『ベルサイユのばら』沢城みゆきが大切にした過去を否定しないオスカルの志!

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『ベルサイユのばら』沢城みゆきが大切にした過去を否定しないオスカルの志!

1月24日(金) 3:00

革命期のフランスで懸命に生きる人々の愛と人生を、少女漫画界の巨匠・池田理代子が鮮やかに描いた累計発行部数2000万部突破の大ヒットコミック『ベルサイユのばら』が完全新作として劇場アニメ化。1月31日より全国ロードショーとなる。今回は、時に悩みを抱えながらも力強く誇らしく、時代の荒波に敢然と立ち向かった男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(以下、オスカル)役としてこの作品に参加した沢城みゆきに、オスカルの魅力や演じてみての感想などについて語ってもらった。

――沢城さんと『ベルサイユのばら』の出会いは?
沢城原作の漫画や昔放送されていたTVアニメをしっかり見たのは、今回のオーディションのタイミングが最初になります。宝塚歌劇団のトップスターのポスターやLINEのスタンプの印象が強いかもしれないですね。ただ懐かしの名曲ということで「バラはバラは♪」のサビのフレーズだけは、いろんなところで聴く機会があったので記憶の中に刷り込まれていました(笑)。もしかしたら『ベルサイユのばら』という作品との出会いは、この音楽が先だったかなと思います。

――原作コミックを読んだ感想を教えてください。
沢城とにかく池田先生の凄まじい画力の高さが一番衝撃的でした。”少女漫画の金字塔”という肩書きもあるということで、恋愛をメインに描いたお話なんだろうと思って読んでみたところ、「人として生きるためには」といった普遍的な問いがベースにあり、入口で薫っていた雰囲気と、実際に中で触れた感覚が違う作品だというのが素直な感想でした。

――はじめて劇場アニメ『ベルサイユのばら』の台本を読んだときの感想を教えてください。
沢城 原作コミックが、約2時間の映像にギュッと詰め込まれているので、歌のシーンをきっかけに一気に時間が経過するような場面があります。「歌の前後で、このセリフは繋がるのか」、「どんな気持ちで演技を再開するべきか」というところが、台本を読んで感じた注意すべき課題でした。

――歌による演出が特徴的な作品です。劇場アニメならではの演出についてどんな印象がありますか?
沢城劇中でどうしても時間の関係で語りきれなかったエピソードがあったとしても、素晴らしい音楽と高密度な映像がその隙間を埋めてくれるので、原作のシーンをギュッと圧縮して体感したような感覚にさせてくれるんです。できるだけ映像で補完しようとする制作陣の努力が感じられる作品になっています。

――オスカルというキャラクターを、どのように作り上げていきましたか?
沢城ベースは原作にあるものを丁寧に追いかけていきました。漫画より先に出崎監督のTVアニメ版『ベルサイユのばら』を拝見したんですが、彫刻のように美しく、志も高いオスカルに圧倒されました。同時にすごく遠い存在にも感じたんです。でも原作を読んでみると、口が悪くて、けんかっ早いなど年相応の青さのあるキャラクターとして描かれていて驚きました。今回の劇場アニメではそんな等身大のオスカルを描きたいと監督からお話があったこともあり、美しく、尊く、志高く、といった面だけでなく、もっと身近な、人間くさいところが薫るように試行錯誤しました。

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――他にオスカルを演じるにあたって大切にしたポイントは?
沢城オスカルは新しい価値観に触れて、一つひとつ自分の心を確かめながら選択を重ねていくことになるんですが、新しく選択したものがあっても、過去を否定しないんです。そこは一番大事にしようと考えました。例えば「さらばもろもろの古きくびきよ、過ぎさりし愛しき日々よ」というセリフとともに、オスカルはフランス革命に市民側で身を投じていくんですが、これは自分が歩んできた過去を否定したわけではなく、自分の心に従って未来を選んだがゆえの行動だったりするんです。結果としては同じに見えても、常に未来に希望を持って向かっていくという、そうした姿勢は最後まで貫くようにしていました。

――アフレコでは監督や音響監督からどのようなディレクションがありましたか?
沢城スタッフサイドも他のキャストも気を付けていたのは、2カット先で時が5年ぐらい経ってしまうことがあるので、「このシーンでは何歳なんだ?」と確認して、その年齢に合わせた演技をするように、丁寧に収録を進めていきました。シーンによっては、原作コミックを読み返す場合もあったり、逐一チェックしながら一つひとつのシーンを演じました。

