【Jリーグ】キャンプを見て確信!今年躍進が期待できるクラブはココだ

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【Jリーグ】キャンプを見て確信!今年躍進が期待できるクラブはココだ

1月31日(金) 1:05

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Jリーグのキャンプでわかった今年の注目クラブ前編

2月中旬のJリーグ開幕に向けて、1月は各クラブが海外、国内でキャンプを行なった。なかでも最も多くのクラブが集まった沖縄県の各キャンプを取材したライターに、「キャンプの様子で確信した、今年期待のクラブ」を挙げてもらった。

沖縄キャンプで指導する京都サンガF.C.の曺貴裁監督photo by Rokukawa Norio

沖縄キャンプで指導する京都サンガF.C.の曺貴裁監督photo by Rokukawa Norio





【強度の高さやスピードを感じたクラブ】 池田タツ(サッカーライター)

京都サンガF.C

京都サンガF.C.の沖縄キャンプは、那覇の中心街から車で30分ほどの郊外にある東風平運動公園で行なわれた。ところで「東風平(こちんだ)」と読めただろうか?沖縄の地名は、県外の人間が一発で読むのはなかなかに難しい。

曺貴裁監督の練習はいつ見ても面白い。キャンプ序盤でコンディションを上げていく段階でも、ちょっとしたウォーミングアップでも、その日のテーマが隠れている。練習最後の実戦を想定したトレーニングを見て、ようやくその日のテーマがわかったりする。何気ない最初のウォーミングアップから、最後の実戦形式の練習まで同じテーマでつながっているのだ。

テーマは練習前に選手には伝えられていないようで、練習後選手に話を聞いてみると、そのテーマにはっきりと気づいている選手、なんとなく気づいている選手とグラデーションがある。しかしテーマに気づいていようと、気づいていまいとあまり関係ないのかもしれない。なぜなら、どちらにせよそのシチュエーションに対する動きは練習のなかで身についているからだ。テーマを知ること自体が目的ではないのである。

京都のキャンプでのトレーニングマッチは強度が高い。キャンプ中のトレーニングマッチとは、たいがいがお互いケガをしたくないという理由でぬるくなりがちだ。たが今年の京都のトレーニングマッチも、審判がコントロールするのが大変だろうと思うぐらいに、激しいプレーを見せていた。

京都と同じくキャンプのトレーニングマッチで強度が高いのがFC町田ゼルビアだ。この2チームがJリーグのトレーニングマッチの意識を変えていっている最中だ。今年は両チームのトレーニングマッチが組まれたのだが、残念ながら非公開となってしまった。

曺貴裁監督が率いて5シーズン目になる2025年は、いよいよ躍進の時を迎えた。昨季途中に大熊清GMが就任し強化部も整った。昨季リーグ後半戦3位の成績を見れば、今季は念願のひとケタ順位はもちろん、それ以上の結果を期待したくなる要素が揃っている。

東京ヴェルディ

とにかく速い!東京ヴェルディのキャンプの特徴はスピードだ。チームの平均年齢が若いのも大きな理由だろうが、選手たちの足も速い。だからプレスも速い。攻撃も速い。ピッチ上のいたるところにスピードが溢れている。このスピード感を実現しているのは、選手たちの意識の高さと監督やコーチの指導力だろう。

本来キャンプとは体ができあがっていなかったり、連日の練習で疲労が溜まっていたりで、選手たちのコンディションがよくないものだ。それでも東京ヴェルディの練習からは圧倒的なスピードを感じる。この練習を続けていれば、必ず選手たちは成長すると思わせるものがある。

昨季、東京ヴェルディの選手人件費はJ1最下位の20番目だった(2023年度データより)。それでも意識の高いチームが自分たちで選手の価値を高めて、リーグ6位という結果を手繰り寄せた。J2から昇格して1年目はそんなサプライズを起こすチームが度々ある。だが、2年目は選手が大量に流出し、一気に順位を下げてしまうケースもよくあることだ。

しかし、今年の東京ヴェルディは好結果を収めたにもかかわらず、大量流出にいたらなかった。昨季平均2万人超えの観客動員を記録し、クラブも成長したことが大きかったのだろう。2年連続の躍進へ視界良好だ!

ベガルタ仙台

ベガルタ仙台のキャンプには笑いが溢れている。その雰囲気を作っているのが2024年に就任した森山佳郎監督だ。練習前だけでなく練習中も練習後もニコニコ笑顔を見せている。練習内容は他クラブと比べても強度が高く、運動量が多いトレーニングで構成されている。厳しいメニューを笑って乗り越えていこうというのがモットーだ。

仙台らしいと思った瞬間が、キャンプの歓迎式の時にあった。初日は、どのクラブでも地元の人による歓迎式が行なわれる。だいたい粛々と、そして和やかに行なわれるものだが、仙台の場合はところどころに笑いが起きる。地元糸満のお酒をプレゼントされたのだが、受け取り役の選手が20歳未満だったため「お前らは飲めないぞ(笑)」と森山監督からツッコミが入り、笑いが起きる。

