毎日の通勤や移動で利用する電車やバス。そこではさまざまな迷惑行為や問題行動が横行している。
今回はそんな電車内での迷惑行為に遭遇した
アスカさん(仮名・30歳)
に、ことの顛末までを語ってもらった。
優先席で大声会話…ママ友の悪態に遭遇
今から約5年前、4歳の息子を持つママだったアスカさんは、買い物に向かうため一人で電車に乗ったそうだ。するとそこにはこんな光景が。
「幼稚園で子どもと同じクラスのママ友3人組が、優先席にどっかりと座り、大きな声で話をしていました。3人ともスレンダーでおしゃれな見た目なので、はたから見れば理想のママなのですが、些細なことで幼稚園に難癖付けてクレームを入れるという、ちょっと困った人たちだったんです」
アスカさんはうんざりして、3人に気付かれないように少し離れた普通席に座ったそう。
「彼女たちは他の乗客に気を遣うこともなく、『〇〇幼稚園、サービス悪いわ!』『そうそう!ちょっと迎えが遅れただけで、めっちゃ怒るし』『延長保育、もっと長くしろってー』などと幼稚園への愚痴をこぼしていました。辟易したのを覚えています」
70代女性が乗車してきても席を譲らず
周りから迷惑そうにみられてもお構いなしのママ友3人組。その行動はさらにエスカレートする。
「それからしばらくしてとある駅に電車が停まると、杖をついた70代後半と見られる女性が乗車してきました。
シートは満席だったので、優先席に座っている彼女たちの誰かが席を譲ると思っていたのですが、3人はまったく立ち上がろうとしません。よく見ると、それぞれカバンにマタニティマークをつけて、見せつけるようにふんぞり返っていました。
けど、私は知っていたんです。その3日前のママ友ランチ会で、彼女たちがワインをがぶ飲みしていたことを。この3日で3人とも妊娠が判明するとは思えません。いつでも優先席に堂々と座るために、妊娠してもいないのにマタニティマークをずっと付けていたんだと思います」
その70代女性に自分が座っていた席を譲ることにしたアスカさんでしたが、その瞬間、とんでもない偶然に気付いたんだとか。
「ママ友たちが席を譲る気がないと判断し、私は席を立って『ここどうぞ』とその年配の女性に声をかけたんです。女性は私と視線を合わせてにっこり微笑み、『ありがとう』と席へ腰をかけました。女性はマスクをしていたのですが、そのときの声と目元の雰囲気で、私はすごい事実に気付いちゃったんです。
なかなかの巡り合わせだなと驚いたのですが、なんとその女性は子どもたちが通う幼稚園の園長先生だったんです。
けれど3人組はこちらを気に留めることもなく、園長先生だったということは当然気づいてない様子で、幼稚園の悪口を吐きまくっていました。私はヒヤヒヤしましたが、園長先生は特に何も言わず4駅先で降りていきました」
「この前マタニティマークをつけてましたよね」と園長先生
その週末、幼稚園で運動会が開催されたという。
「希望する保護者は子どもと一緒にかけっこができるプログラムがあるんです。子どもとの素敵な思い出になるので人気で、例のママ友3人組も出場するつもりだったようです。映え写真を撮りたかったんでしょうね、旦那さんにスマホを渡してあれこれ指示していました。
しかし、いよいよスタートというときに、園長先生が3人の前に出て、『そちらのお母様3人、先日電車の中でマタニティマークをつけておられましたね。安全のため、かけっこはおやめください』と言い放ったのです」
3人は動揺しながらも「そんなことしていません!」と言い訳をしていましたが……。
「3人のうち1人があの日席を譲らなかった年配女性が園長先生だったことにようやく気がつき、残り2人にも耳打ちをして、彼女たちは青ざめていました」
自らの倫理観でしっかりモラルある行動を
園長先生は表情や口調こそ穏やかでしたが、それが逆にすごい“圧”を生み出していたんだとか。
「3人は『すみません。マタニティマークは嘘です。もうしません』と謝罪を口にしていました。そのかけっこにはママの代わりに旦那さんが出場。3人は園庭のすみっこのほうで気まずそうにして顔を伏せていましたね」
園長先生の制裁のおかげで、アスカさんはすっきりとした気持ちで運動会を楽しめたそう。
電車内という公共の場でズルをしたりウソをついたりすれば、自分はラクができるかもしれないが周囲はいい迷惑。今回のママ友3人は園長先生にその行いがバレてしまったわけだが、知り合いに見られていなくても、自らの倫理観でモラルある行動を心掛けたいものだ。
(取材・文=十六夜瑠奈/A4studio)
【十六夜瑠奈】
編集プロダクションA4studio(エーヨンスタジオ)所属のライター。グルメ、音楽、エンタメ、サブカルチャー全般に興味がある。文化を分析、執筆することへ情熱を注ぐ。好きな食べ物はお茶漬け。
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