人生は、何があるか予想がつかないもの。転機は突然訪れます。
美容家の那賀洋子さんも、そんな波乱万丈な人生を送ってきた一人。現在は筋肉のトレーニングから美肌を目指す「顔ジム」を提唱し、エステサロンや化粧品製造メーカーなどの会社を経営していますが、元は2人の子どもを育てる専業主婦でした。
今回は、那賀さんの半生におけるターニングポイントについて伺いました。
32歳で肌年齢70歳の現実にがく然!
現在、エステサロンと化粧品製造メーカー、そして筋膜美容協会と、3つの会社を経営している那賀さん。独自の美容メソッド「顔ジム」が話題となり、書籍の出版や多くのメディアにも取り上げられています。
そんな大活躍の那賀さんですが、起業をしたのは47歳の時。それまでは、専業主婦として子育てに勤しんでいました。
「一般企業でOLとして働いていて、20歳で結婚しました。当時は2人の子どもを育てながら家でクッキーとか焼くような、世間では理想的と言われるような主婦生活を過ごしていました」(那賀さん)
最初の転機が訪れたのは、32歳の時。子育てに少し余裕ができてきたので、夫の勧めもあり、近所のアパレル店舗でパートを始めることにしました。働きながら、周囲の女性たちがとても綺麗だったことに気づいたと言います。
「結婚して初めて社会に出てみると、世の中の同世代の人ってとても綺麗だなと思ったんですよ。私は当時、1000円くらいの化粧品を使っていたのですが、どっぷり主婦として過ごしているうちに、美容に対する意識が薄れていたと感じました。
実際、当時肌年齢を調べてもらったら、32歳なのに70歳と言われたんです。それがすごくショックで、さまざまな化粧品を使ってみたのですが、思ったような効果がなくて。そこで肌に足すのではなくマイナスしてみようと思い、全部化粧品をやめました」(那賀さん)
顔の筋膜リリースに到達、大分でエステサロンを開業
さらに“肌断食”をしながら、さらに本などで肌に関して調べていた時、医学博士だった親戚から筋膜について聞く機会があり、ついに顔ジムのメソッドにたどり着きました。
「筋膜を動かすことで歩いたり走ったりできるんですが、体は筋トレやリハビリで鍛えるのに、顔は筋肉ではなく化粧品で綺麗になろうとしますよね。その境界線ってどこなんだろうと、素朴な疑問を感じました。
それを調べているうちに、顔の筋膜を鍛えてリハビリをすればいいんじゃないの、と気づいたんです」(那賀さん)
顔の筋膜リリースという、独自の美容メソッドにたどり着いた那賀さんは、自身に試してみると、重力で垂れて涙型だった毛穴も、みるみるうちに改善。
「自分がやってよかったから、もっと周りの人にも伝えたい!」という思いから、セミナーなどを行い、ついに地元の大分で、エステサロンを開業することになりました。
女性の起業に冷ややかな時代
エステサロンを開業し、最初は1日2人お客さんが訪れる程度でしたが、テレビ番組でとりあげられたことがきっかけで、地元で人気のサロンへと成長。さまざまな偶然が重なり「生かされている」と感じたのだとか。
「もともとは起業しようなんて全く思っていなかったので、自分でも行動に驚きでした(笑)。当時、事業の届け出をした時も『どうせ主婦の遊びだろう』というような扱いをされましたし、まだまだ時代的に男尊女卑があり、地域的にも女性の起業に対しての価値観がまだ薄かったなと感じます」(那賀さん)
それでも「綺麗になる喜びを伝えたい」
それでも那賀さんが起業へと進んだのは、もっと世の人々に綺麗になる喜びを伝えたい、という思いからでした。
「肌の運動をすれば、化粧品は最低限にしても綺麗でいられるんです。でも、それを知らない人が多い。だから、自分が成功した方法をたくさんの方に伝えていこう、と思ったんです。もしそれが人のためにならないのなら、自然とうまくいかなくなるだろうし、別に辞めても良いとも思っていました。
でも結果的に今続けられているので、世の中に必要だったということなんですかね。『生かされているな』と感じます」(那賀さん)
那賀さんの、「世の中の人たちにより良いものを伝えたい」という思いが、厳しい時代を生き残るカギになったよう。
人々の美を追求する心は普遍的。今でこそ「女性の起業」はめずらしいものではなくなりつつありますが、いつでも求められるのは、ユーザーのためを思うことなのかもしれませんね。
<文/関由佳>
【関由佳】
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。Twitter/ブログ
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