【漫画】お酒はその倍量の“和らぎ水”を一緒に…全成人に知って欲しい“悪酔いしない飲み方”を解説した漫画に「大変勉強になりました」の声
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ツイ4にて連載された、原作:杉村啓さん、漫画:アザミユウコさんの作品『白熱日本酒教室』をピックアップ。
杉村啓さんが1月13日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、8,000件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、作者の杉村啓さんとアザミユウコさんにインタビューを行い、創作のきっかけや作品へのこだわりについて語ってもらった。
■お酒を悪酔いしないで飲むためにできること
白熱日本酒教室の講師・むむ先生とその助手が、日本酒のさまざまな疑問に答えてくれる本作。今回は、4時間目となる「悪酔いしない飲み方を学ぼう!」の回となる。
ある日、助手が二日酔いで辛そうにしている姿を見たむむ先生は、“お酒の飲み方”を教えることに。泥酔してしまうと、自身がつらいだけでなく、周りに迷惑をかけてしまったり、最悪の場合は急性アルコール中毒になってしまったりすることもある、というむむ先生。
悪酔いしないためには、“自分の限界のはかり方”をまず学ぶ必要があると言う。そのためには各種お酒に含まれているアルコール量を知り、そこから各人の体格によって飲める量を計算する必要がある、と助手に教える。さらに、睡眠時間もアルコールが肝臓で分解されるには必要であることを知った助手は、先日自分がなぜ悪酔いしてしまったかをはっきりと理解する。
さらに詳しく体内でのアルコールの分解について説明するむむ先生。二日酔いや悪酔いをしないためには、飲み過ぎないことが一番であるものの、お酒を飲む時にはお水を沢山飲むことや、肝臓の働きを助けるサプリメントやドリンクなども効果的であることを教えてくれるのだった。
作品を読んだ読者からは、「特定の量ごとにお酒の単位として自分の限界を調べようってのは面白いなー」「全人類のうち酒を飲む人、飲むであろう人は読んで欲しい」など、反響の声が多く寄せられている。
■原作・杉村啓さん「本当にお酒のことがわからない人向けに書くということを心掛けました」、漫画・アザミユウコさん「目で見てわかりやすい表現にすることを心がけて」
――『白熱日本酒教室』を書かれた(描かれた)きっかけや理由などをお教えください。
杉村啓:実は白熱日本酒教室にはいくつかのバージョンがあります。作った順番に、パイロット版(?)、同人誌版、新書版、漫画版、新書増補改訂版です。アザミさんの本『酩酊女子〜日本酒酩酊ガールズ〜』(ワニブックス)で、合間のコラムとして「むむ先生の超やさしい日本酒講義」というお酒の説明をするコーナーがありまして、それがパイロット版です。これを一冊にしてしまおうと、同人誌版の『白熱日本酒教室』ができました。そしてこれが自分で言うのも何なのですが、とてもできが良かったので編集さんに「新書にならないかな」と送ったところ、新書の企画がスタートして新書版ができました。
その後、もっと広く日本酒初心者向けにいけないかということで、漫画版が誕生したのです。そして2024年には、新書版の発売10年ということで、日本酒をとりまく環境などがかわったために増補改訂版を作らせていただきました。
アザミユウコ:杉村さんも私もどちらも日本酒が好きで、日本酒を通じて知り合った友達の友達が杉村さん、でした。そんな中で、絵や漫画は描けても日本酒の造り方や詳しい説明ができない私が、丁寧に説明するのに定評があった杉村さんに声をかけ、同名の同人誌を作ったのが始まりです。同人誌版も商業版(新書)も文字が多めの構成だったのですが、漫画なら読める、理解しやすいという方向けに漫画版をやれないか、と編集さんからお声がけがあり、漫画版白熱日本酒教室の企画が立ち上がりました。日本酒との出会い〜漫画になるまでは簡単に1巻の巻末に描いていますので、読んでみてください。
――今作において特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
杉村啓:同人誌版も新書版も「お酒が好きな人」を念頭にして作っていました。でも、漫画にするにあたって間口をもっと広げたいということと、掲載されていた『ツイ4』という媒体ではお酒に興味のない人もいる。じゃあ、「そもそも日本酒って何だろう」と、本当にお酒のことがわからない人向けに書くということを心掛けました。
アザミユウコ:とにかくわかりやすく、丁寧に説明することですね。
