「僕は、下半身が動かない障害者になりました」マンションから飛び降りた31歳男性の“過酷な現実”

死にたい気持ちに悩まされつつも「生きていていいんだと最近思えた」と吉野さん

「僕は、下半身が動かない障害者になりました」マンションから飛び降りた31歳男性の“過酷な現実”

3月2日(日) 6:54

提供:
自殺で命を落とす者たちがいれば、未遂で生き永らえる者たちもいる。“死ねなかった”人々はどんな後遺症を抱え、その後どのような人生を歩むのか。彼らの声に耳を傾け、“生きること”の意味を考える。

「生きづらさに殺される」自殺未遂で下半身不随に

「4階のマンションの部屋から、頭から着地するように後ろ向きに飛び降りた。確実に逝けると思ったんです」

そう語るのは吉野聡さん(仮名・31歳)。飛び降りた直後に友人に発見され、一命を取り留めた。しかしその代償は、脊髄損傷、下半身不随という重すぎる現実だった。

生きづらさの原因になったものは?

「僕が幼稚園の頃から、統合失調症を患う母が突然ヒステリーを起こして家中引っかき回したり、僕をかばってくれた祖母と大喧嘩をしたり常に荒れていた。父とは僕が小学校低学年の頃に離婚。いつしか『自分は死んだほうがいい』と思うようになったんです」

自殺の原因は他にもある。

「同性しか愛せない自分の性的指向も悩みでした。それに、勤め先のコールセンターで毎日罵声を浴びるのも辛かった」

「自力で排泄も入浴もできない」

一人暮らしをしても、状況は変わらなかった。

「脆くて不安定な性格の上に、いろんな“生きづらさ”が乗っかっているような状態です。もう人生を終えようと思った。でも死ねなかった。そして僕は、下半身が動かない障害者になりました。移動は車いすで、自力で排泄も入浴もできない。こんな体になりたくて、飛び降りたわけじゃないのに」

「少しだけ楽観的になれた」リハビリに励む

障害者施設に入居してもうすぐ1年。暗闇の中でもがきながら、最近、少しずつ心境に変化が表れてきたという。

「まだ、自分が障害者であることに慣れていません。治るわけがないのに、再来年ぐらいには自力で立てるんじゃないかと思ってしまう。でも慣れていないからこそ、少しだけ楽観的になれた気がします。歩行器を使ったリハビリも、最近始まりました。できることを増やしたい。足かせは重いけれど、いつか社会復帰をして自立するのが僕の夢です」

▶︎不安・悩みを抱える人の相談窓口
【インターネット】「まもろうよこころ」で検索
【電話】「#いのちSOS」0120-061-338「よりそいホットライン」0120-279-338

取材・文/週刊SPA!編集部



【関連記事】
「お化けだ」「気持ち悪い」生まれつき“顔のアザ”に悩んだ男性が語る半生。精神疾患になる人も
「自分の意思で排泄ができなくなった」自宅アパートから飛び降りた18歳女性。語った後遺症の現実と、家族への思い
オフィスの窓から飛び降りて、障がいを負った33歳女性が語った「壮絶半生」と「今、伝えたいこと」
歌舞伎町のホテルから飛び降りた16歳の“トー横キッズ”。亡くなる直前に語った「壮絶な過去」と「大人への絶望」
「煙草は一日1.5箱」生活保護を受給する58歳男性漫画家が「後悔はない」と語る理由
日刊SPA!

生活 新着ニュース

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