『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。マシューは10年以上前に購入し今は放置してしまっている1994年式トヨタ・セリカをに思いを巡らせる。
【画像】色褪せてしまった赤いセリカ。ようやく眠りから目覚めるときが来た!(写真2点)
長年、友人や同僚、さらには家族から「まだあのセリカを持ってるの?」と聞かれることがあった。この手の質問には慣れっこで、「いったい何台、車を持っているの?」という質問と同じくらい、うまくかわす術を身に付けている。
その最初の質問への答えは「はい」だ。驚いたことに、この車は2012年から所有しているのでもう10年以上になる。雑誌『evo』のスタッフライターとして駆け出しだった頃、当時の私にとってこの車は、手頃な価格で手に入る、本気で速くてクールな車だった。
本当はインプレッサが欲しかったが、あえて選んだセリカの方が保険料が圧倒的に安かった。これは当時の私にとって非常に重要な要素だったのだ。
しかしこのセリカは完璧とは程遠かった。赤い塗装は褪せ始め、マフラーの音はやけに大きく、3速へのシフト操作がぎこちない。それでも、この車はグループAのホモロゲーションモデルだけが持つ特別な雰囲気を漂わせていた。2.0リッターターボエンジンは軽くチューンされ、300bhp以上を4輪に送り込む。度々故障して私を悩ませたが、それでもこの車は私が所有してきた中で、最も加速性能に優れた一台だったと胸を張って言うことができる。
それで、結局どうなったのか。実は6年ほど前に修理に出したまま、自宅には戻ってこなかったのだ。2020年初めにホンダ・インテグラ タイプRを購入し、セリカを売るべきだと考えたが、新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、引き取りに行くタイミングを失った。そしてそのまま倉庫で眠り続け、実を言うと存在を忘れかけていた。だが先月、ついにその眠りから目覚めたのだ。
現在、この車を再び走れるようにするために必要な作業を見極めている。基本的な整備に加え、タイミングベルトの交換、ブレーキのオーバーホール、新しいタイヤの取り付けが必要だ。また、錆びが気になる箇所もいくつかあり、これも対処しなければならない。マフラーも手を入れるつもりだ。音を抑えるだけでなく、中が空洞のような音を立てる触媒コンバーターをしっかり調べるためだ。
こうして復活させても、実際にどうするかはまだ決めかねている。年齢を重ね、少しは分別がつくようになったと思いたいが、きっと運転席に座って数分もすれば、「この車を売るべきだ」という理性的な声を再び無視してしまう理由を思い出す気がしている。さて、どうなるだろうか。
文:Matthew Hayward
【関連記事】
・この町でインテグラを楽しむ。|『Octane』UKスタッフの愛車日記
・インテグラタイプRはポテンシャルの奥深さが自慢!|『Octane』UKスタッフの愛車日記
・ホンダ インテグラ・タイプRと良き仲間たち|『Octane』UKスタッフの愛車日記
・アウディA2のちょっとしたトラブル|『Octane』UKスタッフの愛車日記
・かつて日本車の中で最もパワフルだったトヨタの1台