【写真】シブい…!ハリソン・フォード声優歴約40年の村井國夫撮り下ろしショット
マーベル・スタジオの劇場公開最新作「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」が2月14日に日米同時公開された。今作では、レジェンド俳優ハリソン・フォードが米大統領サディアス・ロス/レッドハルク役で、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に初参戦。長年にわたりフォードの声を担当し、本人のお墨付きである村井國夫が日本版声優として出演している。このほどそんな村井にインタビューを行い、アフレコするときに心掛けたことや“俳優・ハリソン・フォード”への思い、理想のヒーロー像などについて語ってもらった。
■約40年にわたってフォードの声を担当
同作は「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年、ディズニープラスで見放題独占配信中)のラストで、初代キャプテン・アメリカのスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)から“正義の象徴”である盾を託されたサム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)が、葛藤と苦悩を抱えながら、陰謀と壮大な戦いに巻き込まれていく物語だ。
――村井さんは映画「インディ・ジョーンズ」(1981年ほか)シリーズをはじめ、約40年にわたってフォードさんの声を担当されてきましたが、吹き替えの芝居にはどんな思いがありますか?
吹き替えに対しての“疑問”というものがずっとあるんですよ。例えば、なだぎ(武)くんのネタに出てくる外国人のキャラクターはすごくいい声でしゃべるじゃないですか。映画やドラマも同じで、吹替の芝居となるとどうしてああいう声の出し方、話し方になるんだろうと。それが不思議で仕方がなかった。
ところが、最近は作るほうもそういう疑問を感じるようになったのかナチュラルな芝居をする方が多くなって。随分変わってきたなと思いました。
――確かにテレビで見ていた外国の映画やドラマは、しゃべり方に特徴がありましたね。
僕らはアメリカのテレビ映画で育ったわけですよ。「ララミー牧場」や「サーフサイド6」だとかを毎週食い入るように見ていました。その頃の演技は作り込んでいるというか、やけにいい声で芝居をされていて、その印象がずっと残っていたんです。
それが最近は変わってきてうれしいなと。だから、今回はなるべくリアルな感じで自然にということを心掛けました。結構大変な作業でしたけどね(笑)。
――監督からは、どんなディレクションがあったんですか?
今回の監督はとても細かかったです。作品の世界に関してもいろいろなことを知っていて詳しい。アフレコのときも「あ、こういう指示をなさるんだ」と思いながらやっていました。僕みたいな80歳を過ぎた役者に対しても容赦なかったです(笑)。
■「特に細かかったのは息遣い」
――声のトーンや話すスピードに関するリクエストが多かったんですか?
それはもうごくごく普通にあることで、特に細かかったのは息遣い。セリフの中で息を吸ったり吐いたりしているんですけど、それをちょっとでも忘れたりタイミングがずれると、その部分だけ録り直し。ハリソンさんは、そういう表現をする芝居が多いんですよ。ここは吸っている、ここは吐いている、ここは間が空いているという芝居を監督はちゃんと見ているんです。
もちろんそれは大事なことなんですけど、監督によってはそういうことを気にしない人もいますから。
――俳優としては「何か言ってほしい」という思いもあるんですか?
やっぱり、自分が考えたことだけでは限度がありますから。そこにプラスして他の人の意見が入ると膨らんでいくんです。だから、何か言ってくれる演出家じゃないとやりたくないという気持ちはありますね。
今回の監督は自分が撮りたいもの、やりたいことに対して真摯(しんし)に向き合っていたからとても刺激的でした。
■フォードの年齢の重ね方「深みのようなものが出てきたのかなと」
――ハリソン・フォードさんの年齢の重ね方についてはどのように感じていますか?
僕が最初に声を担当したのは「スター・ウォーズ」シリーズ(日本テレビ版)のハン・ソロかな。もちろん、その前から知っていたし、ずっと見てきていますから。たぶん、吹き替え作品数の多さで言ったら僕か磯部勉でしょう。最近は(内田)直哉も入ってきたりしているけど(笑)。
ハン・ソロの頃のハリソンさんは芝居もそうですけど、アクションが魅力的。当たり前ですけど声の質も違いますよね。それから少しずつ年齢を重ねていって50代、60代になってくると落ち着きといいますか、深みのようなものが出てきたのかなと。50代半ばの頃の「エアフォース・ワン」(1997年)で演じた大統領は特に芝居をしていなくても存在感に重みがあってすてきでしたよね。
――今回の「キャプテン・アメリカ:BNW」でも大統領役ですね。
アメリカの大統領・ロスとしていろいろな問題を抱えていたり、新しい“キャプテン・アメリカ”サム・ウィルソンへの思いが見え隠れしていたりして。ロスがレッドハルクへと変貌してサムに襲い掛かる物語も展開されますが、全体的に人間ドラマとしても成立しているところが面白いですよね。
――村井さんにとっての“理想のヒーロー”像は?
いろいろなヒーローがいて、それは時代によって違うわけですよ。僕たちが最初に見たヒーローは「鉄腕アトム」であり「スーパーマン」。完全無欠でとにかく強い。そして、きれいで美しいというイメージなんです。
ところが、時代を経て現代はと見てみるとダーティーなヒーローもいるし、クリント・イーストウッド作品に出てくるようなヒーローも存在する。つまり、ヒーローというのは力強いだけじゃなくて、悪も善も清濁併せ呑むようなところもある。今の日本にそんなヒーローがいるのかどうかは分からないけど…(笑)、昔とは変わってきているのかもしれませんね。
そういう意味で言うと、今回の“キャプテン”であるサム・ウィルソンは昔のヒーローと同じで強くて美しい。それに加えて、いろいろ悩みながらも自分で新しい何かを見つけて戦っていく。そんな新しいタイプのヒーロー像みたいなものを楽しんでいただけたらと思います。
◆取材・文=小池貴之
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