1月12日(日) 14:00
総務省の家計調査報告(2023年)によれば、年収1000~1250万円の40代2人以上世帯の貯蓄額は、平均値が2169万円となっています。
年収1000~1200万円の40代世帯であっても、生活コストやローンの負担が大きい場合、貯金が難しいことは珍しくありません。
とはいえ、貯金ゼロというのは少数派で、改善する必要があるいえるでしょう。
では、なぜ貯蓄がないことがまずいのか?に、立ち返って考えましょう。
1. 緊急時(失業や病気など)の対応が困難
2. 子どもの進学費用に対応できない可能性
3. 老後資金の不足
があげられると思います。
共通していることは、いざという事態が起こってからではどうすることもできないということです。貯蓄は少しずつしか増えていかないけれど、心掛けしだいで確実に増やしていけるものです。
以下、解決に向けた4つのステップを紹介します。
まず、家計の支出をすべて明確に把握することです。
住宅ローン:ローン返済は月額いくらなのか?金利や返済期間は適切か?最近は金融機関で、気軽にシミュレーションできるツールを用意していますので、自宅でライフプランを組み込みながら何度も見返しましょう。
カーローン:マイカーの優先順位はどうなっていますか?買い替えが不要であれば返済優先を検討しましょう。
食費、光熱費、通信費、レジャー費など、月々の生活費を見直しましょう。毎月詳細にわたって振り返るとなると面倒になりますから、通帳アプリを見て、特に支出の多い項目を中心に、無駄遣いや過剰な支出がないかをチェックしましょう。
第2段階として、貯蓄の先取り、仕組化をつくることです。
半年分の生活費を具体的な緊急予備資金として目指します。Aさんの場合世帯年収が1200万円、月収100万円ですから、600万円を目標額とします。
毎月の給料日に5〜10万円を自動で別口座に移すように設定しましょう。
給料のほかに賞与がある場合は、ボーナス時に一定割合を貯蓄口座へ移すように設定します。例えばボーナスの30%など、具体的な数字を掲げておくほうがいいでしょう。
第3段階として、支出の大きな部分を占めるためローン返済に見直します。
金利の見直し、あるいは繰り上げ返済が可能かどうか、できるだけ取り入れるように検討しましょう。昨今、金利上昇が見込まれる中、低金利への借り換えというのは難しいでしょうから、繰り上げ返済を採り入れるとどれだけ月々の返済負担が軽減されるのかをシミュレーションしてみましょう。
残高が少額の場合、一括返済を検討してください。
子ども2人の進学費用の準備が必要です。近年では返済不要の奨学金制度や授業料減免制度、学校独自の特待生制度など、学校教育に直接かかわる費用負担の軽減の仕組みが充実していますが、学外活動(部活動や習い事)に関わる費用は原則自己負担です。
一般的に子どもを持つ家庭で採り入れているのは、児童手当や学資保険を利用して教育費を積み立てるケースです。国や地方から支給された手当金をそのまま貯蓄にまわすという仕組みづくりは「うっかり浪費」につながらないので有効です。
安心した老後生活のためには、公的年金だけに頼るというのでは心もとないです。時間を味方につけて、少額で老後資金を準備するよう心掛けましょう。
途中引き出しができないiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用して、「仕組化」を確定させておくといいでしょう。
以上、現状の洗い出しと、比較的実践しやすい取り組みについてご紹介してきましたが、「まずい」と問題意識を抱いた時点で、「すぐに」「貯蓄額を増やす仕組化」を始めることをお勧めします。最初は月5万円の貯蓄でも、年間では60万円、10年間継続すれば600万円と大きな成果が出ます。
e-Stat家計調査貯蓄・負債編二人以上の世帯(2023年)
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者
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