レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・
山下メロ
です。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
平成前半に巻き起こった電子ペットブームを覚えていますでしょうか。たまごっち、シーマン、ファービーなど、こちらのアクションに反応するインタラクティブでバーチャルなペットや、コンピューター制御されたペット人形が百花繚乱な時代でした。
その中で、とてつもないクオリティで話題となったのが1999年にソニーが発売したロボット犬のAIBO(アイボ)です。価格は25万円でしたが、それに見合う完成度の高さで人気となりました。しかし、99年はモーニング娘。の『LOVEマシーン』で「不景気」が歌われていた時代。庶民にとって25万円の電子ペットは高根の花でした。
世界累計で1200万台も売り上げた「スーパープーチ」
ソニーのアイボが登場した翌年に発売され、影響を受けたことは間違いないセガトイズのスーパープーチ。ココロボという電子ペット玩具シリーズのひとつで、ほかにも動物や植物、そして普通のロボットまでラインナップされている
そんな中で、銀のボディに目の部分がコックピットのような黒いデザインになっている犬......というアイボの見た目を踏襲した格安な電子ペットが登場します。それが00年に発売されたセガトイズの「スーパープーチ」です。
飼い主の声だけに反応し、育てていくと目の表情や鳴き声、動作でさまざまなリアクションをし、しつけて成長すると性格も決まってくる高性能ペット。それが、なんと6000円程度という高コストパフォーマンス。アイボの25万円と比較すると安さは歴然です。
その後プーチは海を渡り、ファービーの米タイガー・エレクトロニクスから発売され大ヒット。結果、全世界で1200万台も売れ、販売数ではアイボをはるかにしのぐ人気ぶりだったのです。単なるアイボのインスパイア商品だと思っていた人にとっては意外な事実ではないでしょうか。
ポケットザウルスのような動物の目部分をコックピット風にするのは普遍的なデザインなのか、各社がアイボインスパイアを発売。「レシーブドッグ」はガラケーに着信があると反応する光るアンテナ的アイテム
そして、セガトイズに限らずさまざまな会社がアイボのような商品を出しまくりました。インタラクティブなものからローテクなもの、そしてなんの機能もないものまで、こちらも百花繚乱。裏を返せばアイボの影響力のすごさです。
あなたが親からプレゼントされ、アイボだと信じていたものも、実はインスパイアかもしれません。実家で確認してもらいましょう。
撮影/榊 智朗山下メロ
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