【漫画を読む】夫から「お前は家から出るな」と言われるが…!?
子どものころから漫画が好きで、ユーモア溢れる漫画を描いている宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さん。X(旧Twitter)にて公開された「夜逃げ屋日記」は、DV被害などに遭う依頼者を夜逃げさせた実話を基に描かれた人気漫画だ。今回は、過去にウォーカープラスで紹介した「夜逃げ屋日記」の49~50話をお届けするとともに、著者に依頼者が夜逃げを選択したことについても話を聞いた。
夫も義母も実家への帰省を嫌っていたので、50年前に嫁いでから一度も海を見ていないという朝倉ミツコさん。妹はそんなミツコさんを心配して、時々様子を見に来てくれていた。
ミツコさんは15歳で大好きな母を亡くして、つらくて泣く日々が続いた。そんなとき、家の前にある浜辺で何時間も海を眺めてた日のことを、ミツコさんは忘れられずにいた。
そして、今までの人生を振り返ると「夜逃げを中断したい」と言い出すミツコさん。話をずっと聞いていた夜逃げ屋の社長は、「旦那と義母から普段なんて呼ばれてる?」と質問をする。ミツコさんの頭の中に「お前は家から出るな」「お前はウチの嫁失格じゃ」など夫や義母から言われた言葉が次々に蘇ってくる。
動揺したミツコさんの姿を見て、社長はあることを確信。一番近しい人間に長い間名前を呼ばれなかったせいで、ミツコさんは自分が誰なのかハッキリしなくなって名前と姿が一致しなくなっていた。
ミツコさんは社長から手鏡を渡されると、鏡に映った自分自身の姿をよく見て「ミツコ、ミツコ」と繰り返し名前を呼ぶ。そして、「私、老けたなぁ」と言って涙を流す。
ミツコさんと社長、そして宮野は車で引っ越し先のアパートへ向かう。車の窓を開けると磯の香りを感じたミツコさんは「停めてください」と言うと、車から降りて社長と二人で海へと歩いて行く。そして、ずっと見たかった海を眺めると若いころに戻ったような気持ちになり、「ただいま」と言う。
ミツコさんは医者から「余命3カ月」と言われていたが、この日から1カ月半後に病状が急激に悪化。その後、病院で静かに息を引き取った。
妹さん曰く、ミツコさんは病床で長年の結婚生活にはほとんど触れることなく、移転先での話や幼いころの思い出を楽しそうに話していたようだ。彼女にとって人生最後の1カ月半は、かけがえのないものになったのではないだろうか。
――余命3ヶ月だったミツコさんは、夜逃げを選択してよかったと思いますか?
もう本人はこの世にはいませんから、自分の想像になりますが妹さんの話を聞く限りやってよかったと思っています。
「夜逃げ屋日記」は待望の第3巻が発売され、著者と夜逃げ屋の社長との対談(前編/後編)も実現した。夜逃げ屋に興味や関心があれば、この機会に一度読んでみて!
取材協力:宮野シンイチ(@Chameleon_0219)
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