1月17日からNetflixで配信中の『バック・イン・アクション』。家庭を築くために引退していたスパイが現役復帰を果たすという本作で、役柄同様の女優業への“カムバック”劇が話題を集めているのがキャメロン・ディアスだ。ハリウッド屈指のマネーメイキング・スターでありながらも、『ANNIE アニー』(14)を最後に表舞台から姿を消していたディアス。彼女にとって実に10年ぶりとなる映画出演となる今回、その華々しいキャリアを振り返ってみたい。
【写真を見る】『マスク』で鮮烈なスクリーンデビューを飾ったディアス
■モデル出身の美貌を生かしたキュートな演技で瞬く間に台頭
16歳で家を出て17歳の頃にモデルを始めると、以降の5年間は日本をはじめ、オーストラリア、メキシコ、モロッコなど世界を転々とする日々を送ったディアス。そして21歳の時、演技経験皆無ながらヒロインに抜擢された、ジム・キャリー主演のヒットコメディ『マスク』(94)で役者デビューを果たす。
演じたティナはギャングの愛人だが男の横柄な態度に辟易していたところ、マスクとの情熱的なキスをきっかけに彼に心奪われる役どころ。セクシーで小悪魔的な顔と同時に、天然な一面も持つキャラクターを生き生きと演じ、存在感を放った。
その後はキアヌ・リーブスと共演した『フィーリング・ミネソタ』(96)やジュリア・ロバーツと渡り合った『ベスト・フレンズ・ウェディング』(97)といったラブコメディで存在感を示すと、主演作『メリーに首ったけ』(98)が全世界興収3億6000万ドルを超える大ヒットを記録し、トップスターに。
一人の女性をめぐって男たちが繰り広げる騒動をブラックジョークと下ネタ満載で描いた本作。ディアスは、キュートで優しく頭もよい、男たちを虜にするメリー像を体現した演技が評価され、第56回ゴールデン・グローブ賞の最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル)にノミネートされた。
圧倒的なスター性や出演作品のテイストから演技派のイメージの薄いディアスだが、『マルコヴィッチの穴』(99)、『バニラ・スカイ』(01)、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02)と、この頃は毎年のようにゴールデン・グローブ賞や全米映画俳優組合賞にノミネートされていた。
■キュート&セクシーな魅力を生かした『チャリエン』で一躍フィーバー
そんな彼女を語るうえで外せない代表作といえば、やはり『チャーリーズ・エンジェル』(00)だ。名作ドラマをマックG監督がリメイクした本作では、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューと共に、カッコよくてセクシーで強い女性エージェント“エンジェル”の一人に名を連ねている。
ワイルドなディラン(バリモア)、頭脳明晰なアレックス(リュー)と、それぞれキャラの立ったエンジェルのなかでディアスが演じたのは、朝っぱらからパンツ姿で踊りながらベッドを整えるような陽気でお茶目なナタリー。チャーミングな笑顔と振り切ったテンションの演技に加え、抜群のスタイルを生かした様々な七変化やクールなアクションまで、八面六臂の大活躍を見せた。
世界興収2億6000万ドルを叩きだした本作は、続編『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』(03)も制作。お色気やアクションを満載にパワーアップした同作でも、自らのチャーミングな魅力を存分に振りまいた。
■強烈な悪女にも…コメディと並行しシリアス路線にも挑戦
その後も彼女の役者としての軸であるコメディを中心に出演作を重ね、ジュード・ロウとのカップリングが話題となった『ホリデイ』(06)やトム・クルーズ扮するスパイに振り回される平凡な女性像がかえって新鮮だった『ナイト&デイ』(10)、頭の切れる有能な秘書に扮した『グリーン・ホーネット』(11)など、興収2億ドル超えのスマッシュヒットを連発。2013年には最も稼いだ40代以上の女優となった。
コメディで変わらぬ魅力を放つ一方で『私の中のあなた』(09)、『運命のボタン』(09)などのシリアス路線の作品でも鮮烈な印象を残してきたディアス。特に『ギャング・オブ・ニューヨーク』以来のマーティン・スコセッシ監督作への出演が叶った『悪の法則』(13)では、悪徳実業家の愛人である魔性の女マルキナを好演。
肩越しに豹柄のタトゥーが入った魅力的なビジュアルと謎めいた雰囲気、恐ろしいことを言い放つ真顔の凄味など、人間としての良心が欠けたぶっ飛んだキャラクターを表現。フェラーリのボンネットに跨っての乱れっぷりなど体当たりの演技で新境地を切り開いた。
■『バック・イン・アクション』で10年ぶりにハリウッドにカムバック!
さらなる進化を期待させたディアスだったが、2014年12月公開の『ANNIE アニー』の翌月に結婚すると、事実上の引退状態に突入。ハリウッドを去った理由について「自分の人生なのに自分で管理できていない部分がたくさんあったと気づいたから」と、女優業で疎かにしてきた部分を見つめ直すためであることをケビン・ハートのインタビュー番組で告白。
それでも完全引退宣言はしてこなかった彼女は、『ANNIE アニー』でも共演した盟友ジェイミー・フォックスの説得により、『バック・イン・アクション』でカムバック。これが3度目の共演となるフォックスとディアス扮する元CIA諜報員の夫婦が、身元がバレたことを機に危険な世界へ舞い戻る。
10年前から時が止まっているかのような美貌を誇るディアスは、久しぶりの戦いを楽しむような快活な表情を浮かべたかと思えば、若者に「おばさん」と言われブチ切れるなど、感情豊かにキャラクター像を表現。自身の境遇と重なるようなキャラクターだけに説得力も抜群だ。
キレのあるアクションもこなすなど、10年というブランクを感じさせないスター性とデビュー当時から変わらないチャーミングな魅力を放っているキャメロン・ディアス。今後、本格的に活動復帰を果たすのかは不明だが、シリーズを通じてフィオナ姫の声優を務めてきた「シュレック」シリーズの16年ぶりの新作『シュレック5』でも続投するとのことなので、まずは『バック・イン・アクション』を観て、復帰を祝いたい。
文/サンクレイオ翼
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