「被害女性は震えて泣いていた」埼京線の悪質すぎる痴漢の実態

池袋駅東口交番前で無償配布されていた「痴漢抑止キーホルダー」

「被害女性は震えて泣いていた」埼京線の悪質すぎる痴漢の実態

4月19日(金) 8:49

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「痴漢撲滅活動をしていまーす!」

週末の池袋駅東口交番前で大きな声を張り上げながら、道ゆく人たちにチラシとキーホルダーを配る2人の男性。その姿には見覚えがある人も多いはず。

昨年、“私人逮捕系YouTuber”としてメディアを賑わせた「ガッツch」中島蓮さん。そして、特殊詐欺の元主犯格で現在は犯罪撲滅活動家のフナイムさんである。2人は「NPO団体 えんじん」を立ち上げたのだとか。

「NPO団体 えんじん」は、身近な社会問題の解決に取り組む団体として、現在は痴漢根絶を目標に、街頭でチラシや「痴漢抑止キーホルダー」を配布し、パトロールも行っているという。

この日、彼らの声に老若男女が足を止め、そのなかには「YouTube見ています!」「頑張ってください!」「応援しています!」と、記念写真や握手を求めたり、差し入れを持ってくる人も少なくなかった。

今回は立ち上げの経緯や今後の展望について、詳しい話を聞いてみた。

痴漢や盗撮の多さに愕然

もともとガッツchでは、痴漢や盗撮の瞬間から犯人を拘束して警察に引き渡すまでの一部始終が動画で撮影されていた。中島さんがこういった活動を始めたきっかけはなんだったのだろうか?

「僕は過去の経歴が良くないんですよ。反社会的な組織に所属していたこともあるし、色々な事業をしていましたが、そのひとつであるメンズエステが摘発されてしまいました。不起訴に終わりましたが、自分が関わる全ての事業をやめざるをえなくなってしまったんです……」(中島さん、以下同)

60日間に及ぶ留置所での勾留期間で、“次は何をすればいいのか?”と悶々と考えていたという。

「すごく反省して、今までのスキルやノウハウを活かして人の役に立つことがしたい。そんなことを考えていたとき、勾留中の人には、盗撮や痴漢で捕まった人がゴロゴロいることに気づいたんです」

あまりの数の多さに「世の中にはこんなに痴漢がいるのか」と愕然とした。だが、そこで「自分にも取り組める問題だ」と思い立った。

「痴漢を捕まえるには駅に行けばいい。それをYouTubeに上げることで抑止力にもなるし、収益が出れば活動資金になると思いました」

“私人逮捕”が注目を浴びてしまって失敗

その狙いは当たり、YouTubeは急速に伸びた。SNSやメディアでは「やりすぎ」という声も含めて大きな話題になった。だが、2023年11月に50代男性を不当に拘束したとして逮捕されてしまったのだ。

「いきなりアカウントがBANされてしまい、収益はゼロに……。インプレッションを稼ぎ、炎上してでも話題性を生むことで、ひとりでも多くの人に“痴漢の実態”に目を向けるきっかけになって欲しかったんです。でも実際は、“私人逮捕”が注目されてしまった挙句、僕の逮捕。完全に失敗でした」

逮捕が転機となり、活動方針を見つめ直したそうだ。本来の目的は痴漢を撲滅し、人の役に立つこと。世間から“私人逮捕系YouTuber”と呼ばれなくなるためには、きちんと活動家になる必要がある……。そこで、フナイムさんとタッグを組み、「NPO団体 えんじん」を立ち上げたのだ。

「被害女性は震えて泣いていた」

フナイムさんは「本当に埼京線の痴漢の数は異常です。一刻も早く解決しなければ」と語気を強める。

「埼京線の通勤ラッシュ時の1号車から3号車は危ない。1車両に多いときで30人ぐらいの痴漢がいることもあります。中島さんとパトロールに行くと、痴漢はすぐにわかりますね。普通の人はスマホを見たりしているけど、痴漢はホームで“品定め”をしていて、目ぼしい女性がいなければ電車を見送ります。痴漢するためだけに埼京線に乗り、何往復もしている人もいますね」(フナイムさん、以下同)

痴漢は1対1だけではなく、“囲み痴漢”といって複数名で1人の女性を取り囲み、周りから見えないようにする悪質な方法もあると話す。

「彼らが事前に連絡まで取りあっているかは分かりませんが、おそらく顔見知りたちがターゲットの女性を決めて協力しながら痴漢する。ただ触るだけではなく下着を脱がして、中に手を入れてくる人もいます。助けたら、被害女性は震えて泣いていました。超混雑している中で、男性から囲まれたら、ふつうは怖くて声なんて出せませんよ」

痴漢しにくい社会に

2人がパトロールに行くと一時的に痴漢は減るというが「それだけでは根絶にはならないです」と中島さんはため息をつく。

「埼京線だけでも警察がやればいいんですけど、完全にキャパオーバーなんですよね。鉄道会社も埼京線の異常性をわかっているはずなのに、本質や原因には触れていない。100人の女性が痴漢の被害に遭っても声をあげるのは2人程度なんです」(中島さん、以下同)

そんななかで、JR東日本に向けて疑問の声を届けるべく、署名も行っているという。

また、中島さんは「現状、痴漢の加害者のほうが生きやすい世の中」と話す。どういうことなのか。

「今の日本では、“バレない” “捕まらない” “タダでさわれる”など、痴漢する側が有利になっている。捕まえたら9割の人が自供するんですが、だいたい再犯する。先日、僕が捕まえた痴漢はフナイムさんも捕まえていたし、20回以上も痴漢で逮捕歴がありました」

被害者が痴漢を捕まえたところで、その後の取り調べに時間がかかりすぎたり、精神的負担が大きすぎたりと、メリットが少ないのも問題だという。

「痴漢をしやすい社会から“痴漢をしにくい社会”にしなければいけない。僕らを応援してくれる人のなかには、『痴漢撲滅はあなたにしか頼めない』と泣きながら訴えてくる女性もいます。痴漢問題は、僕らみたいな人間にしか希望を託せないのが現実なんです。応援してくれる人がいる限り、必ず全うしたいです。えんじんで実績を積んで、ほかの社会問題にも取り組んでいきたい」

フナイムさんも「過去に傷がある自分たちだからこそできる活動があると思っています。世の中に迷惑をかけることなく、えんじんにしかできないことをどんどんやっていきたいです」と意気込みを話した。

<取材・文/吉沢さりぃ、撮影/藤井厚年>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。『bizSPA!フレッシュ』『BLOGOS』などでも執筆。X(旧Twitter):@sally_y0720

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