大事にされる物には「魂が宿る」と言われている。今回は、飾りつけたお雛様を猫が壊してしまったことからはじまる奇妙な話。末太シノ(@shinomatsuda)さんの創作漫画「猫が雛人形を壊してしまう話」を紹介するとともに、漫画家を目指したきっかけや制作の経緯を聞く。
【漫画】「猫が雛人形を壊してしまう話」を読む■ひな祭りをテーマに「後味のいいホラー」を目指した





3月の雛祭りを前に、雛人形を飾っていた。すると、猫がお雛様をくわえて持っていってしまい、乱暴に扱ったせいでそのまま首が取れてしまう。その夜、猫がギャアと鳴き、慌てて駆けつけると今度はお内裏様の首が…。
父親は2人を供養をしてあげることにした。コメントでは「お雛様は少女の安寧を願って亡母が用意した物でもあるので、その思いを踏みにじる害悪(猫)を懲らしめることで厄払いとし、後顧の憂いを軽くしたという話でもある」という考察も。「一緒に供養されたい」と願ったお内裏様の気持ちを汲んだ父親に「温かい」との声が集まる。
■「ちばてつや賞を受賞して、本気で漫画家を目指そうと思った」
――末太さんが漫画家を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
ちばてつや賞を受賞できたことです。もっと前段階で言うと、老いと病気で体力を失い「仕事と趣味の両立」ができなくなっていく中で、どちらかを諦めなきゃいけない…となった時、趣味を仕事にできたら一番いいなと思い目指しました。

――「猫が雛人形を壊してしまう話」を制作した経緯やこだわった箇所があれば教えてください
月のイベントをテーマにした短編シリーズの1つとして作りました。これは3月用だったので「雛祭り」がテーマです。「後味のいいホラー」を目指しました。

――「バレンタインチョコ手作り代行してる男子高校生とその先輩」は、いいオチでほのぼのしました!こちらの制作した経緯やこだわった箇所があれば教えてください。
こちらも月イベントの短編シリーズの1つで、2月用にテーマは「バレンタイン」でした。「優秀嫌味年下男子×あざとい年上女子な関係性がいいな〜」と思って。関係性萌えを出発点に作った話です。

――「永遠に君を愛してる」は2018年 / 第79回ちばてつや賞ヤング部門優秀新人賞を受賞しました。描き方も今とはまた違った雰囲気ですが、当時こだわった部分などありましたら教えてください。
「古い時代の和風な雰囲気」を出すため、ペンの他、筆・鉛筆で描いた線画と薄墨で作った陰影をスキャンして、デジタルで合成して作ってました。まあ、単にデジタルに慣れてなかったせいも大きいのですが…。板タブをやめて液タブに変えたらデジタルでも楽に線を描けるようになったので、今はフルデジタルです。

――また受賞したときの気持ちはいかがでしたか?
とてもうれしかったです!趣味にしかならなかった技術で生活費を稼げるようになるかもしれない、と希望が持てたので。

――そのほかにどのような漫画を描いていますか?
「女北斎大罪記」という葛飾北斎の娘・応為をモチーフにした漫画を、月刊ヤングマガジンで連載中です!現在1巻も発売した所なので、ぜひ読んでやってください!
あとご紹介いただいた月イベント短編漫画は、本にまとめてBOOTHで売ってるので、よかったらどうぞ。その他、もっと昔に描いた短編集はスキマで配信していただいてるので、こちらもどうぞ。その内の2作品は英訳されてamazonnとMANGA.CLUBで配信していただいてます。「英訳こうなるのか〜」というおもしろみがあるので、こちらもよかったら見てください。
取材協力:末太シノ(@shinomatsuda)
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