「TOKYO VICE Season2」笠松将が語る、東京でのロケ撮影で感じるドキドキ「歌舞伎町で撮影ができるんだ!」

笠松将が明かす、ロケーション撮影の重要性と俳優への負荷/撮影/興梠真穂 ヘアメイク/松田陵(Y’s C) スタイリスト/柴原啓介

「TOKYO VICE Season2」笠松将が語る、東京でのロケ撮影で感じるドキドキ「歌舞伎町で撮影ができるんだ!」

4月22日(月) 19:30

映画やテレビドラマに撮影可能なロケ地の情報を提供し、案内、調整も行う組織「東京ロケーションボックス」は、映像作品を通して東京の魅力を国内外に発信しながら、ロケ撮影で地域活性化を図ることを目的としている。今回は東京ロケーションボックスから制作のサポートを受けた、WOWOWとHBO Maxの日米合作ドラマシリーズ「TOKYO VICE Season2」(WOWOWにて毎週土曜21時より独占放送・配信中)をフィーチャーする。
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MOVIE WALKER PRESSでは、Season1で若きヤクザのリーダー、佐藤という刃物のように鋭いキャラクターを圧倒的存在感で演じ注目を集めた、いま勢いに乗る気鋭の俳優、笠松将にインタビュー!作品の見どころや役作りのことはもちろん、“世界で最もロケが難しい都市”と言われる東京でのロケーション撮影の裏側を聞いた。

■「Season1を観てくれた世界中の人たちが、佐藤をすごく評価してくれた」

1990年代の東京のアンダーグラウンドを舞台に、世界で最もきらびやかな大都会の凶暴な裏の顔をリアルに描いた日米共同制作の超大作ドラマシリーズ「TOKYO VICE」。Season1では、『ヒート』(95)や『マイアミ・バイス』(06)で知られるハリウッドの巨匠マイケル・マンが第1話の監督を務め、刑事の片桐を演じる渡辺謙がエグゼクティブ・プロデューサーにも名を連ねた。東京でのロケを敢行した圧倒的なクオリティとキャスト陣の迫真の芝居で視聴者を唸らせ、米批評サイト「Rotten Tomatoes」のオーディエンススコアが89%(4月17日現在)と、全世界で大ヒットを記録したのは記憶に新しい。
「TOKYO VICE Season2」で佐藤役を演じた笠松将にインタビュー!


あれから2年、待望のSeason2にも日本の新聞記者になった主人公のアメリカ人青年、ジェイクを演じるアンセル・エルゴートをはじめ、渡辺や菊地凛子、伊藤英明、山下智久らSeason1の日本のキャスト陣もそのまま続投。さらに窪塚洋介、真矢ミキ、玄理など新キャストも投入され、さらに大きなうねりを見せる。なかでも、Season1でジェイクと親交を深め、じわじわと存在感を示した若きヤクザのリーダーの佐藤がどうやら物語に大きく食い込んできそうなのだ。

それを象徴的に伝えるのがオープニングのクレジット。Ansel Elgort、Ken Watanabe、Rachel Kellerに続いて、なんと、佐藤を演じたShow Kasamatsuの名前が!だが、そのことを笠松に伝えると「あっ、そうなんですか?」と笑顔でごまかす。そこで「佐藤が大きな役になることはSeason1を撮ってる時からわかっていたんですか?」とさらなるツッコミを入れると、ようやく「わかっていなかったし、僕の聞いた話では、佐藤はSeason1で退場する…つまり、死んじゃう可能性もあったんですよ」と驚きの真相を語り始めた。
佐藤はSeason1で同じ千原会の玄(末松暢茂)に刺されたが、なんとか一命を取り留めた


「でも、日本だけではなく、Season1を観てくれた世界中の人たちが佐藤をすごく評価してくれて、人気のキャラクターにしてくれた。それに応えて『TOKYO VICE』の制作チームが生き延びさせてくれたみたいなんです。まあ、本当のところはわからないですよ。でも、僕はそう聞いたし、Season2を目指してSeason1を撮っていたから、当時の現場でも『佐藤は人気が出るぞ』みたいな話はちらちら耳に入っていて。なので、佐藤が大きなキャラクターになるという話を実際に聞いた時も、驚きはなかったですね。ただ、そうやって評価したくれた人たちのためにもSeason2は絶対にいいものにしないといけないと思ったし、最高の佐藤を演じないとバチが当たるぞって自分に言い聞かせながら撮影に臨みました」。

■「『歌舞伎町で撮影ができるんだ!』と普通に驚きました」

台本を初めて読んだ時には、別の驚きがあったという。それこそまさに、Season1の時よりもさらに踏み込んだ東京でのロケーション撮影。「えっ、こんなところで撮るの?危なくない?みたいなロケ地もあったから、めちゃくちゃドキドキしたし、おもしろかったですね」と振り返る。そこでいちばん刺激的だった場所を聞くと、「やっぱり歌舞伎町でしょ!」という答えが瞬時に返ってきた。
ロケーション撮影の魅力について熱く語ってくれた笠松


「日本はやっぱり撮影の許可が下りづらいんですよ。なかでも東京はいちばん許可をとるのが難しいところ。特に新宿の歌舞伎町は絶対に許可が下りないって僕も聞いていたから、『えっ、歌舞伎町で撮影ができるんだ!』と普通に驚きました。たぶん世界中の視聴者が、僕と同じ反応をするでしょうね。ちょっと玄人的な見方かもしれないけれど、『コイツら、歌舞伎町でロケしてるやん!』という衝撃が走ると思う。歌舞伎町は海外の人でも知っている、わかりやすい場所でもありますからね」。

