洋画やアメコミのグッズを多数取り扱うことで、映画ファンにお馴染みのキャラクターショップ「豆魚雷」のスタッフが、ホラーキャラクター＆グッズへのアツい愛を叫ぶ連載「遊星からの物欲X」。第8回は、ティム・バートン監督の出世作となった『ビートルジュース』(88)から、“バイオ・エクソシスト”(人間怖がらせ屋)のビートルジュースが登場！35年以上の時を経て蘇ったしぶといアイツの魅力を、いまなお人気の高い吹替への想いも含めて語ってもらった。
【写真を見る】細かすぎるパーツに興奮必至！『ビートルジュース』フィギュアのこだわりがエグすぎる

■ビートルジュース！ビートルジュース！ビートルジュース！

みなさんこんばんは、サムゲタン市川です。昨年は9月に『ビートルジュース』から35年後の世界を描いた続編『ビートルジュース ビートルジュース』(24)が公開され、奇跡の続編に沸いた私のような旧作ファンはもちろん、バートンファンにとっても記念すべき年になったことでしょう。

山寺宏一や坂本真綾、伊瀬茉莉也ら豪華声優陣による"全身吹替"のプロモーションも印象に残った本作でしたが、1月22日には早くもDVD&Blu-rayが発売となりました。新作を観るにあたり、「35年前の映画なんて観てないよ」って方や「観たけどあんまり覚えてないや」って方のためにも、今回はビートルジュースの魅力を語らせて頂きたいと思います！

■嵐のような男、ビートルジュースのここがいい

『ビートルジュース』は、不運にも事故を起こして死んでしまったアダムとバーバラのメートランド夫妻が、愛する我が家に移り住んできたディーツ家を追い出そうと奮闘するお話。ビートルジュースはフリーランスの“バイオ・エクソシスト”を自称するお調子者で、彼を呼び出してしまった夫妻どころかディーツ家をも巻き込んで、さらなる混乱の深みへと導いていきます。



しかしながら、92分間のランタイムの内、登場シーンの合計はなんと約17分！この短い時間の中でほかの登場人物が翳んでしまう程の強烈なインパクトを残しているのは、あまりにもクセが強すぎるキャラクター性のおかげ。ビートルジュースことベテルギウスは、黒死病が蔓延する14世紀イタリアから600年以上生き続ける死後の世界の住人。蠅やゴキブリを喰らい、ジャケットの内側に痰を吐くなど極めて不潔な男ではありますが、嵐のように捲し立てる台詞回しと持ち前の超ポジティブな思考を前にすると、そんなことを考える余裕などありません。

台詞の90%がアドリブだというマイケル・キートンの演技に加え、日本版では新村一成氏によるトンデモ字幕や西川のりおによる関西弁大暴れ吹替も、この渾沌とした世界観をより搔き乱していることに間違い無し。「そんならベテルギウス様に相談してちょんまげ 任せておくれでやんす ぬぁんでも！」なんておふざけ字幕や「西川のりおが血圧上がってな、なんかこの世界来たらしいど」なんてメタ発言まで飛び出す始末…こんなに自由な字幕や吹替もいまではすっかり見なくなりましたね。どっちで観ても『ビートルジュース』の世界観を余すことなく楽しめちゃうのが良いところ！

余談ですが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのショー・アトラクション「ユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショー」のDJであるビートルジュースもコテコテの関西弁だったり。映画は観ていなくてもこっちのビートルジュースで印象付けられた方も多いのではないでしょうか。こっちもこっちでめちゃくちゃクセが強いですからね。

■魔術師？奇術師？わりとなんでも出来ちゃうほうです

魅力の一つには、彼が操る魔法のような奇妙な術も。他人に憑依して声を発したり、逆に他人の声で話したりはちょちょいのちょい。宙を浮いたり、彫刻を生物のように動かしたり、さながら『エルム街の悪夢3 惨劇の館』(87)ばりのオロチに変身して人間を襲ったりと、実はなんでも出来ちゃうんじゃないの？なんて思わせるほどに器用な一面を見せてくれます。この便利な能力、せめてもうちょっとまともな使い方をしてくれたらなぁ…。

もちろん衣裳替えだってお手の物。ディーツ家の一人娘リディアを妻に迎え入れようと強引に式を挙げるシーンでは、象徴的なピンストライプのスーツもカットが変わった瞬間深紅のタキシードに！リディアの服装もそれに合わせて真っ赤なウェディングドレスへと早替わりし、のりお師匠のハイテンションな吹替も相まってビートルジュースの世界観に否が応でも巻き込まれてしまう、この独壇場っぷりには誰もがお手上げ。



その場にいる登場人物を手練手管で操り、ショータイムの邪魔はさせないぜと言わんばかりの疾風怒濤の勢いで突っ走る、このアトラクションのようなテンションの高さが楽しくってしょうがない！ビートルジュースの登場シーンだけ時間の流れが違う気がしますからね、体感5分くらいだもん。『ビートルジュース ビートルジュース』では出番が増えているため、まだまだ観たい！という方は是非続編も。のりお師匠も最高ですが、山ちゃんの吹替もいいもんでっせ。

