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大晦日ともなると、たいていの家では新年を迎える準備も一段落するころでしょう。ほっとしたのもつかの間、「あれ。年越しそばって年を越す前に食べるほうがいいの? 越した後なの?」なんて疑問もわいてきます。そこで、知っておきたい大晦日のしきたりについて、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に教えてもらいました。
■年越しそばは年を越す前に食べると縁起がいい
「年越しそば」は江戸時代の町人の間で始まった風習で、新しい年の健康や幸せを願いながら大晦日に食べるのが一般的です。
「年越しそばを食べるタイミングは特に決まっていません。ただ、年を越す前に食べると縁起がいいとされています。大晦日の夕食として食べたり、おせち料理をつまんだ後に少しいただいたりするとよいのではないでしょうか」(岩下先生)
年越しそばの由来は諸説ありますが、次の3つの説が有力とされています。
・そばは細く長いので「健康長寿」「家運長命」を願うという説
・そばは切れやすいので「一年の災厄を断ち切る」という説
・金箔職人がそば粉を丸めて散らばった金粉を集めたことから「金運を呼ぶ」という説
年越しそばの具にも特に決まりはないのですが、定番は「腰が曲がるまで長生きできますように」という長寿の願いが込もった海老の天ぷらです。
おせち料理に必ず登場する紅白かまぼこも、白は清浄、赤は魔除けの意味があるので、年越しそばに使われることが多いようです。
地域によってはそばではなくうどんを食べることもありますが、縁起を担ぐことに変わりはありません。
■除夜の鐘を聞き終わる前に寝るのは年神様に失礼!?
大晦日は、古い年を除き去り、新しい年を迎える日という意味から「除日(じょじつ)」と呼ばれます。
そこから、大晦日の夜、つまり「除日の夜」を、「除夜」と言います。
「除夜の鐘」は、仏教でいう108つの煩悩を鐘の音とともにひとつずつ取り除き、清らかな心で新年を迎えるために行われています。
じつは除夜の鐘は、12月31日の夜から1月1日の年明け直後にかけて、日にちをまたいでつくものです。
「大晦日のうちに107回の鐘をつき、最後の1回は『煩悩に惑わされないように』という願いを込めて、年が明けてからつくのが正式です。また、除夜の鐘を聞き終わる前に寝てしまうのは、年が明けてすぐ家を訪れてくださる年神様に失礼にあたります。大人はできるだけ起きて年神様をお迎えしましょう」(岩下先生)
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大晦日は一年の締めくくりの日。静かな夜に響く除夜の鐘の音を聞くと、自然と心が洗われるような気がします。「一切の苦から逃れ、悟りに至る功徳がある」と言われる梵鐘の音とともに、厳かに新しい年を迎えるのもいいかもしれませんね。
教えてくれたのは…
▶岩下宣子先生
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。
文=高梨奈々
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