言葉では一言で終わってしまうお酒造りの現象でも、杉村さんと話し合いながらなるべく分解して、丁寧に伝え、目で見てわかりやすい表現にすることを心がけて演出・作画しています。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
杉村啓:毎年RTしていただいている、悪酔いしない飲み方(1巻4時間目)です。
自分がもともとお酒にめちゃめちゃ強いわけではないので、悪酔いしない飲み方に関しては昔からずーっと考えていました。結局、みんなが一番避けたいのが悪酔いだと思いますし、お酒にマイナスイメージを持っている人も悪酔いするからという理由が大きいと思います。もちろん健康にもよくないですし。
もともとは一番最初の1時間目あたりにしようと考えていたぐらい、全員が最初に学ぶべき知識でもあると思っています。さすがに、「日本酒」の話を期待して読んだ人がなかなか日本酒が出てこないという展開になるのはよくないと考え、1巻の最後に入るように調整しました。なので、どうやったら伝わりやすいか、水や睡眠の大切さが伝わるかをすごく考えて原作を作りましたし、アザミさんがそれに十二分に応えてくれたので、とてもわかりやすく仕上がった回だと思います。
アザミユウコ:2巻冒頭の5時間目『日本酒の造り方をざっくり見てみよう!』です。
日本酒造りの過程を、戦国武将に扮した酵母を主人公にして、説明しているのが5時間目の内容です。戦国時代をテーマにした有名歴史シミュレーションゲームをモチーフにした展開で、少し異なるのは微生物の世界では下剋上などなく、大多数が勝利する世界観というところでしょうか。そこで、お酒タンクの中で天下を取った酵母が、製造者であるタンクの外側にいる人間に裏切られて『火入れ』され死滅させられてしまうところがとても気に入っています。微生物を人間が支配して操作しているのがお酒造り、ということをうまく表現できました。その後の生酛・山廃の説明にも反映され、お酒タンクの中の世界を絵として表現しやすくなったのもあって、お気に入りです。
――Xの投稿には多くの反響やコメントが寄せられましたが、その中で特に印象に残っているものはありますか?
杉村啓:毎年、成人の日に投稿させていただいているんですが、「成人式で配るべき」と言ってくださっている方が多いのが印象に残っています。中には、市議会議員さんのXアカウントでそういう発言をされている方もいらして、もう何でも協力するから言って! と思いました。
アザミユウコ:どんなお酒を飲む方にも有用なパートを投稿しているからか『成人を迎えたものたちよ、これだけは覚えて帰ってくれ!』と年齢性別関わらず、RTや引用RTしてくださっているのがとても嬉しいです。そのおかげでより多くの方に届いているのではと思います。
――ご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
杉村啓:日本酒は進化していく業界なので、それこそ書き切れなかった部分とかはどうしてもあります。そういった意味では、ネタが1冊分たまったら漫画版の4巻目を作るとかは、ちょっとやってみたいですね。
あとは……2024年は、縁があって、僕の持っている趣味のひとつ「いけず石」に関して、新聞やテレビやYouTube番組に出させていただいたので、いけず石の書籍をまとめたいという気持ちが少しあります。ご興味のある方、出版社の皆様、オファーをお待ちしております(笑)もちろん、醤油やらグルメ漫画やら調味料やらでも何でも。
アザミユウコ:漫画『白熱日本酒教室』の英語版。これほどビジュアル的にわかりやすさを極めた、日本酒の教科書は他にない!と思っていますので、日本酒と一緒に輸出してもらえないかといつも考えています。それから先日新書版の白熱日本酒教室の新版が出たところですので、漫画版も続編が出せたらいいな…?また、旅も好きなので、お酒と旅の漫画も描きたいですね。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
杉村啓:読んでくださって本当にありがとうございます。毎年、同じことを発信しているのですが「今年もこれを読んで1年が経ったと実感する」と言ってくださる方もいらして、覚えていただいているんだなあとありがたく思います。お酒を飲むときにはちょっと飲み方について思い出していただいて、それが結果的に皆様のお酒ライフを楽しくする一助になるのでしたら、うれしいことこの上ありません。今後ともよろしくお願いいたします。
アザミユウコ:『白熱日本酒教室』をお楽しみいただいている皆様へ。読んでくださってありがとうございます。これからも酒・食・旅に関わる作品を描いていけたらと思っていますので、お付き合いいただけたら幸いです。
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