80年代の九龍城砦を舞台にした、少年漫画のようにアツくて泣ける『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』のおもしろさ

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80年代の九龍城砦を舞台にした、少年漫画のようにアツくて泣ける『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』のおもしろさ

1月18日(土) 6:30

2024年のカンヌ国際映画祭でのお披露目上映で熱狂を呼び起こし、中華圏で記録的な大ヒットを飛ばしたアクション大作『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』がついに日本のスクリーンに登場した。はっきり言って、これはすごい!1980年代における香港の九龍城砦を舞台に繰り広げられるバトルは、とてつもなくエキサイティングでエモーショナル。少年漫画のようにアツくて、泣ける!本稿では、その凄みを紹介していく。
【写真を見る】香港映画のレジェンド、ルイス・クーが黒社会の人間からも畏怖される武術の達人ロンギュンフォンを演じる

■香港に実在した魔窟、九龍城砦とは?

まず、九龍城砦について簡単に紹介しておこう。もともとは清朝時代に築かれた軍事砦で、第二次大戦後になると多くの人が住み着いた。違法建築が上下に積み重なった無秩序な空間で内部には狭い路地や通路が張り巡らされるなど、見た目的にも”魔窟”という言葉が思い浮かぶ。1970~80年代には黒社会の進出によって犯罪の温床として問題視される一方、裕福とは言えない庶民が肩を寄せ合い、様々な店を経営しながら助け合って暮らしていた。しかし1993年、香港政府の指示により住民は移住を余儀なくされ、建物も解体された。劇中の九龍城砦は、約9億円を投じてこの魔窟を再現した巨大セットだ。

ロンギュンフォンに敗れたロッグワンだがそのまま九龍城砦に住むことを許される

■孤独な青年が逃げ込んだ九龍城砦で大切な仲間と場所を手に入れる

『トワイライト・ウォリアーズ~』で描かれるのは、砦に庶民やヤクザ者が共存していた時代。香港に密航してきた青年ロッグワン(レイモンド・ラム)は黒社会から追われ、九龍城砦に逃げ込む。そこは、かつて黒社会の伝説的な闘士として畏怖された理髪店主ロンギュンフォン(ルイス・クー)による庇護の下、砦の平和が守られていた。ロンギュンフォンに戦いを挑むも一蹴されてしまったロッグワン。砦で暮らすようになった彼は真面目に働き、若い舎弟たちとの友情を育みながら、そこに自分の居場所を見いだしていく。しかし、政治家と組んだ黒社会の大ボス(サモ・ハン)が、九龍城砦の利権を虎視眈々とねらっていた。ロッグワンは仲間と共に、砦を守るために立ち上がる!

ロンギュンフォンに戦いを挑むロッグワンだが…

■香港映画らしいスピード感あふれるアクションが次々と展開!

冒頭からアクションの見せ場が連打。地下闘技場でのロッグワンの泥臭いバトル、組織の怒りを買い組員たちからの追跡を逃れる彼の奔走、逃げ込んだ九龍城砦でのロンギュンフォンたちを相手にした立ち回りなどが次々と映しだされていく。そして、走行する2階建てバスや迷宮のような砦内部で、肉弾戦に加えて棒やナイフを使ったファイトが、香港映画らしいスピード感に乗せて展開されていく。開始30分も立たないうちに、矢継ぎ早にこれらの迫力あるシーンが連ねられるのだから、引き込まれないわけがない。

ロッグワンを逃がすために戦うロンギュンフォン

■ルイス・クーvsサモ・ハンのドリームマッチがアツい!

ロッグワンが九龍城砦の住人となってからの中盤は、彼の意外な過去が判明したことで、不穏な空気が漂う。ロッグワンの亡き父に恨みを抱く、ひと世代上の黒社会の住人たちが動きだしたことで、砦はバトルフィールドと化すのだ。しかし、砦の人々は新参者であるロッグワンを決して見捨てない。一度仲間となった者は最後まで仲間。彼を砦から逃すために、ロンギュンフォンと部下たちが命懸けの戦いを繰り広げる。ロンギュンフォンvs大ボス、すなわちベテラン、ルイス・クーと大ベテラン、サモ・ハンという香港二大スターのドリームマッチにアツくなること必至だ。
サモ・ハン演じる黒社会の大ボス


■次世代スターたちが後半の物語を盛り上げる!

ロッグワン役のレイモンド・ウォンをはじめとする若き俳優たちの熱演も確実に観る者を魅了する。『スタントマン』(24)のテレンス・ラウがロンギュンフォンを兄貴と慕う九龍城砦の若頭ソンヤッを演じれば、常にリーゼントの髪がキマッてるかを気にしている義理堅いギャング、サップイーを『宵闇真珠』(17)のトニー・ウーが演じて個性を発揮。顔の傷を隠すためにマスクを装着している砦の医師セイジャイに扮したジャーマン・チョンの無骨だけどフレンドリーなキャラクターも印象的。次世代スターたちが演じた、それぞれがキャラ立ちまくりの4人組が後半の物語を牽引していく。

九龍城砦から追い立てられたロッグワンたち

■九龍城砦を守るため!熱量高いファイトがクライマックスで繰り広げられる

クライマックスは、ロッグワンら4人が、敵に乗っ取られた砦に殴り込むシークエンス。気功を駆使して銃や刃物、打撃のダメージをいなしてしまう強敵相手に、チームで連携して挑む肉弾アクションはスピード感満点。カンフーやワイヤーワークといった香港アクションの伝統的な要素に加えて、九龍城砦の立体構造が生かされたパルクールのような縦横無尽のファイトも繰り広げられる。俺たちの居場所を、住人のための九龍城砦を取り戻すため、そして命を散らした仲間のため。ロッグワンらの戦いは、そんな感情に裏打ちされ、とてつもない熱を帯びていく。そう、これはまさに、ジョン・ウーやジョニー・トーら香港アクションの鬼才たちの作品に通じる熱血映画なのだ。
香港映画のスピリットを受け継いだアドレナリン全開のアツいアクションに感涙必至の『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』


ご存知のとおり香港は、中国返還や独立運動など、この後も激動の歴史をたどり、変わり続けている。『マッド・フェイト』(23)などで知られるソイ・チェン監督は、そのような数々の苦難も視野に入れながら、どんなに街が変わっても決して変わらないものを、アクションを通して描き切る。それがなにかを説明するのは無粋なので、ここでは控える。アドレナリンと感涙のなかに見えてくる香港映画の、そして香港のスピリットに、ぜひふれてほしい。

文/相馬学


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