新NISAで「買ってはいけない投資信託」とは? プロが“4パターン”を指摘

福島理さん

新NISAで「買ってはいけない投資信託」とは? プロが“4パターン”を指摘

4月25日(木) 8:51

提供:
投資で得た利益や配当などにかかる税金が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)。NISAをきっかけに投資を始めた人も多く、「投資」がますます身近なものとなっている。大幅改正された新NISAがスタートしてから3か月がたち、この間に日経平均株価は34年ぶりとなるバブル後最高値を更新、さらに4万円も突破するなど、好調な相場が続いている。

新NISAが始まり、多くの投資家はやはり「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などを積み立てていることが判明した。しかし、NISAは長期で積立していくのが王道。そのため、避けたほうがいい投資信託があるという。『1時間でマスター!マンガと図解でわかる 新NISAの教科書』などの著書を持ち、マネックス証券、マネックス・ユニバーシティ室長で投資教育を行う福島理さんに、「新NISAで買ってはいけない投資信託」を聞いた。

NISAの積立投資では何が最も買われているのか?

新NISAが始まってから3か月、マネックス証券NISAつみたて投資枠における買付UU数から、最も買われている投資信託はどんな商品だったのか。

「NISAのつみたて投資枠で最も買われているのは、eMAXIS Slimの米国株式(S&P500)と全世界株式(オール・カントリー)で、合わせて6割以上の投資家が買っていることがわかりました。手数料にあたる『信託報酬』も0.09372%と0.05775%でほかの投資信託よりも低く、長期的に投資するのに適しています」(福島さん)

これに対し、「長期投資が前提となるNISAだからこそ、買ってはいけない投資信託もあるのです」と指摘する。

買ってはいけない投資信託①「バランス型ファンド」

福島さんが積立投資であまりオススメしないのは、「バランス型ファンド」だ。バランス型とは、国内外の株式、債券、REIT(不動産投資信託)などに幅広く分散投資するファンドのこと。海外については先進国と新興国に分かれているケースもあり、「8資産均等型」の場合は、国内株式/先進国株式/新興国株式、国内債券/先進国債券/新興国債券、国内リート/海外リートの8つの資産に投資するタイプだ。

「バランス型ファンドはさまざまな資産と地域に分散されていて、リスクの低い素晴らしい商品です。ですが、リスクが低い分、リターンもそれだけ低くなってしまいます。すると、将来目標とする資産額に達しない可能性もあるので注意が必要です」

新NISAで積み立てている投資家の多くは、「老後に向けて●万円つくりたい」「子供が18歳になるときに大学の学費を貯めたい」など、目標を持っているだろう。積立額と運用期間から必要な利回りも計算されるが、分散しすぎると目標とするリターンが得られない可能性もあるというわけだ。

「自分が目標とする利回りが平均的に達成できるか、それを考えながら積み立てる商品を選ぶのが大切です」(福島さん)

買ってはいけない投資信託②「インド株ファンド」

成長著しいインド市場に投資するインド株ファンドもランキング上位に入っている。

「インドの代表的な株価指数『SENSEX指数』は、この10年間で約3.4倍に上昇しています。これは米国のS&P500も上回る上昇率です。ランキングに入っているインド株ファンドも2018年の設定来で2.1倍と素晴らしいパフォーマンスを記録しています。

その背景には、14億人ともいわれる世界最大の人口を抱え、強い内需とインフラ投資による経済成長が続いているからです。これからも人口は増加する見込みで、2028年には名目GDPにおいて米国、中国に次いで世界第3位の経済大国に成長すると見られています。

このように、確かに高い経済成長と株価上昇が期待されますが、これから10年後、20年後もインド市場が伸びているかというと疑問符を付けざるを得ません。2000年代、中国が台頭し、GDPで世界第2位の経済大国へと成長したときも同じようなことが言われました。あれから10年、20年がたって、中国は今どうなっているでしょうか。

経済や株価というのは、上がったり下がったり波があるものです。新NISAのつみたて投資枠は20年、30年、人によっては40年以上も投資するものですから、『今上がっているもの』に慌てて投資する必要はありません。もしインド株に投資したいのであれば、『成長投資枠』のほうで買って、タイミング次第では利益確定するほうがいいでしょう」(福島さん)

買ってはいけない投資信託③「アクティブファンド」

指数に連動するパフォーマンスを目指すインデックスファンドとは異なり、インデックスを上回るパフォーマンスを目指すのが「アクティブファンド」だ。

「アクティブファンドはプロのファンドマネジャーが運用し、指数を上回るリターンが期待できる。また、株式市場をけん引する旬のテーマや、特色のある銘柄に投資し、短期的には大きなパフォーマンスが期待できます。しかし、実はアクティブファンドの9割はインデックスファンドに勝てていません。

その理由はいくつか考えられるのですが、株式市場のテーマは移り変わりが早く、プロのファンドマネジャーが運用するといっても、5年、10年、20年と長期で勝ち続けるのは難しいからです。また、アクティブファンドの多くは、インデックスファンドに比べて信託報酬が高く設定されているので、長期間で保有するとそれなりのコストが発生してしまい、NISAのつみたて投資にはあまり向かないのです」(福島さん)

それでもアクティブファンドを買ってみたい場合は?

「ランキングには、何年にもわたって素晴らしい運用成績を出しているアクティブファンドがランクインしています。そういったアクティブファンドを買いたい場合でも、投資初心者であれば、まずはインデックスファンドから始めることを基本としてほしい。そのうえで、資産の一部をアクティブ型に投資してみるのがいいでしょう」(福島さん)

買ってはいけない投資信託④「信託報酬が高い投資信託」

NISAは長期の積立投資が基本。そのため、保有しているだけで毎年かかる「信託報酬」はジワジワと痛手となる。

「一般的な投資信託の信託報酬は年率0.1%~3%程度に設定されています。保有期間が長ければ長いほど運用成績に影響が出やすいため、信託報酬は低いほうが有利です。ランキング1位と2位の、eMAXIS Slimの米国株式(S&P500)と全世界株式(オール・カントリー)は0.09372%と0.05775%で、ともに0.1%未満と驚異的な低さ。これも人気の秘密です」(福島さん)

「長期」「積立」が前提となる新NISAだからこそ、このような“買ってはいけない投資信託”に気をつけて投資の積立投資に臨んでほしい。

プロフィール
マネックス証券、マネックス・ユニバーシティ室長
福島 理(ふくしま・ただし)
日本テクニカルアナリスト協会国際認定テクニカルアナリスト。金融リテラシー向上のための教育活動に従事。テレビ、ラジオのほか、雑誌やWebでコラムを執筆。著書に『1時間でマスター!マンガと図解でわかる 新NISAの教科書』(扶桑社)、著書に『勝ってる投資家はみんな知っているチャート分析』シリーズ(扶桑社)がある。



【関連記事】
新NISAの積立投資「買うべき投資信託」をプロが分析。今後の日米株式市場の予測も
新NISAで50~60代が“やってはいけない”投資の失敗例。「年利3%で安定的に運用できる」おすすめの投資信託も
知らないと怖すぎる「新NISA」5つの落とし穴とは?短期の売却で“メリットが台無し”に
新NISAで「資産1億」を狙うなら。プロが猛プッシュする「日米テンバガー期待株」10選
小林製薬“紅麹ショック”で株価急落も「新NISA購入ランキング4位」の謎。投資のプロはこう見る
日刊SPA!

生活 新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