田中泯×新田真剣佑、“異なる正義”を持つ2人の存在感…見応え十分な静かなる演技対決にゾクゾク<フクロウと呼ばれた男>

田中泯と新田真剣佑が親子役で共演/「フクロウと呼ばれた男」第1話より(C)2024 Disney

田中泯×新田真剣佑、“異なる正義”を持つ2人の存在感…見応え十分な静かなる演技対決にゾクゾク<フクロウと呼ばれた男>

4月26日(金) 7:10

田中泯と新田真剣佑が親子役で共演
【写真】英語での会話がかえって初々しい!新田真剣佑“龍”と外国人ジャーナリスト美女のデートショット

世界的に評価されるダンサー・舞踊家にして俳優としても唯一無二の存在感を放つ田中泯が主演し、海外でも精力的に活動する新田真剣佑が共演するドラマ「フクロウと呼ばれた男」が4月24日より配信スタートした。全10話のうち、まず一挙配信となった第5話までをレビューする。(以下、ネタバレを含みます)

■国家の裏側・タブーに切り込んだ社会派政治ドラマ

同作は、あらゆるスキャンダルやセンセーショナルな事件を、時にもみ消し、時に明るみにさらして解決してきた黒幕/フィクサーである“フクロウ”こと大神龍太郎を主人公に、国家の裏側・タブーに切り込んだ社会派政治ドラマ。龍太郎を田中、父・龍太郎と対極な生き方で“正義”を掲げる次男・大神龍を新田が演じる。

2人を取り巻く家族や政治家キャストとして龍太郎の妻・杏子役に萬田久子、長男・一郎役を安藤政信、長女・影山弓子役を長谷川京子、次女・理沙子役を中田青渚、自由新進党幹事長・竹内創役を中村雅俊、内閣総理大臣・渡辺しおり役を原田美枝子、財務大臣・西條宗助役を大友康平、厚生労働大臣政務官・丸山ひろしを益岡徹が演じ、ガッチリと脇を固めている。


■田中泯が全身にまとわせるフィクサーたる空気感

第1話は龍太郎がフィクサーとして暗躍するところから始まる。次期総理候補の筆頭でもある竹内の一人息子にまつわるスキャンダルのもみ消しだ。

竹内を脅したと思われる男に淡々と迫る龍太郎。みるみるうちに男の顔に怯えの表情が浮かぶ。「あんたの目…まさか。あの男…。すべてお見通し。どんな地位もカネも支配する男…。あんたが、フクロウ?」と。龍太郎は「そんな男は存在しない」と言うも、男は焦って逃げ出したところで、警察に囲まれた。

この短いシーンで、なんという存在感。銀幕デビューとなった映画「たそがれ清兵衛」(2002年)で、主人公の敵役として鮮烈な印象を残した存在感が、時を経て進化している。龍太郎とその男が会ったのは工場のようなところで、暗い。龍太郎の顔もくっきりはっきり見えないようなカメラワークで、発する声と全身からにじみ出るような空気感と共に、その“目”がいかに恐ろしいものであるかを想像させる。

フクロウは、幸せを呼ぶなど縁起がいいとされる一方で、闇を好むからだろうか、悪魔や死の象徴といわれることもあるという。龍太郎がダークヒーローさながらの活躍をするのは、「道筋を正す」という信念のため。「国のために、なすべきことをなす」龍太郎の“フクロウ”という呼び名の真の意味がどちらなのか、ゾクゾクする。


■龍太郎の4人の子どもたちの問題

龍太郎は、党の後継者計画と最後の議員立法を成立させることを目指す渡辺総理から協力を要請される。第1話終盤で、龍太郎は手下にその依頼を最後にすると宣言した。「残された時間で何のために生きるべきか。私自身か?国か?家族のためか?」。ひそかに動いていく中、4人の子どもたちの今に目を向けることになる。

飲食店のビジネスをする長男・一郎は、融資を受けようとする相手が怪し過ぎるだけでなく、愛人の存在も絡んできて、なんとも危うい。2人の子どもを育てる主婦の長女・弓子は、一見幸せそうだが、やがて夫の秘密を知ることになる。末っ子の理沙子は歌手を目指しているが、25歳という年齢が壁になったり、音楽業界の闇を感じたりする。

そして、次男の龍は、裕福な大神家の一員ながら、金と権力を嫌い、奨学金でアメリカの大学に進学。その後、帰国して「人の役に立てたら」と高齢者向けの住宅や介護支援をするNPO団体で働き始めた。頭が切れる龍だが、龍太郎が心配するのは「ナイーブ過ぎる」ことだ。そんななか、龍は外国人ジャーナリストのサラ(ハイディ・バーガー)と出会い、龍太郎は懸念する。

「フクロウと呼ばれた男」第4話より

■田中泯と新田真剣佑が見せていく正義とは何かに期待

5話まで、議員たちのさらなるスキャンダルなどが持ち上がり、国の問題と、龍太郎の家族の問題が交錯しながら物語が進んでいく。金、権力、愛欲といった欲望が、どちらにも渦巻く様子が、ゆっくり丁寧に描かれる。表に出る真実と、表に出さない真実。見ていて心がざわつくのは、リアルな今の日本に潜んでいる、通じているのではないかと感じるからだろうか。

国のために突っ走ってきた龍太郎と、人の役にたちたいと願う龍。先述の通りの田中の存在感に対し、新田は、幼なじみだった竹内の息子の事件や、勤めるNPO法人の仕事への疑問を通して、龍の中で正義感がもたげてくる様子を瞳の奥に宿す。2人ともとても静かな演技なのだが、正反対ともいえる正義を持った者としてひんやりとした対立を見せる。正義とは何なのかを、これから2人の姿を通して考えさせられることになるはずだ。

SNSには「こういうドラマが見たかった」「一気見したくなる」「龍の真っ直ぐで穢れのない美しさが際立つ」「田中泯さんの存在感ヤバい」「マッケンの英語力すごい」といった声が上がっている。

登場人物たちの会話で幾度も出てくる「変わる」「変わらない」。国は変わるのか、人は変わるのかもポイントだ。

「フクロウと呼ばれた男」は、ディズニープラスのスターで独占配信中。5月1日(水)に第6・7話、5月8日(水)に第8話~最終10話が配信される。

◆文=ザテレビジョンドラマ部





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