中谷潤人、防衛戦直前独占インタビュー<後編>「『バーミヤン』の厨房でのアルバイト経験は、ボクシングに無茶苦茶生きています」

WBCバンタム級チャンピオン・中谷潤人

中谷潤人、防衛戦直前独占インタビュー<後編>「『バーミヤン』の厨房でのアルバイト経験は、ボクシングに無茶苦茶生きています」

2月17日(月) 8:00

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WBCバンタム級チャンピオン・中谷潤人

WBCバンタム級チャンピオン・中谷潤人

2月24日に防衛戦を控えたWBCバンタム級チャンピオンの中谷潤人が1ヵ月間のLAキャンプを終えた。このキャンプを終えて次のように振り返る。

「今回のキャンプも、とても充実したものになりました。毎回、試合前にLAに来ると初心に戻れるんですよ。周りの人が経験しない環境に身を置いて、土台作りが出来たのが強みかな。いつもここから組み立てて、仕上げていくんです。過程が大事ですし、15の頃から積み重ねてきた自負があります。

入国検査を終え、LAX空港の外に出ると、大体いつも青空が広がっているんです。乾燥した空気、スカッと晴れた日差しを体に受け、ああ帰ってきたな。アメリカは自由だな、みたいな気持ちになります。同時に、最初にここにきた時の緊張感も蘇ってきます。ウキウキした感情と、何のためにボクシングをやるのかを思い起こすんです。原点に戻れるんですね」

スパーリング中心のキャンプ。1カ月で複数のパートナーを、相手に様々なシュチュエーションを想定して突き詰めていく。「まずはロープを背負って攻撃を躱(かわ)せ」「ジャブだけで」「顎へのアッパーを多用しろ」「ノーガードで誘え」「3分間で200発打て」「クリンチしてから流れを作ってみろ」など各ラウンド、トレーナーのルディ・エルナンデスから課題が与えられる。拳一個分のスペースを空ける、あるいは数センチの足の角度の訂正など、細部にこだわる。

10代の頃は、午前6時からのロードワークの後、午前、午後と2度のジムワークをこなした。そのベースがあるからこそ、中谷は心身ともにブレないのだ。

中学卒業後に渡米し、本場仕込みのボクシングを体得した中谷だが、17歳となる少し前に帰国し、神奈川県相模原市にあるM.Tジムの選手として日本でプロデビューした。この時期、中谷はジムの近くにあった中華レストラン『バーミヤン』の厨房でアルバイトをしている。

「2年くらいやっていました。調理係です。野菜を刻んだり、揚げ物やラーメンを担当していました。故郷の三重県東員町で父が経営していたお好み焼き店の手伝いをしていたので、それ活かせると思ったし、父からも『頭の回転を速くしておけば、ボクシングにプラスになる。料理がいいんじゃないか』とアドバイスされたんです。厨房の仕事は、次にどうしたらいいかを常に考えて動かなければいけないと教わったので、やろうと」



父の澄人はお好み焼き屋を開業する前、和食の世界で修行している。「手元を見ているだけではダメだ、顔を上げ、お客様の要求を事前に察しなければ板前は務まらない」と叩き込まれた。

WBCバンタム級チャンピオンは小学生の頃から、父の店で皿洗い、食器の片付けなどを率先してやった。父親は、子供ながらに店を訪れた客が何を望んでいるかを察そうとしていた潤人の姿を記憶している。さらにその視点を磨け、と助言したのだ。

3階級を制したチャンピオンは、板場の効果を語る。



「お店の中で何が足りていないか、どこに入ればスムーズに動くかを意識して働いていましたが、今、あの経験が無茶苦茶生きています。周囲の人の表情を読む。次にどうすべきか、何を求められているかを考えて動く。

ボクシングとも共通点があるんです。試合中も読みますよ。ラウンド終了のゴングが鳴ってコーナーに帰っていく姿や、インターバル中も対角線にいる相手を観察します。嫌がっているなとか顔付きから伝わるじゃないですか」

そして、中谷は結んだ。

「バンタムに上げたくらいから、自分の思い描いていたボクシングが出来るようになってきました。クエジャールは、これまでに何回か対戦候補に挙がっていたんです。覚悟を持って準備してくるでしょうね。

トップ選手は世界タイトルが欲しいでしょうし、色んな障壁を乗り越えた者同士がぶつかるのがボクシングですから、相手の人生も感じながら、コントロールして圧勝したいです。ノックアウトに結びつくまでの過程も楽しんで頂きたいですね」

中谷潤人は2月24日もクエジャールの変化に注視しながら、鮮やかなノックアウトを見せてくれることだろう。



取材・文・撮影/林壮一

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