1月17日(金) 23:50
警察の職種は大きく分けて「警察官」と「警察行政職員」の2種類に分類されます。地域の安全や安心を守るために幅広く活動している警察官とは別に、警察事務や専門的な職務など警察官の活動を支える仕事を担っているのが「警察行政職員」です。
警視庁の警察行政職員は「事務」と「技術・専門・技能系」の約40種類の職種があります。「事務」は円滑に警察業務進むように行政事務を担います。具体的には、警察署内の警務や会計、電話・窓口業務などです。
「技術・専門・技能系」は専門分野の知識や技能を活かし、警察業務を支えます。鑑識技術や通訳、自動車整備、航空機械技術、臨床検査技師など多岐にわたります。
警察には「I類」「II類」「III類」の3種類の基準があり、I類は大学卒業程度、II類は短大卒業程度、III類は高校卒業程度となっています。受験資格は自治体などによって条件が異なり、受験資格をクリアしていないと試験自体を受けることができません。
令和6年度警視庁採用サイトより、警察官と警察行政職員の初任給を表1にまとめました。
表1
警察官 | 警察行政職員 | |
---|---|---|
I類採用者 | 26万9500円 | 23万5400円 |
II類採用者 | - | 23万5600円 |
III類採用者 | 23万2000円 | 19万2100円 |
※参考サイトを基に筆者作成
警察官では「階級」に沿って昇進しますが、警察行政職員は「職名」に基づいての昇進だといわれています。「主事」「主任」「副主査」「係長(課長代理)」「副参事(課長)」「参事官・理事官」などとあり、本部と警察署では階級・職名が異なるようです。
警察官の階級である「巡査部長」「警部補」「警部」までの昇任は、試験と勤務成績、能力などの審査を経て「選抜・選考制度」に基づいて昇任者が決定されます。それぞれの役職ごとに、昇任試験を受けるためには一定の年数が必要とされており、I類(大卒程度)やIII類(高卒程度)で必要とされる年数が異なります。
対して警察行政職員は、経験年数や勤務成績などを考慮し、能力によって昇任・昇格が行われるようです。
警視庁で公開されている警察行政職員(I類)の実務2年目の年収例は「444万5000円」です。この年収例には、給料月額や地域手当、期末・勤勉手当(年間約4.65ヶ月分)などが含まれています。
広島県警で公開されている警察行政職員(大卒程度)の実務2年目の年収は「約419万2400円」となっています。こちらも給料月額と地域手当、期末・勤勉手当などを含んだ金額です。
地域手当が異なるため総額の年収金額は異なりますが、実務2年目でも450万円近くになります。警察業務を24時間365日支える職種であり、交替制勤務や宿直勤務に就くケースもあることから、給与が高めに設定されていると考えられます。
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-」における20~24歳の平均年収は267万円、25~29歳も394万円となっているため、警察行政職員は、平均よりも高い年収を得られる可能性があると分かります。
警察といえば「警察官」と思い浮かべる方が多いかもしれませんが、警察活動を支える「警察行政職員」も毎年採用試験が行われており、毎年高倍率になる人気職種のようです。警察行政職員は、事務職だけでなく、鑑識技術など専門的な技術職と幅広い業務を担っています。
収入は高い傾向にあるようですが、応募倍率も高く、責任を伴う仕事だといえるでしょう。とはいえ、皆が安全で安心できる生活を守りたいという正義感の強い人は、受験を検討してみてはいかがでしょうか。
令和6年度警視庁採用サイト給与・昇任制度
令和6年度警視庁採用サイト警察行政職員Ⅱ類
広島県警察求人・採用試験情報
国税庁令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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