海外事例からみるネット選挙での誹謗中傷の拡散

7月16日(火) 13:15

ネット選挙運動の解禁で懸念されている問題として、誹謗中傷や虚偽情報の拡散があります。すでにネット選挙運動が行われている韓国では、すでにかなり問題になっています。

2012年にセヌリ党の大統領選予備選挙候補の朴槿恵(パク・グンヘ)議員に対して、悪質な誹謗中傷が行われたとしてネットメディアの代表が拘束・収監されました。この容疑者には、朴議員を「A女」と名前を伏せつつ、「02年5月の訪朝の時、北朝鮮で性的接待を受けた」という情報を流布した疑いがもたれているということです。

また、2011年のソウル市長選挙において、ハンナラ党(現セヌリ党)候補者について、「年会費1億ウォン(現時点の相場で900万円程度)のエステサロンに通っている」旨の虚偽の情報が拡散しました。この候補者は落選しましたが、この情報の拡散が選挙結果に影響を与えたという見方があるようです。

今後日本においても、韓国のように選挙に伴い、インターネット上での誹謗中傷・虚偽情報の拡散が行われ、選挙結果に影響することが考えられます。韓国公選法においては、選挙管理委員会においてサイバー選挙不正監視団が設置・運営され、誹謗中傷を含む公選法違反情報の削除要請を選挙管理委員会が行うことができることなどが定められていますが、日本の公選法には現在のところこのような規定は定められていません。したがって、誹謗中傷・虚偽情報に対しては、政党ごと、あるいは候補者ごとに、削除、損害賠償請求、刑事告訴等の対応をしていくことになります。

落選目的で虚偽事項をネット上に公表した場合、公選法上の虚偽事項の公表罪になり、また、誹謗中傷の内容によっては刑法上の名誉毀損罪などで罰せられます。

インターネット上の書き込みは簡単に拡散し、削除しない限り残り続けることになります。全ての誹謗中傷を削除することは現実的に難しく、政党や候補者にとっては、自らのウェブサイトなどで正しい情報を発信するなどの対応が基本となるでしょうが、韓国の例にみるような選挙結果に影響しかねない悪質な虚偽の書き込みについては、削除や損害賠償の請求、刑事告訴を視野に入れた断固たる対応をとる姿勢をみせることが重要になります。

鳥飼総合法律事務所
弁護士 神田芳明

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