには、日本というのはどんな国に映っていますか。
辻副大臣
:日本に来て感じたのは、特に政治や経済の分野ということになるかもしれませんが、社会問題に相対するときに、個人的な問題を、そのまま公的な問題に膨らます人が多いということですね。
―どちらかというと、海外の方が、個人の問題から発展して社会の制度が変わるという印象を持ちます。
辻副大臣
:私の場合、海外と言っても西洋になるので、その観点からすると、個人の考えから結社してムーブメントを起こすというのは、確かにあります。しかし、社会のシステムや法律を作るときには、感情論と制度論はうまく切り分けられていると思います。「私が苦しんでいるから、周りもみんな苦しんでいるはず」という前提は、やはり西洋の場合はないかなと思います。
―対して、日本は?
辻副大臣
:法律ではないけれど、みんながこう思ってるいから、こうしようという社会的な圧力があって、誰も決めてはいないけれど、それに従わざるを得ない空気があるような気がしますね。例えば、結婚とか、服装とか、あと何時に集まるとか。
―空気を読むことが大事と考えられているところはありますよね。
辻副大臣
:そう。出社時間は9時なのに、8時半には集まるのが「普通」みたいな。8時50分に来る人はなんかちょっと変わってるというような、個人の感情が集まって集団心理になって、その集団心理っていうのは、結局、ともすればムラ社会とかいろんな言葉で形容されますけど、少なくとも私が経験した西洋の場合も、個人の考えはもちろんあるんだけれど、それと制度は切り離しているんですよね。始業は9時だから8時59分59秒に来ても、ちょっと遅いなとは思うけれども、間違ってはないはずなのに、99人が8時半にきて、1人だけ59分に来ると、何かの査定の時に、「あの人、ちょっとね」というような集団心理で誰かが傷ついてしまうことっていうのもあると思うんですよね。
―それ、私もよくわかります。会議開始の10分前に行って、私以外みんな席についていて、会議の時間には決して遅れてないのに、「遅くなってすみません」と言うことに、すごく違和感を覚えました。
辻副大臣
:何となく周りの常識に合わせることで無駄な争いごとがなくなったり、何も議論をしなくても、1日が終わるというのは、まさに日本が良しとする「和」ということなんでしょう。ただ、法律でも戒律でもない、ある種の慣習というものをたくさん作っていて、それが制度とは別のところで動いているというのは、悪い部分もあるのではないかと思うんです。
―いわゆる「同調圧力」のようなものだと思いますが、やはり多様性が尊重されていくのは、日本では難しいのかなと思ってしまいますね。
辻副大臣
:多様性のあるところでは、集団でもいろんな考え方があって、それに依拠するとまとまらないから、一つのルールがあると思うんです。ただ今回の大統領選を見ると、アメリカも、多様性のあり方を強烈に示してきた一方で、それに対して「どうなの」という思いに共感すると、それで勝ち抜くこともできた。そう考えると、日本もアメリカも、結局みんな同じ人間なので、現象としては同じことが起こりうるんだと思います。
―政治家として、日本社会にいるからこそ感じることはありますか。
辻副大臣
:今、法律を作る仕事をしている身としては、日本のそれぞれのコミュニティにある自前のルールみたいなものを吸い上げるプロセスというのは、当初は面倒なことと思いましたが、日本は日本の文化があるので、それはとても大事なことだと、今は思います。ただ、それゆえに時間がかかってしまうことは、AIやサイバーなど、日進月歩で世界が動いている時に、ボトムアップ型より、国が主導して意思決定を速くして、国民を守らないといけない分野もあると思います。
―若い世代には、政治との向き合い方として、どのようなことを期待しますか。
辻副大臣
:政治に対して、恐れずに議論し、参加してほしいですね。普段から議論や考えることをせずに、いきなり選挙のときにキャッチーな言葉を聞くと、それに流されてしまうと思うんですね。最終的に、国民は納税者、タックスペイヤーとしての責任として選挙に行ってほしいと、そう思っています。
―最後に、辻さんは政治家としては、どのようなことを心がけたいですか。
辻副大臣
:我々のように現役の子育て世代の議員は、同じ世代の方々の意見を手厚く聞くということを心がけたいと思っています。今を生きる人たちに、より幸せになってほしい。稼いで、子育てもして。そのためにも、政治に興味を持ってほしいと思っています。
取材・文/政治ジャーナリスト細川珠生
政治ジャーナリスト細川珠生
聖心女子大学大学院文学研究科修了、人間科学修士(教育研究領域)。20代よりフリーランスのジャーナリストとして政治、教育、地方自治、エネルギーなどを取材。一男を育てながら、品川区教育委員会委員、千葉工業大学理事、三井住友建設(株)社外取締役などを歴任。現在は、内閣府男女共同参画会議議員、新しい地方経済・生活環境創生有識者会議委員、原子力発電環境整備機構評議員などを務める。Podcast「細川珠生の気になる珠手箱」に出演中。
(細川珠生)
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