1月25日(土) 14:30
年金受給者が亡くなり、支給されるはずだった年金を、本人が受給できなかった場合は、「未支給年金」として遺族が受け取れる可能性があります。未支給年金として受け取れるのは、受給者に本来支払われるはずだった年金のうち、まだ支給されていない分です。
例えば、7月に亡くなった方が最後に受け取ったのは、6月に支給された「4月分」と「5月分」の年金です。年金は亡くなった月の分まで支給されるため「6月分」と「7月分」を受け取っていないことになります。この分を、遺族が「未支給年金」として受け取ることが可能です。
未支給年金を受け取る権利があるのは、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のほか3親等内の親族です。厚生労働省によると、該当する遺族は死亡した受給者の代理としてではなく、自分の権利として自身の名前で請求できます。
未支給年金を請求するには、受給権者死亡届(日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は省略可能)とともに、「未支給年金・未支払給付金請求書」を提出する必要があります。亡くなった人の年金証書や、亡くなった人との続柄・同一生計であったことが分かる書類も用意しなければなりません。
年金受給者が亡くなったときは、遺族に対して「遺族年金」が支払われることもあります。
遺族年金は亡くなった人の年金加入状況によって支給されるため、国民年金のみの加入であったのか、厚生年金にも加入していたのかを確認しておきましょう。
例えば、厚生年金の被保険者が死亡した場合は、遺族厚生年金が支給されます。受給対象になるのは以下の遺族で、上の方が優先順位は高くなります。
・子のある配偶者
・子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方)
・子のない配偶者
・父母
・孫(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方)
・祖父母
また、国民年金の被保険者が死亡した場合に支給される「遺族基礎年金」を受給できる方は、「遺族厚生年金」も併せて受給可能です。
国民年金の第1号被保険者が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給することなく亡くなった場合は、遺族に「死亡一時金」が支給されるケースもあります。
死亡一時金の場合、配偶者の次に受給優先順位が高いのは子です。今回の事例のように「ひとり親だった父が亡くなった」という場合は、給付を受けられる可能性が高いため、確認してみましょう。
ただし、保険料を納めた月数が36ヶ月以上あることが条件となります。また、「遺族基礎年金」を受給する場合は、「死亡一時金」は支給されないため注意が必要です。死亡日の翌日から2年たつと死亡一時金を受ける権利がなくなってしまうため、早めに確認することをおすすめします。
年金受給者が亡くなり、本来受け取るはずだった年金を受給していない場合は「未支給年金」として、遺族が受け取れる可能性があります。ただし、請求するためには手続きが必要です。そろえるべき書類も確認しなくてはなりません。
また、状況によっては、遺族年金や死亡一時金を遺族が受け取れる場合もあるため、対象条件をチェックしておくとよいでしょう。
日本年金機構 年金を受給している方やそのご家族の手続き(共通事項)年金を受けている方が亡くなったとき
厚生労働省 10 基礎編講義 未支給年金(1ページ)
日本年金機構 遺族年金(受給要件・対象者・年金額)遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 第1号被保険者の独自給付死亡一時金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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