名匠エドワード・ヤンが1996年に発表した『カップルズ』が4Kレストア版として甦り、4月18日(金)より公開されることが決定。あわせて、ポスタービジュアル、予告編が解禁となった。
【写真を見る】4Kレストア版上映が決定した『カップルズ』ポスタービジュアル
2017年に『牯嶺街少年殺人事件』(91)が日本で25年ぶりにリバイバル公開されるやいなや大きな話題を巻き起こし、2023年に台北で開催された大回顧展に多くの映画ファンがつめかけるなど、没後20年近くが経っても、その影響力の大きさが年を追うごとに増してきているヤン。ヤンの「新台北3部作」の第2作にあたる『カップルズ』は、『エドワード・ヤンの恋愛時代』(94)と同じく90年代の台北が舞台でありながら、コメディタッチの前作と異なり、喜劇と悲劇が表裏一体となった傑作だ。
多彩な国籍の人間が割拠する90年代半ばの台北。レッドフィッシュをリーダー格とする4人組はお金も自由も愛も、思うがままに手に入ると信じている。ホンコンは女性をもてあそび、トゥースペイストはニセ占い師として稼ぐ日々。ある日、フランスからマルトという女性が台北にやって来る。新入りのルンルンは密かにマルトに心を寄せ、彼らの関係が変化し始める。
今回解禁されたポスターでは、ルンルンとマルトが見つめ合っている印象的な場面を中心にして、フライデーズに集まる4人組、ハードロックカフェで談笑する多国籍な人々など、様々な人物が交差する様子をデザイン。そのなかに「それでも、愛は存在できる?」というコピーが添えられ、まるで現代を生きる私たちにも問われているようなビジュアルとなっている。
あわせて予告編も解禁され、ヤンを「最も敬愛する映画作家の一人」と語る濱口竜介監督が、「『牯嶺街少年殺人事件』の少年たちが成長し、『恐怖分子』の鋭利さと『恋愛時代』の軽みをあわせ持つ映画を作り上げた」、「危険なる傑作」と絶賛コメントを寄せている。
公開から30年近くが経ってなおいまだ色褪せない『カップルズ』。エドワード・ヤンが紡ぎだした世界をぜひ劇場で。
■<コメント>
●濱口竜介監督
「『牯嶺街少年殺人事件』の少年たちが成長し、『恐怖分子』の鋭利さと『恋愛時代』の軽みを併せ持つ映画を作り上げた。『カップルズ』における協和と不協和の絶え間ない交替とその滑らかさは、エドワード・ヤンのフィルモグラフィのなかでも際立っている。危険なる傑作」
文/平尾嘉浩
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