キネマ旬報社が選出する「2024年 第98回キネマ旬報ベスト・テン」が発表された。
日本映画第1位は、三宅唱監督が、松村北斗と上白石萌音を主演に迎えた人間ドラマ「夜明けのすべて」。瀬尾まいこ氏の同名小説の映画化で、パニック障害とPMS(月経前症候群)を抱え、生きづらさを感じる男女が特別な絆を築いていく姿を描いた。
外国映画第1位は、クリストファー・ノーラン監督が、「原爆の父」と呼ばれた物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた歴史ドラマ「オッペンハイマー」。彼の栄光と挫折、苦悩と葛藤を描き、第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞を含む7部門を制した。
文化映画第1位は、2022年4月にNHK BSで放送され、令和4年度文化庁芸術祭・テレビドキュメンタリー部門大賞に輝いた「正義の行方飯塚事件30年後の迷宮」を劇場版として公開した「正義の行方」が受賞した。
主演女優賞は、河合優実(「ナミビアの砂漠」「あんのこと」)、主演男優賞は松村北斗(「夜明けのすべて」)が受賞し、コメントが発表された。なお、主演賞が共に20代という結果は、2012年度の安藤サクラ(「かぞくのくに」)、森山未來(「苦役列車」)以来。
また、助演女優賞の忍足亜希子(「ぼくが生きてる、ふたつの世界」)は、ろう者(生まれつき耳がきこえない)俳優として初の受賞。助演男優賞の池松壮亮(「ぼくのお日さま」「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」)は、2014年度助演男優賞 (「ぼくたちの家族」ほか)、2019年度主演男優賞(「宮本から君へ」)に続き5年ぶり3度目の受賞となった。
なお、ベスト・テンの2位以下の作品と各個人賞の詳細は、2月5日発売の「キネマ旬報2月号増刊 2024年キネマ旬報ベスト・テン発表号」に掲載される。受賞一覧、コメントは以下の通り。
【作品賞】
■日本映画ベスト・テン第1位:「夜明けのすべて」
(監督:三宅唱/配給:バンダイナムコフィルムワークス=アスミック・エース)
■外国映画ベスト・テン第1位:「オッペンハイマー」
(監督:クリストファー・ノーラン/配給:ビターズ・エンド、ユニバーサル映画)
■文化映画ベスト・テン第1位:「正義の行方」
(演出:木寺一孝/配給:東風)
【個人賞】
日本映画監督賞 三宅唱「夜明けのすべて」
日本映画脚本賞 野木亜紀子「ラストマイル」
外国映画監督賞 クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」
主演女優賞河合優実「ナミビアの砂漠」「あんのこと」
主演男優賞松村北斗「夜明けのすべて」
助演女優賞忍足亜希子「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
助演男優賞池松壮亮「ぼくのお日さま」「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」
新人女優賞中西希亜良「ぼくのお日さま」
新人男優賞越山敬達「ぼくのお日さま」
読者選出日本映画監督賞 三宅唱「夜明けのすべて」
読者選出外国映画監督賞 クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」
読者賞斎藤環「映画のまなざし転移」
■主演女優賞河合優実コメント
本当にありがとうございます。今回選んでいただいた2本は自分にとってほかの何にも代えがたい映画なので、そのような作品で選んでいただきとても嬉しいです。「キネマ旬報」の表紙を主演女優賞というかたちで飾れることも、とても光栄に思っています。未来への糧としたいと思います。
■主演男優賞松村北斗コメント
今回、「キネマ旬報」の主演男優賞という素敵な賞をいただき、この賞の歴史と、いままで受賞された方々のお名前を見ながら、とても光栄に思っております。映画を通して、自分がかつて覚えた感動を誰かに受け渡せているんだなと、何かもう一つの“居場所”を見つけられたような気持ちになりました。
【作品情報】
・
夜明けのすべて
【関連記事】
・
指名手配犯・桐島聡の“弱い立場の人に寄り添う人柄・考え”をドラマチックに描く衝撃作、7月4日公開監督は高橋伴明
・
嵐莉菜「もっと皆さんに嬉しいお知らせを伝えられるように」2024年を振り返る【独占オフショット多数】
・
第97回キネマ旬報ベスト・テンが決定「せかいのおきく」が1位、主演女優賞は趣里【受賞一覧】
(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会