候補者への「犯罪予告」は「犯罪そのもの」

7月18日(木) 6:16

参議院選に出馬している山本太郎候補者に対する犯罪予告がインターネット上でなされたようです。

その内容は、「明日の午後3時に山本太郎の選挙事務所に包丁もって山本太郎を殺害する  その後愛宕警察署を爆破する。税金泥棒の無能警察官は俺の手で始末する  絶対にやるから覚悟しとけ 」というものです。このような犯罪予告は、単なる「冗談」や書き込みに対する注目を集めるために行われることがあります。しかし、殺害予告を行うと、実際に殺害せず、また、そもそも殺害するつもりもなかったとしても(つまり冗談であったとしても)、多くの犯罪が成立する可能性があります。

具体的にはどんな犯罪が成立するかというと、まず、この書き込みは個人を特定した形で殺害を予告しており、候補者の生命・身体に対して害を加える旨を告知していますので、脅迫罪(懲役2年以下又は罰金30万円以下)が成立します。

また、時刻や「選挙事務所」という場所も特定して犯罪予告をしており、候補者は警察などの協力を得て選挙事務所の警備体制を整える必要などがでてくるでしょう。このような場合、候補者への犯罪予告について業務妨害罪(懲役3年以下又は罰金50万円以下)が成立する可能性があります。

候補者に対して犯罪予告をした場合は、上記の犯罪にとどまりません。このような犯罪予告をされたことによって候補者は、予定していた演説などの選挙運動ができなくなることも考えられます。その場合は、公選法上の選挙の自由妨害罪(懲役4年以下又は罰金100万円以下)が成立する可能性もあります。

さらに、今回は、別の掲示板で「爆破予告して○○を犯人にさせるか」と書き込まれた後に犯罪予告がされていたようです。このようにインターネット上で他人になりすまして犯罪予告が行われた場合は、候補者を当選させない目的が認められるのであれば、今回の公選法改正によって、氏名等の虚偽表示罪(禁錮2年以下又は罰金30万円以下)の成立も考えられます。

このように、犯罪予告は、「予告」にとどまらずに、多くの犯罪が成立してしまう行為なのです。
鳥飼総合法律事務所
弁護士 神田芳明

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