スペイン・バスクで映画を探求し続ける映画作家、オスカー・アレグリア監督の2作品(日本劇場未公開)「エマク・バキアを探して」と「シンシンドゥルンカラッツ」が2月6日から渋谷のシアター・イメージフォーラムで特別上映される。また、2月に山形県・肘折で開催される「山形ドキュメンタリー道場7」の講師としてアレグリア監督の来日も決定した。
長編第1作「エマク・バキアを探して」(2012)は、マン・レイが「エマク・バキア」を撮影したバスク海岸の家を探す作品で、16か国語に翻訳、17の賞を受賞。長編第2作 「Zumiriki」(2019)は、ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門でプレミア上映され、セビリア・ヨーロッパ映画祭では最優秀ノンフィクション映画賞を受賞。最新作の長編第3作「シンシンドゥルンカラッツ」(2023)は、バリャドリッド国際映画祭2023で最優秀スペイン・ドキュメンタリー賞を受賞したほか、イタリア、チリ、ニューヨークなど各地の映画祭でも受賞している。
★推薦コメント
オスカー・アレグリアの詩的かつ職人的な民族誌は、映画にはいまだ探究すべき無数の可能性があることを私たちに思い出させる。映画を何よりも楽曲として捉えるならば、この作品はさらに驚くべき詩的な達成である。
ホセ・ルイス・ゲリン(映画監督)
▼オスカー・アレグリア監督作品上映詳細
⚫日時:2025年2月6日(木)&7日(金)各日19:00~
⚫場所シアター・イメージフォーラム(渋谷)
上映作品
◆2月6日(木)19:00-*上映後、監督によるティーチインあり
■「エマク・バキアを探して」Emak Bakia Baita
スペイン/2012/バスク語、フランス語、イタリア語、スペイン語/カラー、モノクロ/Blu-ray/83分
監督、脚本、撮影、編集、製作:オスカー・アレグリア
音楽:モルセゴ、レイヌア・ダンツァ・タルデア、エマク・バキア、エル・イホ、アベル・エルナンデス、リチャード・グリフィス、ルペル・オルドリカ
音響:アベル・エルナンデス
1926年、マン・レイ(1890-1976)は、南フランスで一本の映像詩を制作する。作品は「エマク・バキア」と名付けられたが、バスク語で「放っておいて」を意味する。本作は、このマン・レイの映画とその題名に関するオスカー・アレグリアの疑問から出発する。題名は、映画の撮られたビアリッツ近郊の家の名に由来するのだろうか?あるいは、墓碑銘に因むものなのか?その家については、3つの手がかりしか残されていない。正面玄関、窓をはさむ二本の円柱、海岸沿いの一角。かつてのイメージによって探そうとしても、それは容易には進まない。アーカイヴのリストには何も残されておらず、現在では誰もその家のことを覚えていない。アレグリアは、偶然や風を頼りにして、答えを探し求めていく。
◆2月7日(金)19:00-
*上映後、金子奈美さん(バスク文学研究、翻訳者)を迎えてオスカー・アレグリア監督とのトークあり
■「シンシンドゥルンカラッツ」Zinzindurrunkarratz
スペイン/2023/バスク語/カラー、モノクロ/Blu-ray/89分
監督、脚本、撮影、編集、録音:オスカー・アレグリア
ポストプロダクション:ルイス・ハンブリナ、アイマル・オラスコアガ
現像:Retrolab、 Film Rescue Europe
ある映画監督が、かつて村の羊飼いたちが山の牧草地に行くために使った牧草地横断ルートを辿ろうと思い立つが、正確なルートを知る存命の人物を見つけることができない。彼は、家族の古いスーパー8のカメラを使ってその道程を撮影しようと考えるが、 41年間使われていなかったそのカメラは、もはや音を拾わない。忘れられた道、無言のカメラは、パオロというロバとともに、思い出と疑問符と沈黙に満ちた旅の主人公となる。作品の題名はバスク語で、バスク山脈のアンディア高原にある3つの場所を羊飼いたちが擬音語で表したことに因む。
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