こんなシーンもあった。ベガルタ仙台は、トレーニングで股関節の柔軟を行なっている。移籍組は慣れていないため、足が全然開かない。そんな選手を見つけて、森山監督が嬉しそうに近寄りいじり倒す。そこでチームメイトから笑いが起きる。柔軟運動は慣れるまではきついものだが、そんなふうに笑いにして乗り越えていくのが森山スタイルなのだ。

昨季はJ2を6位で終え、プレーオフ決勝に勝ち進むもあと一歩で昇格に届かなかった。だが、今年はストレートインを狙える準備が整っているのではないか。その最大の理由がFWエロンだ。

昨季のキャンプでは明らかにコンディションが悪く、体も相当重そうだった。これは体重を落とすのにかなりの時間がかかるだろうと思われ、案の定エロンに初ゴールが生まれたのは8月のことだった。しかし、そこからはゴールゲッターとしても、前線のハイプレス要因としても外せない選手となった。

今年のキャンプはどんなコンディションで来るのかと注目していたが、ちゃんと痩せている!練習中の動きも軽く、昨年とは明らかに違う。今年はシーズン頭からエロンがチームを引っ張っていく存在になりそうだ。

【昨年からの変化を感じる各クラブ】 河治良幸(サッカーライター)

浦和レッズ

組織的な守備の構築に定評のあるマチェイ・スコルジャ監督だが、昨年の途中就任後に露見してしまった得点力不足を解消するべく、ポゼッションベースで相手を押し込むサッカーに転換していた。

そのキーマンになるのが、昨シーズンの終盤は主に"10番"と呼ばれるトップ下でプレーしたMF渡邊凌磨だ。運動量が豊富で、戦術眼も高い渡邊がボランチから幅広く攻守に絡むことで、活性化を図ろうとしている。

スコルジャ監督は2023年にも、二枚のボランチに"ダブル8番"とも言える攻撃的な役割を与える構想は持っていたが、その時はACLファイナルが大目標にあり、年間60試合という未体験の過密日程によって、なかなか実現できなかった。また昨年は途中就任で、しかも守備の立て直しをクラブから求められたこともあり、攻撃面の構築がパワーダウンしてしまった経緯もある。

今年は攻守のバランスをかなり前向きにすることに加えて、やはりマテウス・サヴィオ、金子拓郎、松本泰志というMFに三枚のビッグピースを加えられたのも大きい。選手層の薄さが目につく最終ラインにはダニーロ・ボサを獲得。昨年の13位からジャンプアップが可能だ。

RB大宮アルディージャ

レッドブルの完全買収で、クラブ名やエンブレム、ユニフォームのメインカラーも変わったことが話題になっているが、現場レベルでは長澤徹監督が昨シーズンから引き続き指揮することもあり、攻撃の大黒柱であるFW杉本健勇も「今のところ大きな変化は感じていない」という。

むしろ、親会社の力強いバックアップが確約されたことで、安心してプレーに集中できているようだ。2年ぶりのJ2となるが、若手、中堅、ベテランがバランスよくミックスされており、新戦力も京都サンガF.C.から加入したFW豊川雄太、カターレ富山のJ2昇格に大きく貢献したMF安光将作など、着実にプラスをもたらしそうな選手が多く、トレーニングでも生き生きした表情を見せていた。

"昇格組"とは言っても、J2を経験している選手が多いので、相手の強度やタレント力に戸惑うこともないだろう。U-20日本代表キャプテンのDF市原吏音が、最大で2カ月代表活動に取られることは多少響くかもしれないが、筑波大でキャプテンを担ったDF福井啓太が早期に台頭してくれば、十分にカバーは可能だろう。

栃木SC

小林伸二監督の熱血指導で、若い選手たちがうまくなろうとしている前向きな空気が伝わってくる。かつて率いたギラヴァンツ北九州で旋風を巻き起こしたように、コンパクトでタイトな守備とアグレッシブにアタッカーが躍動するサッカーは、練習試合でJ2の北海道コンサドーレ札幌を相手にしてもポジティブな印象を受けた。

注目は浦和レッズから育成型期限付きで移籍してきたMF堀内陽太と、昨年までJ2のレノファ山口でプレーし、川崎フロンターレから育成型期限付き移籍のFW五十嵐太陽だ。

他にも6人の大卒ルーキーをはじめ、20代前半の有望なタレントが多いことも、栃木SCの特長。彼らは栃木で成長して、ゆくゆくはJ2やJ1、あるいは海外に巣立っていくかもしれないが、栃木を1年でJ2復帰に導く大きな力となれるか期待して見守りたい。

また栃木シティという同県のライバルが誕生したこともあり、中核市の宇都宮に拠点を置くクラブとしても、このままずるずると落ちていくわけにはいかない。

後編「今シーズン必見の選手たちがいるクラブ」へつづく>>

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