“親が子をプレゼンする”婚活パーティが盛況も…“本人不在”の婚姻に潜む歪な問題点

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“親が子をプレゼンする”婚活パーティが盛況も…“本人不在”の婚姻に潜む歪な問題点

4月26日(金) 8:52

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マッチングアプリ全盛の時代、6組に1組がアプリの導きで婚姻関係を結ぶといわれる(ゼクシィ調べ)。そんな現代においても、お見合いによる結婚を望む人は一定数存在する。だが近年、特殊な形態のお見合いが話題を呼んでいる。親による「代理お見合いパーティー」だ。

男女それぞれが自己紹介などを行い、話すなかで相性を見極めて連絡先を交換する――という流れは従来のお見合いパーティーと何ら変わらないが、そこにいるのは70代、80代になろうとする高齢者。これは、本人不在で親たちだけで進められるお見合いパーティーにほかならない。

子ども抜きで結婚を急かすのは親のエゴ?

こうした代理お見合いパーティーは全国各地で行われ、今やちょっとしたブームにさえなっている。子の性格を熟知した親が見定めた相手であれば、結婚後のトラブルも少ない。何より、義実家との関係性が先に構築されるため、互いに円満でいられる可能性が高い――との説明に、なるほどと首肯しかける。

「子どもを抜きにして縁談を進めようとする親の根底には、所有愛が潜んでいる場合が往々にしてあります」

そう警告を鳴らすのは、マザコン問題解決コンサルタントとして多くの家庭問題を解決に導いてきた遊歩氏だ。

「確かに、そもそもお見合いは、家制度を維持するため、お互いの家の親が子どもの意向とは関係なしに縁談を進めるものでした。しかし家制度も崩壊した現代で、親が子ども抜きで結婚を急かすというのは、自分が子どもを所有し、望む相手と結婚させようとするエゴに他なりません

親主導で進んでしまった場合、何が起こるのか

子どもを所有物にする親が、結婚相手を決める。その意図は、たとえばこんなところにあるのだと遊歩氏は指摘する。

「親の側に正常な母性が育っていない場合、“見捨てられ不安”というものがあります。子どもが成長していくのは嬉しい反面、自分を見捨てて遠くへ行かないでほしいと思っているのです。つまり、子離れできていない。だから、自分が望む相手と結婚させて、老後の面倒を見てほしいという願望があるわけです

そうした親には、こんな心理が透けて見える。

「親の側は、子どもにとって良いことをしたと思っているはずです。『私がお膳立てしてあげた』くらいに思っているでしょうね。実際、親主導で進んだ婚姻は、さまざまなところに影響をもたらすでしょう。たとえば孫が生まれれば『自分たちが命名して当然』といってくるかも知れません。孫にまつわるあらゆるイベントの様式も、祖父母という立場ででしゃばる可能性が高いでしょうね」

夫から「母と仲良くできないお前が悪い」と言われた

親子による共依存に巻き込まれると、たとえばこんな目に遭うこともあるという。

「私の知っているほんの一例ですが、同居している姑にいびられているお嫁さんがいました。彼女は何度旦那に掛け合っても、『うちの母と仲良くできないお前が悪い』と言われ、ひどいときは寒い部屋で数時間も説教をされたそうです。母親に支配された息子は、嫁の言う言葉に耳を傾けません。あるいは別の例ですが、たった1ヶ月のスピード離婚を迫られたあるお嫁さんは、旦那さんから『うちの母親が気に入っていない。母親を傷つけたくないから別れてほしい』と言われたそうです」

こうした目に余る母子癒着の場合、遊歩氏はどのようにして解決するのか。

「私は、相談者様から3代遡って、すべての親子関係や夫婦関係をわかる限り聞くことにしています。そうすると、その家系の“クセ”みたいなものが見えてくるんですね。クセとはたとえば、3代にわたって穏やかな夫とヒステリックな妻という夫婦の組み合わせになっていたり、2代続いて母子家庭を選択する家庭など――そういう文脈です。そして自分を俯瞰してもらい、配偶者をコントロールしようとするのではなく、まずは自分の問題に向き合って解決してもらうことから始めています

まず自分を見つめ直すこと。現代に特有のSNSによるストレス発散方法について、遊歩氏はこんな見解を示す。

「旦那や義母の悪口を書いてバズっているアカウントが多くありますよね。もちろん、同じ思いを抱えている人が多いことの裏返しだと思います。ただ不思議と、うまくいかない人は感情をぶつけたがる傾向があります。感情をぶつけるのではなく、自分の考え方や見方を変えると、問題が解決へ向かうことは多いんです

自分が変われれば、相手も変えられる

こうした解決策は、一朝一夕に生まれるものではない。遊歩氏自身、自らが悩んだ体験の先に、これらの方策を見つけたのだという。

「私は10年近く前、信頼できる上司からの薦めで夫と結婚をしました。偏差値の高い大学を出た、履歴書のうえでは欠点のない人だったと思います。結婚すると、母親を優先するところがあり、非常に悩みました。また、義母は見捨てられ不安の強い人で、家族は全員同じところにいるべきという思想の方でしたので、なにかにつけて介入してきました。当時も現在と同じように、義実家との関係性に悩むさまざまな人がSNSを中心に愚痴を綴っていました。どれも共感できるものでしたが、解決策を提示したものがないことに気づきました。夫が母子分離するためには、私自身が自分のエゴと向き合って、行動を変えなければならないと思ったんです。いくつかのステップを経て、私の行動が変わり、やがてそれが夫を変えることになりました。現在は良好な夫婦関係を築けています」

あえて因習的な言い回しをするなら、婚姻とはその家族に新たな血を入れることであり、異物の包摂ともいえる。だが異物は大なり小なり摩擦を起こす。摩擦を嫌い、波風を立てないよう親の望む相手、もっと言えば親が御しやすい相手との結婚に落ち着けば、その場での平安は手に入るが、後の結婚生活に重大な影響をもたらすかもしれない。

取材の最後、遊歩氏は「そもそも、自分たちの結婚生活がうまくいっていれば、子どもの結婚に干渉しようとは考えません」と断じた。人生100年時代、元気を持て余した高齢者たちの「良かれ」が子どもの主体性を腐らせ家族を枯らす。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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