【写真】鬼木幸治の監督・脚本による「FAAAWWW!!!」…ビジュアルもインパクト大クリエーターの発掘・育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画製作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」のSeason6がLeminoで配信中。同プロジェクトは「誰でも映画を撮れる時代の幕が開く」を合言葉に2020年に発足し、年齢や性別、職業やジャンルに関係なく、メジャーとインディーズが融合した自由で新しい映画製作に挑戦している。今回は2月21日より新たに配信された「カフネの祈り」をはじめ、「サン・アンド・ムーン」「FAAAWWW!!!(ファー)」の3作品の魅力を紹介する。
■プロ・アマ問わず、映画監督として多彩な才能を見いだすプロジェクト
2020年に始動した「MIRRORLIAR FILMS」はand picturesの伊藤主税、阿部進之介、山田孝之らのプロデュースによる、メジャーとインディーズの垣根を越えて映画を作り上げる短編映画製作プロジェクト。Season1〜5では、第一線で活躍する俳優や映画監督をはじめ、漫画家、ミュージシャンなどが監督した42本のショートフィルムが全国の映画館で公開された。
著名なクリエーター陣はもちろん、一般公募の作品など、多彩かつ新鋭的な作風も多くラインアップされており、シーズンを重ねるごとに注目度も高まっている。
Season6では俳優の小栗旬や「第82回ゴールデングローブ賞」助演男優賞受賞でも話題の浅野忠信が監督を務めたショートフィルムが配信された他、3人の気鋭クリエーターの個性が光る作品も登場している。
「カフネの祈り」は、2001年生まれの写真家・映像作家の増田彩来監督が自身の実体験に基づき、主人公の素直な感情を優しく、丁寧に表現。物語は東京で暮らす19歳の大学生・奏良(伊礼姫奈)のもとに、井浦新演じる祖父の訃報が届き、母(板谷由夏)、妹(野澤しおり)と一緒に祖父母の家を訪れるところから始まる。安らかな表情で目を瞑る祖父を目の当たりし、祖父の死や薄れていた祖父との記憶がだんだんとよみがえってくる。
劇中では、奏良を演じる伊礼の表情で彼女の感情の移り変わりが表現され、奏良が認知症が進んでいく祖母(田島令子)を通し、時間が過ぎて行ったことを痛感している様子も伝わってくる。奏良が自分の尊い記憶は「過去」のものだったと認識する瞬間に湧き出る寂しい気持ちは、帰らぬ時間に思いを寄せながらも「未来」を大切に生きようということを教えてくれているように思える作品だ。

■異母きょうだい同士の2人の会話劇に新感覚ホラー
一方、“TAO”名義でモデルとして活躍し、ハリウッドデビューも果たしている岡本多緒が企画、監督・脚本・出演した「サン・アンド・ムーン」は、ファミレスの一角で繰り広げられる異母きょうだい同士の2人の会話劇。父親の葬儀に突然現れた男性と彼の存在を知らなかった女性が、火葬場に戻るまでの時間を一緒に過ごすところから物語は展開する。
何を話してもネガティブな男性と一切話がかみ合わなかった女性だが、会話を通じて目の前に居る男性が自分の異母きょうだいであるという事実を知ることに。ああ言えばこう言うの繰り返しで2人は全く話が進まないものの、高圧的な言葉を投げ掛ける男性は、幼い頃に父親との悲しい思い出があり、その思いを女性に打ち明けていく——。
終わりの見えない会話劇には、父の死に直面した男女2人の複雑な思いが絡み合い、どこにも矛先を向けられない歯がゆい思いが表現されている。また、舞台となった「ファミレス」もリアルで、本作のじれったい会話劇との絶妙なバランスを演出している。
「FAAAWWW!!!」は、誰もいない河原に静かに佇む2人のチンピラと、彼らの前に立つゴルフクラブを握り締めた異様な男性の出会いを描いた物語。アメリカ・ロサンゼルスで映画製作を学び、短編映画を中心に製作している鬼木幸治氏が監督を務めた。
同作の第一印象は、星耕介演じる異様な男性が見せる不気味な笑みだ。銃口を向けられても物怖じせず「でも私、ちゃんと言ったんですよね。『ファー!』って」と言い訳を繰り返す姿は、コミカルなムードを演出しながらもどこか怖い。
後に彼はチンピラに殺されてしまうのだが、そこからがこの異様な男性の真骨頂で、チンピラの1人(亀沢純一)の人生にまとわりつき、しまいには彼の妻に憑依(ひょうい)するような形で再び現れる。憑依といってもただチンピラの耳元で「ファー!」と叫ぶだけのライトな怨念。愉快な声にも聞こえてしまう「ファー!」が生み出す奇想天外なホラーとして一度体感してもらいたい。
「MIRRORLIAR FILMS」Season6はLeminoにて配信中。
◆文=suzuki

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