松坂桃李の芝居が年齢とともに迎えてきた変遷「御上先生」から「スオミの話をしよう」まで挑戦し続ける意欲の源泉

松坂桃李が年齢とともに迎えてきた変遷/(C)フジテレビ 東宝

松坂桃李の芝居が年齢とともに迎えてきた変遷「御上先生」から「スオミの話をしよう」まで挑戦し続ける意欲の源泉

3月6日(木) 22:00

松坂桃李が年齢とともに迎えてきた変遷
【動画】ミステリとコメディの三谷ワールド全開…「スオミの話をしよう」予告編

現在放送中の日曜劇場「御上先生」(TBS系)で主演を務め、改めて話題を集めている松坂桃李。“官僚”兼“教師”という難役を見事にこなす演技力は、唯一無二の存在感を放っている。直近でも「VIVANT」「流浪の月」「この世界の片隅に」などで好青年・イケメンといった二枚目役を演じている松坂だが、36歳を迎えた彼の演技を振り返って見ると年代とともに変化しているように思える。いまや日本を代表する俳優の1人である松坂が歩んできた歴史を振り返り、その変遷を振り返る。

■俳優・松坂桃李の歩んできた道

松坂桃李はモデルとして芸能活動を始め、2009年に「侍戦隊シンケンジャー」でシンケンレッドとして俳優デビュー。以後2011年の「アントキノイノチ」「僕たちは世界を変えることができない。」で「第85回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞」「第33回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞」を受賞すると、翌2012年には「麒麟の翼 劇場版・新参者」「ツナグ」で第36回日本アカデミー賞・新人俳優賞を獲得する。

立て続けのヒット作出演で人気を得た松坂は、さらに「映画『MOZU』」「この世界の片隅に」「パーフェクトワールド」「ヘンリー四世」「娼年」など数多くの映画、ドラマ、舞台などに登場。主演作はもちろん、サブキャラクターとしても強烈な存在感を放った。

そんな松坂の基本方針は、「作品が面白そうであれば何でも挑戦する」。“何でも”というのは1年に2本から3本程度の映画撮影に参加し、その合間を縫ってドラマや舞台を挟むというタイトなスケジュール的な意味もある。だがどちらかといえば、やはり役柄・演技の方向についての意味合いが強いようだ。

その象徴ともいえるエピソードが、2016年公開の映画「秘密 THE TOP SECRET」にある。ドラマ「ハゲタカ」、実写映画「るろうに剣心」シリーズで知られる大友啓史監督の手による作品で、松坂は作中で主人公に強い影響をもたらす鈴木克洋というキャラクターを担う。鈴木はすでに故人という役柄なのだが、大友監督は脚本に「死体から涙が流れる」というト書きを入れたという。

もちろん目も開かず、一切のアクションをしないまま涙を流すというのは相当な難易度。死体という役柄である以上仕方のないことではあるが、大友監督も後に映画専門メディアのインタビューでは「なんて無茶な要求をしてしまったんだろう」と口にするほどだった。だが松坂はそんな要求にも「やってみます」と挑戦。

また同メディアは松坂へのインタビューも実施。上記のエピソードについて当時の心境を尋ねたところ、そうした姿勢は「自分を信用できない」ところに端を発するそうだ。「絶対に出来るという自信はないけれど、絶対に出来ないという自信もない」その言葉が、松坂桃李という俳優をここまで色彩豊かに育てた大きな要因であることは間違いない。

■好青年役の深化と、担う役柄の変化

松坂は過去のインタビューで「この仕事を続けるためには、今までやってきた作風とは違うものをやっていかなければいけないと思いました」と応えている。30歳という節目を前にして、役者として一歩踏み出したという。

たしかに20代の松坂といえば2013年の映画「風俗行ったら人生変わったwww」、2016年のドラマ「ゆとりですがなにか」などでコミカルな役を演じるものの、数としてはそこまで多くはない。「不能犯」を始めコミックスの実写化で奇妙な人物を演じることはあったが、あくまで「ミステリアスな」「危険な香りのする」「絵に描いたような」と冠が変わるだけ。美青年・好青年という枠からはあまりはみ出てこなかったのだ。

そんな松坂が変化するのは、言葉どおり年齢が30に差しかかる前後。2021年のドラマ「あのときキスしておけば」では“キャリア史上もっともポンコツ”という桃地のぞむ役を演じ、2023年には宮藤官九郎と大石静がタッグを組んだ「離婚しようよ」で能天気坊ちゃん・東海林大志を務めた。

もちろん従来通りの“シリアス”な役柄を捨てたということではない。2018年の映画「孤狼の血」では真面目な新米刑事・日岡秀一が裏社会との闘争にもまれてハードボイルドに変化していく姿を演じ切り、同じく2018年公開の映画「娼年」では日常や女性関係に無気力な大学生・リョウを退廃的に、かつ色気たっぷりに演じている。これまでの路線はさらに深く濃く進化させつつ、コメディー作品で表現の質を変化させたのだ。

最新作の映画「スオミの話をしよう」(2024年)で松坂が演じるのは、髪色がグリーンのスオミの“2番目の夫”で怪しげなYouTuber・十勝左衛門。同作では松坂のほか、主演の長澤まさみ、西島秀俊、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎といった話題性も演技力も折り紙付きの豪華メンバーが出演している。

脚本は稀代のコメディー作家・三谷幸喜。スオミという女性が行方不明になったことをきっかけにスオミの過去を知る男たちが続々と集まって「誰が一番スオミを愛していたのか」「誰が一番愛されていたのか」と語りあう。しかしそれぞれの語るスオミは、まるで別人のように見た目も性格も全く異なっていて…。

「喜劇というものを改めて学ばせてもらいました」とコメントを寄せる松坂だったが、同作では西島秀俊ともども“台本を見て初めて知った”初のミュージカルシーンにも挑戦。演技の幅が広い松坂にとっても初挑戦となる、新たな一幕が見られる作品というわけだ。

なお「スオミの話をしよう」は2月26日(水)にBlu-ray&DVDが発売され、スペシャル・エディションには「完成披露舞台挨拶」や「初日舞台挨拶」といったイベント映像集が収録。舞台でのあいさつにおいては撮影の苦労話や、三谷監督から「なんか裏で企んでるんじゃないか」と感じさせる松坂への演技総評も見られる。

優れた演技力をさらなる挑戦で磨き、発展させ、容姿に囚われない自由な役どころまで表現するようになった松坂桃李。これからもさらなる進化を続けるであろう日本の名優に、今後も注目していきたい。



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