ハリウッドの映画人にも、東京でのロケは厳しいことで知られている。では、なぜ「TOKYO VICE」は歌舞伎町ロケを敢行できたのか?それはSeason1の準備段階の時に東京でのロケにこだわったマイケル・マン監督が都庁を訪れ、小池百合子都知事に「TOKYO VICE」が東京ロケにこだわる理由、それが東京にもたらすものの大きさや社会的な役割を丁寧に説き、関係各所への筋をきちんと通したからにほかならない。それがSeason1の成功を経て、ついに実を結んだというわけだ。

「都庁前でも大勢のエキストラを入れて撮影しましたよ。僕は車の中のシーンだけでしたけど、『よくこんな場所で撮影できたな』って思いました」と笠松は続け、「いや、そこまでやらなくてもいいかもしれないけど、それをやってのけるこだわりが美し過ぎますね(笑)。別にグリーンバックで撮って、あとから背景を合成するやり方だってできるわけじゃないですか」と前置きをしたうえで、ロケーションの重要性を強調する。

「ロケーションで撮影するほうが俳優にかかる負荷が軽くなるんです。実際の喧騒のなかやネオン街に身を置くと俳優もやっぱりテンションが普通に上がるし、無駄な想像力を働かせる必要がないですから。『TOKYO VICE』に限らず、トップレベルの作品はそういったクリエイティブの面でのリスペクトがありますね。ロケ地にもそれが表れると思います」。

私たちは「海外のクルーだからレベルの高い作品が作れて、日本はそのレベルに達していない」と思いがちだ。しかし笠松は、「日本人は海外のトップレベルの作品ばかり観ているから僕も含めてそういう言い方をしちゃいますけれど、世界には僕たちが知る由もない作品が大量にあるんです」と強調する。
日米合作による細部までこだわり抜かれた作品づくりについても話してくれた


「だからひと握りのトップレベルの作品のクリエイターたちは、同じものを見ているし、同じものを大切にしている。『TOKYO VICE』もそうだけど、僕もここ数年、海外と日本のいい作品に何本か参加させてもらって、天才が見ている景色はやっぱり同じなんだなって強く思いましたから。いい監督、いいプロデューサーたちはそのこだわりを細部にまで宿らせています。そこはまったく変わらないですね」。

■「アンセルとは毎テイク新鮮で刺激的で、一緒にお芝居をしていると楽しいんです」
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細部にまでこだわる。そこはロケーションだけに留まらないし、笠松が演じた佐藤もSeason2では複数の他者との繊細で複雑な関係性を通してこれまでとは違う表情を見せ始める。「三角関係のような流れにもなるし、子どもとのシーンもある。そういう様々な要素が組み合わさって、佐藤のキャラが構成されているから、自分がこの10年一生懸命やり続けて、培ってきた引き出しでいろいろ遊ぶことができましたね」と、笠松も感慨深げだ。

なかでも、出所してくる兄貴分のヤクザ、葉山役で新たにシリーズに参加した窪塚洋介との芝居は忘れられないようで、「窪塚さんはカメラが回っていないところでもすごく面倒を見てくれた。だから、芝居の時も気を遣わずに全力でやりたいことをやらせてもらえたし、それが映像にも出ていると思います」と述懐する。
窪塚洋介が演じるのは、佐藤の兄貴分となるヤクザの葉山直希


「営業妨害と言うか、ご本人の印象を崩しちゃうかもしれませんけど、とってもいい方で。僕の気合いが入るあまり、『絶対こうしたほうがいいと思いますよ!』って監督に言った時も、窪塚さんが『じゃあ、1回やってみよう』ってまとめてくださったし、めちゃくちゃちゃんとした大人でした(笑)」

笠松もこの2年の間に確実に進化している。Season1の時はただ丸暗記して喋っていた英語のセリフも意味が理解できるようになり、海外のキャストやスタッフとも少しずつ臆せずに英語で喋れるようになった。ジェイクの頼みを聞く食事のシーンなどにもそれが表れている。ジェイクを演じたエルゴートとは年齢が近いこともあり特にリスペクトを寄せ、「彼の爆発するようなエネルギーはスゴい。それが毎テイク新鮮で刺激的だったから、一緒にお芝居をしていると楽しいんです」と訴える。
明調新聞社会部の新人記者ジェイク役のアンセル・エルゴート


「感情を表現するために使うのが“動き”なわけじゃないですか。でも、どこかで見失って、“動く”という目的だけになってしまう時があって。そういう罠に陥ることもあると思うんですけど、アンセルはテイクごとに動きや喋っていることがめちゃくちゃ変わるし、エネルギーがどんどん大きくなっていくから、画に映った時のパワーが強烈で。ワンアイデアでそのシーンの空気をいっきにひっくり返すから本当にスゴいんです。同じ芝居をずっと続ける職人技もスゴいけれど、違うものをどんどん提供して、それで納得させるカリスマ性みたいなものが彼にはある。僕もそこは、時間をかけて盗んでいきたいなと思いましたね」。
エルゴートへのリスペクトを笑顔で語った笠松


その熱のこもった言葉の数々からも、笠松将が大きなものを手に入れたことが伝わってくる。そんな彼が全力で命を吹き込んだ佐藤が、今度はなにを仕掛けるのか。そこも含め、東京での大ロケーションを成功させた「TOKYO VICE Season2」の新展開には目がクギづけになるはずだ。

取材・文/イソガイマサト


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