日本ではあまり馴染みのない方が多いかもしれませんが、海外では数多くあるバートン作品の中でも上位に喰い込む人気キャラクターのビートルジュース。そんなおもしろバイオ・エクソシストをフィギュアメーカーが放っておく訳もなく、実に様々な展開がなされています。今回はその一部をご紹介！

■マクファーレン・トイズ

2007年を最後に途絶えていたマクファーレン・トイズの「ムービー・マニアックス」シリーズ。2023年に復活を果たした、手頃な価格ながら高い造形力を誇るこのシリーズに『ビートルジュース』がラインナップ！



ピンストライプのスーツ姿で両手を広げたお馴染みのポージングでスタチュー化。アダムが屋根裏で作っていた街の全景模型のベースをモチーフとした粋な台座にもご注目。バックボードとして作品のポスタービジュアルが付属し、台座に差し込んでディスプレイすることも。全高約15cmと丁度良いサイズ感で、コレクターズ・アイテムとしてピッタリ！



『ビートルジュース ビートルジュース』からは前作にも登場したレッドタキシード姿に…


ジェナ・オルテガ演じるリディアの娘アストリッド・ディーツにベイビー・ビートルジュース、シュリンカーのボブやサンドワームをも含めた大集合セットも！デザインの凝った外装ボックスが素敵。ムービー・マニアックス特有のシークレットボーナスアイテムも付属しますが、なにが入っているかは買って開けるまでのお楽しみ…。

■メズコトイズ

メズコトイズのオプションパーツもりもり「ワン12コレクティブ」シリーズからは超豪華なセットでリリース！



表情の違う4種のノーマル頭部パーツに加え、シュランクンヘッド(縮んだ頭)パーツやライトアップ機能付きカルーセルハットを被った頭部パーツも付属し、頭部だけで6種もある欲張りっぷり。

5対の両手パーツのほか、ハイストライカーのスレッジハンマーと化した可動式の両腕パーツ、これまたライトアップ機能付きの"ベテルギウス ここに眠る"墓石や、説明がやたらウザったい新人死者ハンドブック、安心と信頼の爪やすりと、これでもかという物量ですべてのファンを満足させようと殴りかかってきます。なんてメーカーだ…おそろしい子！



■ロイヤルボブルズ

アメリカでは1960年初期から老若男女に親しまれ、メジャーリーグやアメリカンフットボールなど様々なイベントにおいて立体化される定番アイテムの一つ「ボブルヘッド」。この首振り人形を手掛けるメーカー「ロイヤルボブルズ」から、独特なシチュエーションで立体化！



ビートルジュースが死後の世界の待合室で粉かけじじいのチケット「No. 4」を自身のチケット「No. 9,998,383,750,000」にすり替えた際に、粉かけじじいにおまじないをかけられてチョロPよろしく頭が縮んでしまった時の姿…マ、マニアックすぎる！頭部が小さいボブルヘッドというのもなかなか珍しいのではないでしょうか。



■ネカ

そして真打、我らがネカ！




ストライプスーツやレッドタキシードには新人死者のハンドブックと蛇が付属するほか…


なんとツアーガイド版でもリリース！差し替えパーツはGUIDE帽を含めた頭部3種に右手3種、左手1種。アクセサリーとしてランタンや「Betelgeus the Bio-Exorcist!」ビラ、「ちょっと持っててくれ」かわいいネズミちゃんに「サンドワームめ "砂の惑星"へ帰れ」霊界タイムスも付属。ネカならではのマニアックなチョイスは痒い所に手が届いてうれしいなぁ。



これでなお物足りない欲張りさんには「ビートルホイホイよ」とケースワーカー ジュノーの声が聞こえてきそうな娼館「ダンテの地獄の部屋」セットも。全高約45.5cmとドデカいサイズ感で、約17cmのビートルジュースをディスプレイして劇中のシーンを再現することも可能。しかもボディはバーバラに掴まれた際に身体から棘を出して脱出した時の状態で、さらに娼館はライトアップ機能も付いてくる至れり尽くせりな仕様に！



■『ビートルジュース ビートルジュース ビートルジュース』も待ってます！



さてさていかがでしたでしょうか。情報密度が高すぎるキャラクターなだけに、各メーカーがそれぞれまったく違うアプローチで立体化を仕掛けているのがおもしろいです。『ビートルジュース ビートルジュース』をこれから観るよって方も、もう観たからおさらいしたいなって方も、これを機に『ビートルジュース』を字幕と吹替の両方で観てみると、より一層楽しめるはず。ティム・バートンにはいつか『ビートルジュース ビートルジュース ビートルジュース』までやり切ってほしいですね！



文/サムゲタン市川(豆魚雷)


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