――収録して大変だったシーンがあればお聞かせください。
沢城後半になると衛兵隊の兵士に向かって語りかけていくシーンがあるんですけど、セリフに「なんでこの言葉を紡いだのか」という行間のお芝居を含ませないといけなかったんです。そのシーンでは、「オスカル役として自分が舞台に立ったらこうかな?」と想像しながら台本のセリフを憶えて演じました。

――それだけ重要なセリフだと考えたわけですね?
沢城衛兵隊の兵士たちに声を掛ける際にも、「兵士1」「兵士2」みたいな感覚で呼ぶのではなく、オスカルとその兵士の間にあるはずの関係値というものをちゃんと補完しようと、相手への想いを込めて呼びかけるようにしています。本作では時間の関係もあって描かれていないのですが、(マリー・)アントワネットを護るという自分の人生の使命だと思っていた任務から、別の道へと舵を切った大きな要因は、衛兵隊の仲間とのやりとりの中で培われていたものだったりするんです。なので、そこに嘘があると成り立たないので、そうした本作では描き切れなかった想いも、「しっかり気を付けてくれよ」と自分に対して思いながら演じました。

――他のキャラクターと掛け合いをしながらアフレコしたシーンはありますか?
沢城ありがたいことにアントワネット役の平野綾さんとは全編通してご一緒することができました。アントワネットとは後半価値観が異なっていって、最後には袂を分かつことになるんですが、監督から「もう少しセリフとして拮抗してほしい」「聞き役にならないでほしい」といった細かなディレクションをいただきながら収録ができたのはとてもありがたかったです。

――オスカルとアントワネットの関係についてはどんな印象がありますか?
沢城自己愛というものに目覚めて、自分を大切に心のままに自由に生きることを選んだオスカルに対して、自尊心というものが育っていって、ベルサイユ宮殿での常識のもとで王妃であることを選んだのが、アントワネットだと私は思っていて。そうした環境が本当の愛を知るための機会を、彼女から奪っていったような気がするんです。それでも子供たちへの深い愛という母性を手にすることができたのですが、今度はその幸せな日常を守るために、市民と対立するしかなくなっていってしまう。それがオスカルとの決別にも繋がってしまうわけですからね。すごくかわいそうな人だと思います。

――アンドレ(・グランディエ)役の豊永(利行)さんともご一緒されたんですか?
沢城大事なシーンは一緒に収録できました。アンドレとの会話では、普段鎧を着ているようなオスカルの声が、少し和らいだ印象があるんですよ。そんな彼女の心の動きを、トッシー(豊永)の声の音色が引き出してくれたような気がします。

――オスカルとアンドレの関係について、どう思いますか?
沢城毒入りのワイン事件があるまで、アンドレはオスカルの眼中に全然入っていなかったと思うんですよね。オスカルが自分のことで目一杯だったということもあるんですが、アンドレの気持ちを考えると「かわいそうだなぁ」という思いでした。でも意識した瞬間から、オスカルの胸にある女性としての恋心が鼓動を始めた感じがあって。自分から認識しないとその大切さには気づけず、生きるためには絶対に必要で、さらには目に入らないけど側にいないことはあり得ない。オスカルにとってアンドレは、そんな空気のような存在なのかなと思います。

――最後に本作品の感想と、ファンへのメッセージをお願いします。
沢城物語の前半はベルサイユ宮殿を舞台にした華やかで煌びやかなシーンが多くて、「美術の人たちすごいな」と感心するような圧巻の映像と物語が展開されていくことになります。でも後半になるにつれて『ベルサイユのばら』という作品がもっている力が、映像からセリフの方に落とし込まれるようになっていくんですね。この作品のテーマとなっている「人が自由に生きていくってなんだろう」という問いが、映像だけでなくセリフという言葉の世界に、どんどん集約されていったような、そんな感覚がありました。いまの時代だからこそ、見る価値のある作品だと思いますので、ぜひMAPPAさんの美しい映像と素晴らしい音楽に彩られながら、怒濤のように展開する壮大な人間ドラマを楽しんで観てもらえたなら嬉しいです。

<PROFILE>
沢城みゆき(さわしろみゆき)
6月2日生まれ。青二プロダクション所属。主な出演作はTVアニメ『うる星やつら』(サクラ)、『ザ・ファブル』(佐藤洋子)、『もののがたり』(羽織)、『ルパン三世』(峰不二子)、『化物語』(神原駿河)、『ソードアート・オンラインII』(シノン)、『ゲゲゲの鬼太郎(6期)』(鬼太郎)ほか。
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