1月25日(土) 1:10
「リ・バース60」は住宅支援機構が行っている制度で、テレビCMなどで見聞きすることもあるでしょう。実際に融資の窓口になっているのは民間の金融機関で、この仕組みの主なポイントは以下の3つです。
(1)住宅金融支援機構と提携している民間金融機関で申し込める、原則60歳以上の人向けの住宅を担保にしたローンです。
(2)自宅のリフォーム、戸建住宅の建設、マンションの購入、住宅ローンの借り換えなど、さまざまな住宅資金の使途目的に利用できます。
(3)毎月の支払いは利息のみ。元金は利用者が亡くなったときに以下の方法で返済します。
・相続人から自己資金等により一括返済
・担保になっている物件(住宅・土地)の売却代金により返済
もう少し詳しく見ていきましょう。取り扱いのある金融機関は、住宅金融支援機構と住宅融資保険の契約を結んでいます。利用者は、融資の対象になる住宅および土地に、金融機関を第一順位とする抵当権を設定します。
融資を受けた資金の使いみちは、住宅関連に限定されています。「生活資金が足りない」「ゆとりのある生活で旅行がしたい」これらを補てんするためには使えません。自由度がないように感じますが、実際にはどのように利用されているのでしょうか。
住宅金融支援機構の資料によると、申込者の使途目的は図表1のとおりで、属性は平均年齢69.2歳、年収388万円です。
親がリ・バース60を利用した場合、毎月の返済は利息部分だけです。元金部分は親が亡くなったときに相続人が一括返済するか、担保になっている物件を売却して返済に充てます。
担保物件を売却して返済する場合、売却時に担保物件の価額が下がってしまい、債務が残る不安があります。リ・バース60では、相続人が残った債務を返済する必要のないノンリコース型と、債務を返済するリコース型が設けられています。
契約者の約99%がノンリコース型を選んでいるそうですが、ノンリコース型はリコース型に比べて融資の金利が高く設定されている場合があります。取扱金融機関によって異なる場合があるようなので、確認は必要です。
このように、親が亡くなったときに実家をどうするのか、相続人の判断に委ねられているのです。「親の所有する不動産なので、好きにすればよい」と軽率に考えず、親と十分相談することが大切です。
リ・バース60の商品内容を見てきましたが、似たような商品に「リバースモーゲージ」と「リースバック」があります。金融機関により多少の違いはありますが、大まかな仕組みを整理します。
リバースモーゲージは、すでに所有している不動産を担保にしたローンです。借り入れた資金の使途は住宅関連に限定されませんので、生活費を補てんする場合にも使えます。
資金は一括ではなく毎月など、分割して受け取ることもできます。“毎月の支払いは利息部分のみ、元金部分は亡くなったときに返済する”ところは「リ・バース60」に似ています。
リバースモーゲージと対で紹介されることの多い商品に、リースバックがあります。こちらは自宅を売却した後、賃貸でその家に住み続ける仕組みです。売却代金を一括で受け取りますので、その使いみちは自由です。毎月、家賃を支払うことになります。
住宅金融支援機構 満60歳以上の方のための住宅融資保険付きリバースモーゲージ型住宅ローン 【リ・バース60】の利用実績等について(2024年1月~3月及び2023年度分)
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
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