老後の年金は一般的に老齢基礎年金と老齢厚生年金に大別されますが、厚生年金基金や企業年金連合会からも年金を受給できる人がいます。 この厚生年金基金や企業年金連合会からの年金は請求を忘れると受給できず、実際に2023年度末時点で未請求者は約114万人にもなっており、多くの人がもらえるはずの年金を請求していない状態です。 本記事では厚生年金基金の概要や、基金加入歴を調べる方法、年金の請求の方法について紹介・解説します。
厚生年金基金とはどんな制度?
厚生年金基金は国が行う老齢厚生年金の一部(報酬比例部分)の支給を代行し、これにプラスアルファ部分を上乗せして年金給付を行う仕組みです。厚生年金基金に加入している人には、図表1のようなイメージで年金が給付されます。
図表1
日本年金機構 厚生年金基金加入期間がある方の年金
厚生年金基金は法律改正により、2014年4月以降は基金の解散か、確定給付企業年金に移管する基金がほとんどで、2023年度時点で残存する厚生年金基金は4つしかありません。解散した基金で管理されていたお金は企業年金連合会や国に移管・納付されています。
解散時期が2014年4月1日以降の場合は、基金代行部分は国から支給される老齢厚生年金として支給され、上乗せ部分であるプラスアルファ部分は連合会から支給(本人が選択した場合)されます。
解散時期が2014年3月31日以前の場合は代行部分、プラスアルファ部分も連合会から支給される仕組みとなっています。
厚生年金基金の請求は年金事務所ではできない?
65歳前から受給できる特別支給の老齢厚生年金や、65歳から受給する通常の老齢基礎年金、老齢厚生年金は年金事務所などで請求することができます。
しかし厚生年金基金や企業年金連合会から給付される年金については、年金事務所で請求することはできません。厚生年金基金または企業年金連合会からの給付がある人は自分で基金または企業年金連合会に連絡し、手続きする必要があります。
ただし、厚生年金基金の名称、加入履歴などは年金事務所で確認することができます。自分が過去に厚生年金基金に加入していたか、どれくらい加入していたか分からない人は年金事務所で確認するのが良いでしょう。
請求が漏れると、損をする可能性やもらい過ぎになるケースも
厚生年金基金または企業年金連合会から給付される年金は、請求が漏れると受け取ることができません。厚生労働省によると、2023年度に基金から支給されている平均年金月額は9万6676円(代行部分が5万7767円、上乗せ部分3万8909円)となっています。
加入期間や上乗せ部分の金額などにもよりますが、基金などへの請求漏れにより年間で100万円以上損をするケースも考えられます。
また、基金から給付を受けていた人や基金に加入していた人が亡くなった場合も基金に連絡したほうが良いでしょう。基金によっては遺族給付がある場合や、年金の過払いがあれば、返納する必要があります。
まとめ
厚生年金基金や企業年金連合会からの給付は年金事務所などではなく、自分で基金や連合会に連絡し、手続きを行う必要がありますので、請求漏れがないように注意する必要があります。
自分が厚生年金基金に加入していたか不明な人や、基金からの給付があるか分からない人は年金事務所などで加入歴などを調べてもらってから、基金や連合会に連絡してみると良いでしょう。
出典
日本年金機構 厚生年金基金加入期間がある方の年金
厚生労働省 厚生年金基金の財政状況等
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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