【開幕レポート】「日本の巨大ロボット群像」が金山南ビル美術館棟で開催中

「日本の巨大ロボット群像」

【開幕レポート】「日本の巨大ロボット群像」が金山南ビル美術館棟で開催中

2月17日(月) 3:00

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福岡を皮切りに全国各地を巡回し、人気を博してきた「日本の巨大ロボット群像」が、2月15日に金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)にて開幕した。

日本独自のジャンルである「巨大ロボットアニメ」のデザインとその映像表現の歴史を紐解き、「巨大ロボットとは何か」を問いかける、かつてない展覧会として話題の本展。

1963年のテレビアニメ『鉄人28号』放映から60年、日本では脈々と「巨大ロボット」が登場するアニメーションが制作された。日本独自ともいえる進化と広がりを見せてきたそのデザインの変遷には、空想上の荒唐無稽なロボットという存在に、映像的な「リアリティ」を与えるために、デザインや設定上での創意工夫が凝らされてきた。

今回の展示会では、近年までのロボットアニメにおけるデザインと映像表現の歴史を、それらの「リアリティ」形成において重要な役割を果たした設定上の「メカニズム」と「大きさ」を軸に検証していく。

まず最初のエリアで登場するのは、日本初の巨大ロボットである『鉄人28号』のビジュアル。実写ドラマやアニメ化、CGでの実写映画など、数多くの映像化が行われた作品を通じて、メディアや時代の変化に応じた、表現の変遷を見ることができる。上部で紹介されている時代背景と見比べながら、その歴史を味わうこともできるだろう。鉄人28号を操縦する舞台作品で使用されたリモコン装置も展示。リモコンを扱う人次第で善にも悪にもなる存在である巨大ロボットの特徴を実感できる空間だ。

「搭乗、強化、合体、変形――70年代巨大ロボットの想像力」と題して、1970年代に続々と登場してきたロボットアニメのロボットが紹介されている。ロボットアニメの構成要素を形作った『マジンガーZ』、複数のメカが合体して巨大ロボットになる『ゲッターロボ』や『超電磁ロボ コン・バトラーV』、ひとつのロボットがさまざまな形に変形する『勇者ライディーン』など。そのデザインに隠された「メカニズム」には、それなりの合理性があり、その魅力をデザイン画やアニメ劇中の場面などから制作した造形物によって実感できる。

本展のために描き下ろされた、目を引く巨大絵画も展示されている。スタジオぬえのキャラクターデザインや数々の巨大ロボのメカニックデザインを担当したメカニックデザイナー・宮武一貴が、巨大ロボットをテーマに描いた。展示ホールならではの大画面で、宮武氏の描くロボットワールドに圧倒される。

アニメを観ているだけでは、なかなか実感できないロボットのサイズ感。そうしたロボットたちの一部分(あるいは全容)を、劇中で設定されたとおりの大きさに引き延ばしたらどう見えるかをここで体感することができる。中でも注目されているのが、1979年に制作放送された『機動戦士ガンダム』のコーナー。展示室の床いっぱいに2Dで再現された全長18メートルのモビルスーツ「ガンダム」の周りを歩きながら、アニメの世界観に没頭できる。

『ガンダム』以降はSFテイストの強い世界観が築かれ、ロボットの設定も緻密になる。80年代にはリアルさを感じさせる実用機械レベルの大きさの10m以下に設定されることが多くなる。

宮崎駿監督が手掛けた、高さ約4mの装甲ロボット兵ラムダも登場している。天空の城ラピュタのロボット兵と似た印象が強いが、最初のデザインは『ルパン三世PART2』の最終回「さらば愛しきルパンよ」で登場し、東京の高層ビル街、デパートなどを縦横無尽に飛び回っていた。強烈な印象を残したロボット兵の絵コンテなども見ることができる。

内部メカの複雑な構造まで表現されたロボットにも注目。80年代以降、」巨大ロボットはより身近でリアリティーのある存在となり、マニアックな大人たちにも納得されるような設定のアニメ作品が増える。『マジンガーZ』や『機動戦士ガンダム』のリアルな内部構造やプラモデル化を受け、巨大ロボットのメカニックが、より緻密に描かれている様子を実感できる。

最終章では巨大ロボットのとりこになった6名の識者へのインタビューが展示されている。押井守(映画監督)、中島かずき(劇作家)、亙重郎(ゲーム・プロデューザー)、岩坂照之(前田建設工業)、小俣貴之(日立建機)、オリー・バーダー(Rainmaker Productions/Sola Digital Arts)が様々な角度から日本の巨大ロボット文化が分析している。巨大ロボットは単なるエンターテイメント以上のものであり、日本の文化や社会において特別な存在である。その魅力や意義について一緒に探求できるエリアだ。

全国各地を巡回していた本展だが、愛知会場限定の特別展示コーナーもある。愛知会場の地元テレビ局のメ~テレ(名古屋テレビ放送)は、1970年代後半から1990年代にかけて、ロボットアニメの制作に加わっていたことは広くファンに知られており、巨大ロボットにとって、馴染みの深い土地だ。それにちなんで、今回設置されるのは、メ~テレが放送した巨大ロボットアニメ作品の歴史を振り返るというコーナー。「無敵超人ザンボット3」から始まり、その後のロボットアニメに大きな影響を与えた「機動戦士ガンダム」を経て、1990年代の「勇者シリーズ」に至るまで、巨大ロボットが登場する20作品を紹介している。

展示品や関連作品を網羅した図録や、オリジナルグッズなども魅力的だ。メ~テレキャラクターの「ウルフィ」と「勇者シリーズ」のコラボグッズの販売も行われている。この会場で初登場するオリジナルのコラボグッズも販売。

巨大ロボットとは私達にとって何だったのか。なぜ日本で60年にわたり創造・想像されてきたのか。漫画やアニメで初めて巨大ロボットに触れたときの感動と興奮を思い出しながら、考えることができる本展は3月24日(月) まで開催。

<イベント情報>
日本の巨大ロボット群像

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/giant-robots-aichi/

3月24日(月) まで
10:00~18:00(入場は30分前まで) 会期中無休
金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)
(愛知県名古屋市中区金山町1-1-1 金山南ビル内)

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