サッカー日本代表入りへ関根大輝が手本にすべきは酒井宏樹フランスで求められる能力とは?

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サッカー日本代表入りへ関根大輝が手本にすべきは酒井宏樹フランスで求められる能力とは?

1月20日(月) 1:00

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この冬のメルカート(移籍市場)で、リーグ・アンの古豪スタッド・ランスに柏レイソルの右SB関根大輝(ひろき)が完全移籍で加入した。契約期間は2029年6月30日までの4年半で、スタッド・ランスが支払った移籍金は65万ユーロ(約1億円)とされる。

周知のとおり、現在のスタッド・ランスでは日本代表の伊東純也と中村敬斗が攻撃を牽引している。昨夏にジャパンツアーを慣行し、日本企業がユニフォームの胸スポンサーとなるなど、日本との親和性が高いクラブとして知られている。

昨年は柏レイソルで31試合に出場した関根大輝photo by Getty Images

昨年は柏レイソルで31試合に出場した関根大輝photo by Getty Images



しかしながら、Jクラブからフランスの1部リーグに直接羽ばたいた例は、過去に中田浩二(マルセイユ/2005年)と昌子源(トゥールーズ/2019年)のふたりしか存在しないことを考えると、今回の移籍はレアケース。ある意味、クラブの関根に対する期待の大きさの表われ、とも言えるだろう。

「関根大輝はとても完成された選手で、守備面だけでなく、攻撃においても重要な役割を果たす能力を兼ね備えている。彼の戦術理解力と守備テクニックは、我々のシステムにおいても貴重な財産になるはずだ。

守備においても、彼の身体能力はリーグ・アンに求められるレベルに適応できるだろう。加えて、ビルドアップで必要な足技もあり、ラスト30メートルのところでは効果的なクロスを供給できる」

会長の息子で、現在クラブのスポーツダイレクターを務めるポル=エドゥアール・カイヨも、獲得に際して関根を高く評価している。

今回、スタッド・ランスが関根を獲得した背景には、控え右SBのマクシム・ビュシが出場機会を求めて、この冬にNACブレダ(オランダ)にローン移籍したことがあった。

現在、ルカ・エルスネル監督が基本とする4-3-3で右SBのレギュラーを務めるのは、昨夏にフランクフルトからローン加入したアウレリオ・ブタ(ポルトガル/アンゴラ)。バックアップには、本来CBながらエルスネル監督の下では右SBを任される19歳のアブドゥル・コネ(フランス/コートジボワール)、あるいは左SBのノア・サンギ(フランス/コンゴ共和国)もそつなく右SBをこなし、場合によってはCBのジョセフ・オクム(ケニア)が右SBでプレーしたケースもある。

つまり本職の右SBは、ブタ以外に新戦力の関根しかいないという状況だ。

【酒井宏樹がデビュー戦で学んだこと】主力CBだったエマニュエル・アグバドゥがこの冬、2000万ユーロ(約32億円)でプレミアリーグのウルヴァーハンプトンに引き抜かれ、最終ラインが手薄になった。そうような選手層だけに、加入してすぐにブタを脅かすのは難しいとしても、関根の出場機会はそれなりにあると予想できる。

ただ、昨年のパリ五輪で実力を証明したとはいえ、プロキャリアわずか1年の関根にとって、日本人が得意としない独特なフィジカルバトルを特徴とするリーグ・アンに順応することが最初のハードルとなる。

とりわけリーグ・アンで関根が対戦するチームには、ずば抜けた身体能力やスピードを武器とするウインガーが多い。適切な間合いを取らなければ、あっという間に置き去りにされてしまう可能性は十分にある。

そういう点で、日本代表入りを狙うためにも今後の参考にすべきは、柏レイソルの大先輩にあたる酒井宏樹だろう。

現在オークランドFC(オーストラリア)で活躍する酒井がハノーファー(ドイツ)から名門マルセイユに加入したのは2016年の夏。加入当初の酒井は「リーグ・アンに適応するまでには時間がかかるだろう」と控えめに語っていた。

リーグ・アンでのデビュー戦、酒井は対峙した相手ウインガーにドリブル突破を許してピンチを招く。彼はそれを教訓に、次の試合から対峙する選手を研究し、1対1の局面での間合い(相手との距離)を変えたことで、予想以上のスピードでリーグ・アンに適応することができた。

また、酒井がリーグ・アンにフィットできたのは、ブンデスリーガでの経験に加え、日本人離れした強靭なフィジカルを兼ね備えていたことも大きかった。その点、関根には185cmの酒井を上回る187cmの身長がある。しっかりとトレーニングを積めば、酒井以上のフィジカル能力を身につけるに十分な体格があることも明るい希望と言える。

【意外と早くデビューする可能性も】ただ、そんな関根の台頭が待ち遠しいところではあるが、その一方で、現在のスタッド・ランスのチーム状況は芳しくない。

エルスネス新体制となった今シーズンは、スタートダッシュに成功して一時は3位につけていた時期もあったが、昨年10月20日の第8節オセール戦で敗れて以降、直近のリーグ戦10試合でわずか1勝。順位もボトムハーフにまで急降下し、エルスネル監督の去就問題が取りざたされる状況になってしまった。

たしかに日本人選手だけを見れば、伊東は全試合に先発して4ゴール3アシストを記録し(第17節終了時点。以下同)、中村もチーム最多の7ゴールを量産してリーグ・アンの得点ランキングで8位タイという活躍ぶりを見せている。だが、チームとしては結果が出せなくなっており、このままでは降格圏内に吸い込まれそうな気配も漂っている。

最大の問題は、レギュラークラスの戦力に故障離脱者が続出していること。それによって、試合の流れを選手交代によって変えることができず、特に後半になって戦力ダウンしてしまう苦しい台所事情がある。

とはいえ、個人オーナーのクラブに補強のための豊富な資金はない。

この冬も、これまで関根以外に獲得した新戦力は、FCシリウスから250万ユーロ(約4億円)で獲得したスウェーデンU-21代表のCBマルコム・ジェンと、ヘタフェから120万ユーロ(約1億9000万円)で加入した21歳のMFジョン・パトリックという青田買い的な補強に終始。やはり降格を回避するためには、即戦力の補強が求められるところだ。

またFWの選手層も薄く、1トップは17試合を終えて4ゴールのウマル・ディアキテに頼るしかない。1月14日に行なわれたフランスカップのモナコ戦のように、今後はチーム内得点王の中村が1トップでプレーする試合が増える可能性も高そうだ。

果たして新戦力の関根は、そんな厳しい状況を好転させるきっかけとなれるのか。

エルスネル監督は、関根ら新戦力には十分な準備期間を与えたうえで試したいとしている。しかし現状が変わらなければ、意外と早いタイミングで関根がリーグ・アンの舞台にデビューするかもしれない。

いずれにしても、現在のスタッド・ランスは日本人3選手の力を必要としている。



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