アストンマーティンの新型ヴァンテージ・ロードスターが発表された。フロントエンジン・リアドライブのピュアスポーツカーとして、オープンエアの醍醐味を極限まで高めた一台だ。2024年に登場したヴァンテージ・クーペの革新技術を継承しながらも、さらなる洗練とパフォーマンスの向上が図られている。

【画像】パワフルなフロント・エンジンを備えた後輪駆動のオープン・スポーツカー、新型アストンマーティン・ヴァンテージ・ロードスター（写真23点）

パワーユニットには、4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載。最大出力665PS、最大トルク800Nmという驚異的なスペックを誇り、0-97km/h（60mph）加速はわずか3.5秒、最高速度はクーペと同様の323km/h（202mph）を実現する。エンジンには大型化されたターボチャージャーを採用し、カムシャフトプロファイルを最適化。圧縮比の見直しにより、より俊敏で鋭いレスポンスを提供する。

ヴァンテージ・ロードスターは、軽量設計と最先端のアクティブ・ビークル・ダイナミクスを組み合わせ、ドライビングプレジャーが徹底的に追求されている。電子制御リアディファレンシャル（E-diff）や専用チューニングが施されたビルシュタインDTXアダプティブ・ダンパーを搭載し、コーナリング時の安定性を最大限に引き出す。6軸センサーを駆使した精密な電子制御システムにより、ドライバーの意のままの走行が可能となる。8段階のトラクションコントロール設定を備え、サーキット走行時には完全オフモードも選択可能だ。

ルーフの開閉機構も飛躍的に進化。電動折りたたみ式コンバーチブル・ルーフは、わずか6.8秒で開閉し、最高時速50km/h（31mph）までの走行中でも操作することができる。ルーフを含む車両の総重量は、クーペモデル比でわずか60kgの増加に抑えられ、パフォーマンスへの影響を最小限にとどめている。「Zフォールド」機構の採用により、従来のトノカバーを不要とし、軽量化と低重心化を両立。8層構造の断熱材が静粛性を高め、ルーフを閉じた状態ではクーペと同等レベルの快適性を実現している。

ボディ構造とサスペンションにも妥協はない。アルミニウムと複合素材を融合した軽量シャシーは、前後49:51の理想的な重量配分を達成。フロントには不等長ダブルウィッシュボーン、リアにはマルチリンク式サスペンションが採用され、アダプティブ・ダンパーとの組み合わせで卓越したロードホールディング性能を発揮する。また、非分離型ステアリングコラムを採用し、ドライバーへダイレクトなフィードバックを提供する。

ブレーキ性能も圧倒的だ。フロントには410mmのカーボンセラミックディスクを装備し、6ピストンのモノブロックキャリパーが確実な制動力を発揮。特別開発されたミシュラン・パイロットスポーツS5タイヤが、ウェット・ドライ両方の路面で優れたグリップを提供し、極限の走行安定性を確保する。

インテリアは先進技術とラグジュアリーが融合。最新のインフォテインメントシステムが搭載され、10.25インチの静電容量式タッチスクリーンを採用。ドライバーの利便性を考慮し、主要な操作系には物理ボタンが適宜配置され、直感的な操作を実現している。また、iOSおよびAndroid対応のカスタマー・コネクティビティ・アプリにより、スマートフォンと車の連携を強化。遠隔操作や情報の取得が可能となっている。

サウンドシステムにもこだわりが見られる。390W・11スピーカーオーディオを標準装備し、オプションでBowers & Wilkins社と共同開発したハイエンドオーディオも選択可能。車内の音響特性を徹底的にチューニングし、オープンエアでも極上の音響を体験することができる。

ヴァンテージ・ロードスターの納車は、2025年第2四半期より開始される予定だ。DB12やDBX707と並び、現行ラインナップに新たな輝きを添えるモデルとして注目を集めることは間違いない。クラシックなスポーツカーの美学と最先端のテクノロジーが見事に融合したヴァンテージ・ロードスターは、真のドライビングエンスージアストの心を揺さぶる、究極のオープンエア・ドライビングマシンとしてその名を刻むだろう。
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